アリゲーター創立２０周年コレクション(Alligator Records 20th Anniversary Collection)

今やブルースレーベルの老舗となたアリゲーター・レコード。設立は１９７１年ですから、ブルースのレーベルとしては新しい方です。しかし、その後チェスをはじめ多くの老舗ブルースレーベルが消滅していきました。その中で生き残っている数少ないレーベルの一つです。

そのアリゲーター・レコードが創立２０周年を記念して、１９９１年にリリースされたのが『アリゲーター創立２０周年コレクション(The Alligator Records 20th Anniversary Collection)』です。

これ以降、５年ごとに創立記念コレクションをリリースしています。最新盤は２０１６年の『創立４５周年コレクション』です。

アリゲーター・レコードは１９７１年に当時２３歳だったブルース・イグロアがシカゴで設立しました。ブルース・イグロアはもともとブルース、ジャズのレーベル、デルマーク・レコードの非正規の社員でした。

ある日、シカゴのフローレンス・ラウンジというブルースのクラブハウスでハウンド・ドッグ・テイラー、ブリュワー・フィリップス、テッド・ハーヴィの３人を聴いたのがきっかけでした。「これをレコーディングしなきゃ」と思い、デルマーク・レコードに掛け合いましたが断られました。それならば自分でレコード会社を起こし、レコーディングしようと思ったのでした。それがアリゲーター・レコードの出発でした。

記念すべきレコーディング第１号は「ハウンド・ドッグ・テイラー＆ハウス・ロッカーズ」でした。このレコードは最初の１年間で１万枚も売れたと言いますから、ブルース界では成功と言えます。

その後もビッグ・ウォルーター・ホートンや当時無名のサン・シールズのレコーディングなども行いました。さらに大物女性ブルースシンガー、ココ・テイラーやフェントン・ロビンソンと続き、アリゲーターはその知名度を上げていきました。

それまでアリゲーターはシカゴのブルースマンに焦点を当てていましたが、１９７０年代の終わりごろテキサスのブルースマン、アルバート・コリンズのレコーディングを行う機会を得ました。これをきっかけにニューオリンズのプロフェッサー・ロングフェアのレコーディングにも成功しました。こうしてアリゲーターはシカゴのみならず全米にその足場を広げていったのです。

１９８０年代になるとアリゲーターは大きく成長しました。そしてブルースロックの重鎮ジョニー・ウィンターから契約の申出がありました。さらにブルースロックのギタリスト、ロイ・ブキャナンとの契約で、アリゲーターはロック界にも知られるようになり、れっきとしたレコード会社として認められるようになりました。

さらに、ロニー・マックとの契約はその弟子にあたる、当時売出し中のスティーヴィー・レイ・ヴォーンとの関係もあってさらにアリゲーターの名を知らしめました。レコーディングには当然スティーヴィーも参加しアルバムは売れました。

その後のジェイムス・コットン、クラレンス・ゲイトマウス・ブラウンとのレコーディングなども有名です。

またリル・エド・ウィリアムズ、リトル・チャーリー＆ザ・ナイトキャッツ、ティンズレー・エリスなど新人との契約、ベテランのエルヴィン・ビショップ、チャーリー・マッスルホワイトとの契約など数多くのアーティストとの契約をものにして、その勢いはブルース界が低迷する中ひと際輝いていました。

そして現在、創立５０年に達しようとしています。創立者のブルース・イグロアが在籍していたデルマーク・レコードと共に、これからもブルースレコード界を牽引してもらいたいものです。

『Alligator Records 20th Anniversary Collection』