Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『突然炎のごとく』を観る

今日のキネ旬シアターは【華麗なるフランス映画特集】の最後の作品です。

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突然炎のごとくです。

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監督:フランソワ・トリフォー

原作:アンリ=ピエール・ロシェ

主演:ジャンヌ・モローオスカー・ウェルナーアンリ・セール

制作:1962年 フランス 日本公開1964年

 

監督のフランソワ・トリフォーはフランス・ヌーヴェルヴァーグ(フランス映画の新しい波)の代表監督の一人です。

1959年の初の長編映画大人は判ってくれないが大ヒット。以降、ピアニストを撃て』『突然炎のごとく』『柔らかい肌』『華氏451』『黒衣の花嫁』『夜霧の恋人たち』『暗くなるまでこの恋を』『野生の少年』などなど次々に話題作を制作しました。1984年に52歳でなくなりました。

同じくヌーヴェルヴァーグを代表する作品『勝手にしたがれ』を監督した盟友、ジャン・リュック・ゴダールとは1960年代末に袂を分かちました。

 

主演女優のジャンヌ・モローについては、先日のエヴァの匂いとその前の訃報記事をご覧ください。

lynyrdburitto.hatenablog.com

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

映画の内容はというと、オーストリアの青年ジュールはフランスの青年ジムと知り合い、2人とも文学青年で意気投合します。それから二人はカトリーヌという自由奔放な女性と知り合います。二人とも彼女に惚れてしまいすが、積極的だったジュールがカトリーヌに求婚し、パリのアパートで同棲を始めました。

 

やがて第一次世界大戦が始まり、2人とも祖国の軍人として戦場へ赴きます。幸いにも二人は共に生きて帰ってきます。

 

カトリーヌとジュールは結婚し、ジムはその住む家に招待されます。6歳になる娘もいます。しかし、2人の関係は冷めていました。ジュールはジムにカトリーヌと結婚してくれと頼みます。カトリーヌには男が出来ていたのです。ジムはカトリーヌのそばを離れたくなかったのです。ジムは了解し、カトリーヌもそれを望みました。そして不思議な共同生活が始まります。

ジムは一旦仕事の関係でパリに戻り、以前からの恋人に別れを告げます。その間のジムとカトリーヌは何度も手紙のやり取りをしますが、カトリーヌは次第に不満を感じるようになります。ジムがカトリーヌの元へ戻ると、カトリーヌはジムに別れを告げます。そして、再びジュールとよりを戻します。一方では別な愛人との関係も続いていました。一人の男では決して満足できないカトリーヌに絶望してジムはパリに戻り、恋人との結婚を決めます。

 

暫くして、映画館で3人は再開します。映画が終わった後、カトリーヌはジュールとジムを車に乗せ走り出しました。そして食事の後、ジムに話があると車に乗せ、ジムに「よく見てて」と言い残し走り出しました。カトリーヌは上機嫌で笑みを浮かべながら車を疾走させ、ジユールの目の前で壊れた橋から転落してしまいます。二人は即死でした。ジュールは2人の棺を火葬場に運ばせ、遺灰を納めました。遺灰を納めた後のジムの表情は、無表情でした。これでカトリーヌは永遠に自分のものになったと思ったのでしょうか。

 

ここでのジャンヌ・モローは自由奔放で何を考えているのかわからないような女性を演じています。男はそれに振り回される一方です。でも、彼女から離れられない男たち。

当時はアメリカでもイギリスでも女性解放運動が活発になっており、この映画も異例のヒットになりました。

 

ドキュメンタリー・タッチのカメラワーク、長いナレーション、詩的なセリフ回しなどはいかにもヌーヴェルヴァーグ作品を感じさせます。

 

劇中のジャンヌ・モローシャンソンがいいです。カトリーヌのモデルはポーランドの詩人アポリネールの恋人マリー・ローランサンだということです。この人はこの作品の原作者アンリ=ピエール・ロシェの恋人でもあった人です。この辺の関係を元に小説を書いたのでしょう。

 


Trailer - Jules e Jim, de François Truffaut

 

 

 

【華麗なるフランス映画特集】もこれで終わりです。懐かしい作品ばかりでたっぷり堪能できました。キネマ旬報シアター様有難うございました。

ジャン・ポール・ベルモンドダンケルクは見逃してしまいました。これだけが残念です。

思い起こせばドヌーヴが2本、ドロンが2本、モローが2本でした。

もっともっと再会したい映画がたくさんあります。この頃の映画は、郷愁も多分にありますがやっぱりいいですね。

また良い企画をお願いします。60年代後半のフランス映画やイタリア映画、アメリカン・ニューシネマとかの特集もいいですね。ただこの企画は元々が角川映画の企画ですから、キネ旬さん独自の企画をお願いしたいですね。

 

それでは今日はこの辺で。