今日の「この人の、この1枚」はキャプテン・ビーフハート(Captain Beefheart)の『美は乱調にあり(Doc at the Radar Station)』です。
フランク・ザッパ(Frank Zappa)を取り上げたので、奇人変人の両巨頭、キャプテン・ビーフハートを取り上げないわけにはいきません。
キャプテンの数あるアルバムの中からこれを選んだのもジャケットです。このジャケットの作者はドン・ヴァン・ヴリート(Don Van Vliet)です。何を隠そう、キャプテン・ビーフハートの本名です。前作の『シャイニー・ビースト(Shiny Beast)』でも表裏の絵は彼の描いたものです。まさに前衛芸術家という感じがします。よくわかりませんが・・・。
キャプテン・ビーフハートは1941年、カリフォルニア州グランディル生まれです。高校時代にフランク・ザッパと知り合い、一緒にロックンロールのバンドも作りましたがうまくいかず、別れますがお互いの親交は続きます。そしてザッパはロスアンゼルスでマザーズ・オブ・インベンションを結成。同じころ、キャプテンはランカスターでマジック・バンド(The Magic Band)を結成します。キャプテン・ビーフハートという名前もザッパのアイデアでした。
1967年に『Safe as Milk』でデビューします。
そして1969年の3枚目のアルバム『Trout Mask Replica』で前衛的なロックで注目を浴びました。ブルース、ジャズ、ロックの融合。まさにフランク・ザッパと通ずるものがあります。後に二人の競演盤も発売されます。
それから1974年まではコンスタントにアルバムをリリースしていましたが、マジック・バンドが離れたため、キャプテンはザッパと『狂気のボンゴ』を発表します。そのためしばらく間隔があいて1978年に前作『シャイニー・ビースト(Shiny Beast)』を発表し、1980年に『美は乱調にあり(Doc at the Radar Station)』が発表されました。単独アルバムとしては11枚目です。
Side A
1.Hot Head
2Ashtray Heart
3.A Carrot Is as Close as a Rabbit Gets to a Diamond
4Run Paint Run Run
5.Sue Egypt
6.Brickbats
Side B
1.Dirty Blue Gene
2.Best Batch Ye
3.Telephone
4.Flavor Bud Living
5.Sheriff of Hong Kong
6.Making Love to a Vampire with a Monkey on My Knee
メンバーは
Captain Beefheart – vo, harm, sax, clarinet
John French – g, b, ds, marimba , vo
Jeff Moris Tepper – g,vo
Eric Drew Feldman – synthe, b, mellotron,p, vo
Robert Arthur Williams – ds, vo
Bruce Lambourne Fowler – trombone
まずはキャプテン・ビーフハートのヴォーカルを堪能すべきでしょう。ガラガラ声のだみ声で叫びながら歌います。まずこれに慣れないと最後まで聴き通すのは難しいかもしれません。A2などはその典型です。
ところがA3になると打って変わって美しいメロディのインストナンバーへと流れていきます。そして再びかすれ声が登場。この流れはB面でも繰り返されます。B4の美しさから一転狂気の世界へ。
1980年というとちょうどパンク・ニューウェイヴの時代です。前記した『Trout Mask Replica』がパンク・ニューウェイヴに大きな影響を与えたと言われていますが、その本家本元のパンクを超えたパンクです。
キャプテン・ビーフハートは2010年多発性硬化症で亡くなりました。69歳でした。
それでは今日はこの辺で。
Captain Beefheart - Ashtray Heart
A Carrot is as Close as a Rabbit Gets To A Diamond - Captain Beefheart & His Magic Band
Best Batch Yet - Captain Beefheart & His Magic Band
Making Love to a Vampire with a Monkey on my Knee - Captain Beefheart & His Magic Band
それでは今日はこの辺で。