『NO NUKES』コンサートは1979年3月28日、アメリカペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所で重大な事故が起きたことに対し、かねてから原発に反対を表明していた、ジャクソン・ブラウン、グラハム・ナッシュ、ボニー・レイット、ジョン・ホールたちが早速MUSE(ミュージシャンズ・ユナイテッド・フォー・セーフ・エネルギー)なる組織を立ち上げ、企画・開催したコンサートです。
1979年9月19日から5日間に渡ってニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開催されました。多くのミュージシャンが賛同し、出演しました。
その時の模様が3枚組レコードとして発売されました。
ブックレットの一部
Side A
1.Dependin' on You – The Doobie Brothers
2. Runaway – Bonnie Raitt
3. Angel from Montgomery – Bonnie Raitt
4. Plutonium is Forever – John Hall
5. Power – The Doobie Brothers with John Hall and James Taylor
Side B
1.The Times They Are A-Changin' – James Taylor, Carly Simon and Graham Nash
2. Cathedral) – Graham Nash
3. The Crow on the Cradle – Jackson Browne and Graham Nash
4. Before the Deluge – Jackson Browne
Side C
1.Lotta Love) – Nicolette Larson and The Doobie Brothers
2. Little Sister – Ry Cooder
3. A Woman – Sweet Honey in the Rock
4. We Almost Lost Detroit – Gil Scott-Heron
5. Get Together – Jesse Colin Young
Side D
1.You Can't Change That – Raydio
2. Once You Get Started – Chaka Khan
3. Captain Jim's Drunken Dream – James Taylor
4. Honey Don't Leave L.A. – James Taylor
5. Mockingbird – James Taylor and Carly Simon
Side E
1. Heart of the Night – Poco
2. Cry to Me – Tom Petty and the Heartbreakers
3. Stay – Bruce Springsteen & The E Street Band with Jackson Browne and Rosemary Butler
4. Devil with the Blue Dress Medley – Bruce Springsteen & The E Street Band
Side F
1.You Don't Have to Cry – Crosby, Stills & Nash
2. Long Time Gone – Crosby, Stills & Nash
3. Teach Your Children – Crosby, Stills & Nash
4. Takin' It to the Streets – The Doobie Brothers and James Taylor
バックにはおなじみのメンバーが顔を揃えます。
デヴィッド・リンドレー(g,fiddle)
クレイグ・ダージ(key,synthe)
ラス・カンケル(ds)
ボブ・クラウブ(b)
ティム・ドラモンド(b)
ジョー・ララ(perc)
ワディ・ワクテル(g)
リランド・スクラ―(b)
ダニー・コーチマー(g)
リック・マロッタ(perc)
デヴィッド・サンボーン(sax)
ローズマリー・バトラー(vo)
その他多数
A-1はドゥービー・ブラザーズです。アルバム『ミニット・バイ・ミニット』より。実は正直言ってこの時期のドゥービーにはあまり興味がありません。お目当てのトム・ジョンストンが退団し、マイケル・マクドナルドの影響力が多くなっていました。ここでもAOR風ロックです。それでも来日公演はよかったですが。
A-2,3はボニー・レイットの「ラナウェイ」。ボニー・レイットはアルバム『Sweet Forgiveness』でも取り上げており、お気に入りのようです。A-3はアルバム『Streetlights』より。
