Flying Skynyrdのブログ

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これぞ隠れた名盤『L.A.Getaway』

ジャケットには3人の名前と『L.A.Getaway』というタイトルが記されただけのアルバムです。

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Side A

1.Bring It To Jerome

2.It's Your Love

3.Long Ago

4.Craney Crow

5.The Promised Land

 

Side B

1.Ole Man Trouble

2.Eyesight

3.L.A. Getaway

4.Big City

5.So Long

 

プロデュースはなんとあのポール・ロスチャイルド(Paul Rothchild)です。

 

ジャケットに記された3名とは、まず

ジョエル・スコット・ヒル(Joel Scott Hill,g,vo)です。

彼はこのセッションの後、キャンド・ヒート(Canned Heat)フライング・バリット・ブラザース(THe Flying Burrito Brothers)に参加します。

 

次はクリス・エスリッジ(Chris Ethridge,b,vo)です。

彼はグラム・パーソンズ(Gram Parsons)インターナショナル・サブマリン・バンド(The International Submarine Band)、そして彼と共にフライング・バリット・ブラザース(The Flying Burrito Brothers)の設立メンバーとして参加します。退団後も多くのミュージシャンのレコーディングに参加して、このセッションに参加しました。その後もロサンゼルス周辺では欠かせないセッションマンとして活躍しました。

 

最後はジョニー・バルバタ(Johny Barbata,ds)です。

彼はタートルズ(The Turtles)からスティヴン・スティルス(Sephen Stills)デイヴ・メイソン(Dave Mason)ライ・クーダー(Ry Cooder)グラハム・ナッシュ(Graham Nash)のソロアルバムに参加、そしてCSN&Yにドラマーとして参加します。このセッション後はジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane)からジェファーソン・スターシップ(Jefferson Starship)へ参加します。

 

この他のメンバーがこれまた凄い。

ドクター・ジョンこと(Mac Rebennack,p, on A1, A5)

ジョン・セバスチャン(John Sebastian,harmonica, on A1)

ブッカーT.ジョーンズ(Booker T. Johnes,Key, on A2, B4)

スプナー・オルダム(Spooner Oldham,p, on A3, B2, B5

ラリー・ネクテル(Larry Knechtel,organ on A3)

スヌーキー・ピート(Sneaky Pete,pedal steel,on A4)

クラレンス・ホワイト(Clarence White,g on B3)

レオン・ラッセル(Leon Russell,p,on B3)

シドニー・ジョージ(Sidney George,sax on B3, B5)

クライディ・キング(Clydie King,back vo, on  A2, A3, A4, B1)

ボビー・ホール(Bobby Hall Porter,conga,on A2)

 

びっくりします。これだけのメンバーが揃うとは、いったい何があったのでしょうか。詳しい経緯は分かりませんが、このアルバムはたった1日のセッションでレコーディングされた模様です。

 

このアルバムのリリースは1971年ですが、私が購入したのはおそらく1973~74年頃だったと思います。アメリカ盤のカットアウト盤でした。ジャケットの3人の名前を見て、馴染みの顔が揃っていると思い、廉価だからまあいいかと、あまり期待もせずに買いました。しかし、中身を見て天才ギタリスト、ザ・バーズクラレンス・ホワイトの名前を見つけた時には震えました。さらに、ドクター・ジョンジョン・セバスチャンレオン・ラッセル、スヌーキー・ピートなどなど好きなミュージシャンが顔を揃えています。むむ、これは期待できるかもと張りを落としました。

 

A-1はボ・ディドリー。ノリノリです。

A-2はクリスとジョエルとデイヴ・メイソンの共作です。デラニー&ボニーを思わせるスワンプミュージック。

A-3はダン・ペンのゴスペルタッチのバラード。これは凄い。ヴォーカルはクリス。

A-4はドクター・ジョンの曲。ファンキーなナンバー。

A-5はチャック・ベリーのロックンロール。

B-1はスローなブルース調のナンバー。ブッカーTの曲。バックコーラスが入り次第にゴスペル調になります。

B-2はR&Bなナンバー。ジョエルのアレンジとなっています。

B-3はクリスとレオン・ラッセル、グレッグ・デンプシーの共作。ヴォーカルはクリス。

B-4はクリスとジョエルの共作。軽快なロックンロール。

B-5はアラン・トゥーサンの曲。いかにもアランらしいニューオリンズ調の曲です。

 

すばらしいスワンプ・ロックンロール・アルバムです。

 

考えてみると、1971年といえば彼らの名前もまだまだ超メジャーというわけでもなかったゆえにこのようなセッションが可能だったのでしょう。

これぞ隠れた名盤です。

 


L.A. Getaway - Long Ago


L.A. Getaway - L.A. Getaway


Big City- Joel Scott Hill

 

 

それでは今日はこの辺で。