ある小説を読んでいたら「Love Is Blind」という歌が登場してきました。これは懐かしい、と思いちょっと書いてみたくなりました。
1970年代の半ば頃、日本で一番有名な外国の女性歌手はおそらくオリヴィア・ニュートン・ジョンかこのジャニス・イアン(Janis Ian)だったのではないでしょうか。それほど彼女の日本における人気は高かったのです。もちろんアメリカでの人気も絶大でした。
その日本での人気爆発の大きな要因がこの『愛の余韻(Aftertones)』というアルバムのなかに収録されている「恋は盲目(Love Is Blind)」という曲の大ヒットでした。
元々この曲はTBSの『グッドバイ・ママ』という坂口良子主演のテレビドラマの主題歌でした。このドラマの人気と相まって、主題歌も大ヒットしました。洋楽ブームもそろそろ下火になりかけていた頃の、会心のヒット曲でした。
続く翌年には同じTBSの『岸辺のアルバム』というこれまた大ヒットドラマの主題歌にジャニス・イアンの「Will You Dance?」が使われ、これまたヒットし、ジャニス・イアンの名前は洋楽ファンのみならず知れ渡ることになりました。
そんなジャニス・イアンですが生まれは1951年のニューヨーク生まれです。貧しい家庭だったようで15歳までになんと13回も転居し、父母の仲もよくなかったようであまり恵まれない少女時代を過ごしたようです。
そんな中でも音楽に対しては音楽教師の娘だったこともあって幼いころからピアノを習い、12歳で初めて曲を書きました。やがてピアノからギターに興味が移り、ニューヨークの音楽学校で勉強し、曲作りを始めます。
わずか15歳の時に白人少女と黒人少年の悲恋を歌った「ソサエティーズ・チャイルド」でレコードデビューします。この曲は一部のラジオ局では放送禁止になりましたが、レナード・バーンスタインがこの曲を紹介するとそれが評判を呼び、天才少女ジャニス・イアンの名前は知れるようになりました。そして4枚のアルバムを発表しましたが、カメラマンとの結婚を機に引退します。しかし、やがて離婚、音楽界に復帰します。
1971年にアルバム『Present Company』を発表します。そして1974年にリリースしたアルバム『ジャニスの私小説(Stars)』の中の「我が心のジェシー(Jesse)」をロバータ・フラックがカバーし大ヒットさせたことで再びジャニスは注目を浴びるようになりました。
そして1975年『愛の回想録(Between the Lines)』がリリースされます。
この中から「17才の頃(At Seventeen)」が全米1位の大ヒットとなり、アルバムの全米1位の大ヒット、グラミー賞も獲得し大ブレイクとなりました。
そして翌年に発表されたのが『愛の余韻(Aftertones)』です。
Side A
1.愛の余韻 - Aftertones
2.踊りたいのに - I Would Like to Dance
3.恋は盲目 - Love Is Blind
4.バラの少女 - Roses
5.ブルースの華 - Belle of the Blues
Side B
1.朝にお別れを - Goodbye to Morning
2.酔いに身をまかせて - Boy, I Really Tied One On
3.悪い夢 - This Must Be Wrong
4.疲れ果てた心 - Don't Cry, Old Man
5.聖なる歌 - Hymn
バックを務めるのは
リチャード・デイヴィス(Richard Davis,b)
バリー・ラザロウィッツ(Barry Lazarowitz,ds)
ステュ・ウッズ(Stu Woods,b)
ジェフ・レイトン(Jeff Layton,g)
ロメオ・ペンク(Romeo Penque,oboe flute)
フィル・ボドナー(Phil Bodner,oboe flute)
等々その他多数。
それにバッキングヴォーカルでオデッタやフィビー・スノウも参加しています。
プロデュースはブルックス・アーサー(Brooks Arthur)です。
このアルバムは日本では一番売れたのではないでしょうか。「恋は盲目」のヒットにあやかって、アルバムもかなり売れたと思います。
「恋は盲目」は名曲です。実はこの曲は友人のS.S君のお気に入りだったのですが、私の学生時代にはテレビなるもの所有していなかったので、というか買えなかったので、この曲を全く知りませんでした。当時はヒットチャートにもあまり興味もありませんでしたから尚更です。S.S君はテレビを持っていたので、おそらくテレビドラマを見ていたのでしょう。「いい曲だ、いい曲だ」と言われても、こちらは判りません。その内にラジオで頻繁にかかるようになり、それで知りました。確かにいい曲でした。今でも時々口ずさみます。悲しく切なくなるような旋律がたまりません。
このアルバムもそうですがジャニスのアルバムには多分にジャズ的要素が入っています。参加ミュージシャンもジャズ界からの参加が多く見られます。
その翌年にはアルバム『奇跡の街(Miracle Row)』がリリースされます。
ここからは先述の『岸辺のアルバム』の主題歌「Will You Dance?」がヒットします。
ジャズ的要素を一層強めたアルバムになりました。
ジャニス・イアンは一言で言ってしまうと都会的センスにあふれたシンガー・ソングライターと言ったところでしょうか。ニューヨーク生まれというのも多分に影響していると思います。
悲し気に澄んだ声が何とも心に染み入ります。
その後も同性愛者であることを告白、その彼女との結婚で話題を呼びました。
現在も活躍中だと思います。まだ67歳ですから。
Janis Ian At Seventeen 17 Lyrics
それでは今日はこの辺で。