A-4はオーリャンズのジョン・ホール。1979年のソロアルバム『Power』より。
A-5はジョン・ホールとドゥービー・ブラザーズとジェイムス・テイラーによるジョン・ホールの「パワー」です。この曲はこのライブの目玉です。ほぼ全員参加です。
Side Bは圧巻です。
B-1はジェイムス・テイラーとカーリー・サイモンの夫妻とグラハム・ナッシュによるボブ・ディランの「時代は変わる」です。
B-2はグラハム・ナッシュのCS&N時代の曲。アルバム『CSN』より。いい曲です。
B-3はシドニー・カーターの曲をジャクソン・ブラウンとグラハム・ナッシュで。
B-4はジャクソン・ブラウンの3枚目のアルバム『レイト・フォー・ザ・スカイ』より「ビフォアー・ザ・デリュージ」。原発事故を予言するような歌です。名曲。
C-1はニコレット・ラーソン。バックはドゥービー・ブラザース。ニコレットのファーストアルバム『愛しのニコレット』に収められたニール・ヤングの「溢れる愛」。大ヒットしました。このアルバムにはドゥービーの連中も参加しています。
C-2はライ・クーダー登場。アルバム『Bop Till You Drop』に収められた曲。デヴィッド・リンドレーも加わっています。いいです。
C-3はスウィート・ハニー・イン・ザ・ロック。アフリカ系アメリカ人のアカペラ・グループ。
C-4はギル・スコット・ヘロン。アメリカの黒人シンガー・ソングライター。吟遊詩人です。
C-5はジェシ・コリン・ヤング。ヤングブラッズ時代のヒット曲です。「ゲット・トゥゲザー」はクイックシルバーのディノ・バレンティの曲。
D-1はレイディオ。アメリカのファンク、R&Bのバンド。彼らのセカンドアルバム『ロック・オン』より。
D-2はチャカ・カーン。アメリカの代表的R&B系の女性シンガー。ルーファスのヴォーカリスト。ルーファス解散後はソロに。この曲はルファース時代の曲。
D-3はジェイムス・テイラーの弾き語り。アルバム『イン・ザ・ポケット』より。
D-4もジェームス・テイラー。バックにワディ・ワクテル以下を従えての演奏。アルバム『JT』より。
D-5はカーリー・サイモンのヒット曲「モッキンバード」を夫婦で熱唱。
E-1はポコです。1978年の13枚目のアルバム「レジェンド」より。もちろんリッチー・ヒューレイもジム・メッシーナもいません。ポール・コットンとラスティ・ヤングは在籍。
E-2はトム・ペティとハートブレイカーズ。トム・ペティ、残念ながら他界してしまいました。トム、ノリに乗っている時期。
E-3はいよいよブルース・スプリングスティーン登場。ジャクソン・ブラウンとの競演が実現しました。続いてもスプリングスティーンとE-ストリートバンドのロックンロールメドレーです。貫禄十分です。
F-1,2,3はクロスビー・スティルス&ナッシュです。往年の名曲を3曲続けて。F-1は3人の弾き語り。F-2はクロスビーの名曲「ロング・タイム・ゴーン」をスティルスのリードギターで。F-3はナッシュのおなじみの「ティーチ・ユア・チルドレン」を会場全員で合唱。盛り上がりました。
ラストはドゥービー・ブラザ-スのヒット曲「テイキン・トゥ・ザ・ストリート」を多くの出演者と共に演奏・合唱でフィナーレを迎えます。テッド・テンプルマンまでパーカッションで参加しています。
1979年というと『ウッドストック』からちょうど10年です。考えてみれば『ウッドストック』の頃は若者たちがただただ自由を求めて、という感じでしたが、10年経つと社会に対する問題意識が変わってきているのが分かります。
出演者はトム・ペティやニコレット・ラーソンなどを除くとどちらかといいうと全盛期を過ぎた『ウッドストック』世代のミュージシャンたちです。彼らもそれなりの年齢重ねて、問題意識が変化してきたのでしょう。
また、音楽面でも10年の間に様変わりしました。10年前は泥臭く、田舎臭いロックだったのが、10年後は垢抜けて都会的になってきました。
さらに10年経った1989年、さらに10年経った1999年になると、また全然様変わりをしています。こうして昔の音楽を聴いているだけでも時代の移り変わりを実感します。
Bonnie Raitt - Runaway - LIVE at No Nukes
Jackson Browne - Before The Deluge Live at No Nukes 1979
Cathedral - Graham Nash No Nukes 1979 Live (high quality)
Bruce Springsteen - No Nukes - final - 1979 Madison Square Garden
- アーティスト: Various Artists
- 出版社/メーカー: Elektra / Wea
- 発売日: 1997/10/21
- メディア: CD
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それでは今日はこの辺で。