今日の「この人の、この1枚」はパブロ・クルーズ(Pablo Cruise)の『絆(Lifeline)』です。
パブロ・クルーズは1973年にサンフランシスコで結成されたバンドです。メンバーはストーングラウンド(Stoneground)の元メンバー、デヴィッド・ジェンキンス(David Jenkins,vo,g)、コーリー・レリオス(Cory Lerios,key,vo)、スティーヴ・プライス(Steve Price,ds)の3人とイッツ・ア・ビューティフル・デイ(It's A Beautiful Day)のバッド・コックレル(Bud Cockrell, b, vo)でした。
これらサンフランシスコのバンド出身からできたバンドですから当然シスコサウンドを期待しました。
当時はウェストコースト・サウンドと言っても、まだまだサンフランシスコとロサンゼルスでは音楽性が違っていて、ビジネスにおける方向性も違っていました。
ストーングラウンドもイッツ・ア・ビューティフル・デイもサンフランシスコで育ったバンドで、どちらかというとライヴ志向でアルバム志向のバンドです。パブロ・クルーズはそこから生まれたバンドですから、当然そちら方面の音を期待したわけです。
そんな中、1975年にファースト・アルバムが発表されました。『Pablo Cruise』です。さっそく買って聴きました。
おやおや、この音はロスの音に近いな、いよいよシスコサウンドも変革期を迎えたか 、との第1印象でした。
そして翌年、セカンド・アルバム『絆(Lifeline)』がリリースされました。
Side A
1.Crystal
2.Don't Believe It
3.Tearin' Down My Mind
4.(I Think) It's Finally Over
5.Lifeline
Side B
1.Zero To Sixty In Five
2.Look To The Sky
3.Never See That Girl Enough
4.Who Knows
5.Good Ship Pablo Cruise
メンバーは変わらず
デヴィッド・ジェンキンス(David Jenkins, g, harmonica, vo, b)
スティーヴ・プライス(Steve Price, perc, ds)
バッド・コックレル(Bud Cockrell, b, vo)
コーリー・レリオス(Cory Lerios, p, key, Synthe, vo)
アディショナルで
ジェフリー・パーマー(Geoffrey Palmer, sax)
スティーヴ・フレディアニ(Steve Frediani, sax)
アンドリュー・ゴールド(Andrew Gold,g, vo)
ダン・ダグモア(Dan Dugmore, pedal steel guitar)
アンドリュー・ゴールドはまだ売れていなかったかもしれません。
プロデュースはヴァル・ガレイ(Val Garay)です。
サウンドは前作の延長戦上で、ロック色は強くなったものの、後のAORに通じるような、そしてロス・サウンドにちかい爽やかな音でした。
この2枚は商業的にはいまいちでした。売れ出したのはこの次からでした。
1977年にシングル「Whatcha Gonna Do?」がビルボードの6位とヒットし、アルバム『A Place in the Sun』も19位となりました。
続く『Worlds Away』は前作を凌ぐ売れ行きを見せ、全米6位になり、シングルの「Love Will Find a Way 」も6位に輝きました。
しかし、こともあろうにこの一番売れた2枚を私は買い逃しました。なぜだったのでしょう。あまり急に売れ出したから敬遠したのかもしれません。
そして、次のアルバムに手を出したのです。『Part of the Game』です。
この時は既にバッド・コックレルがバンドを去り、ブルース・デイ(Bruce Day,b)に代わっていました。
前作ほどではないにしても全米19位ですから売れました。しかし、音はすっかりあか抜けていました。
これで私のパブロ・クルーズの歴史は終わりました。
バンドは1983年のアルバムを最後に解散しました。時代はもはや旧来のサウンドを求めてはいませんでした。最後のアルバムはチャートインも果たせませんでした。
シスコもロスもない、ということを実感させられたバンドでした。
Pablo Cruise - Look To The Sky
Pablo Cruise - Never See That Girl Enough
それでは今日はこの辺で。