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映画『国家が破産する日』を観る

昨日のキネ旬シアターは『国家が破産する日』でした。

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監督:チェ・グクヒ

主演:キム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノ

製作:2018年 韓国 2019年 日本公開

 

1997年に韓国で起きた通貨危機をベースにした映画です。

韓国はこの1997年の通貨危機の際にIMFの救済を受けましたが、その後も2007年の世界同時不況の際にも通貨の暴落があり、最近の経済情勢もなにやら怪しくなっているなどのことから、現状を危惧してこのような映画が製作されたのではないでしょうか。

 

1997年、韓国は経済成長を遂げ、国民の85%以上が中間層と答えるくらいに経済が発展しました。しかし、このような状況の下でも経済危機が忍び寄っていました。このような状況の中で、それぞれに立場が異なる3人の人物を通して韓国社会を描いていきます。

 

一人目は韓国銀行の通貨政策チーム長のハン・シヒョンです。彼女はいち早く韓国経済の危機を察知し、国家が破産するまでの期間は7日間だと上司に報告します。政府はチームを招集しパク・デヨン財務局次官はIMFへの援助を提案します。しかし、ハンはIMFの国家介入を懸念して反対意見を述べます。

画像,国家が破産する日

 

二人目は独自にこの危機を察知したノンバンク会社の社員ユン・ジョンハク。彼はこの危機をチャンスととらえ会社を辞め、顧客を募って大賭けの投資を目論見ます。

 画像,国家が破産する日

 

三人目は食器工場の経営者ガプス。彼は大手百貨店からの大口の取引を、今までは受けなかった手形取引で請け負ってしまいます。ガプスは経済状況などにはあまり関心がなく、国家を信頼していました。

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やがて韓国市場はいっきに大暴落。ユンは投資の成功に大喜び。一方ガプスは手形が不渡りになり絶望します。そしてここでパク財務次官はIMF援助へと方針を決めますが・・・。

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一人の政府高官や政治家の思惑で国や国民の行方が左右されるという理不尽さは、あるいはどの国にでも起こりえるのかもしれません。この映画でも財務次官の独断でIMFへの援助を画策し、政府もこれを受け入れます。しかし、その結果はその後の韓国内の状況を見れば明らかです。貧富の差は拡大し、富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しく。派遣労働制の導入、解雇権の付与などによる失業者、自殺者の急増。それでも国家は破産を免れました。どちらが国にとって、あるいは国民にとって良かったのでしょうか。 

 

そして現在、再び危機的状況に。アメリカにも、中国にも、ロシアにも、北朝鮮にも、そして日本にも見放された感のある韓国。さてこの先の運命やいかに・・・。

 


『国家が破産する日』予告編

 

それでは今日はこの辺で。