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映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』を観る

昨日のキネ旬シアターは『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』でした。

 

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監督:田部井一真

出演:ムヒカ、安藤サクラ(声)

製作:2020年 日本

 

2020年10月20日に政界を引退した、南米ウルグアイの第40代大統領、ホセ・ムヒカの人生観や世界観を伝えるドキュメンタリー映画です。

 

ムヒカは2012年のブラジルのリオデジャネイロで行われた環境問題を問う国連会議における演説が日本でも子供向けに『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』として絵本で出版され話題になりました。

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ

 

 

2010年から5年間大統領を務めたムヒカは収入の大半を寄付し、公邸にも住まず、小さな農場で妻と質素に暮らしていました。いつしか世界で一番貧しい大統領と呼ばれるようになりました。そしてこの国連会議での「人間の幸福とは何か」を問う演説が世界中で話題になりました。

ムヒカの人生は波乱万丈でした。貧困家庭に生まれ、花の栽培で生計を立てていました。その後、ゲリラ組織に加盟し、反政府運動を展開しました。6発の銃弾を受けたこともあります。当時の軍事政権には何度も逮捕され1972年の逮捕の時には12年もの間投獄されました。出所後に左翼政治団体を結成し1995年に下院議員、2009年に大統領選挙で勝利し、2010年に就任しました。2015年に大統領を退き、上院議員として活動。そして今年10月に高齢を理由に政界を引退しました。

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フジテレビのディレクターだった田部井一真はムヒカをテレビで取り上げようとウルグアイに向かいました。ムヒカは気さくに取材に応じてくれました。そして日本の歴史や文化に詳しいことに驚かされました。ムヒカが日本に詳しいのは近所に日本人の移民が多く住んでいたからでした。ムヒカは彼らに日本人の規律の正しさと勤勉さ、そして花の栽培を学んだのです。

その後も何度もウルグアイを訪れ取材を重ね、ムヒカの言葉に感動した田部井監督は日本人にムヒカの話を聞いて欲しいと思い、来日を要請します。そして2016年それが実現しました。

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日本では東京や京都を訪れ、今の日本には二面性があると感じました。西洋化した文化と、その根底にある古来からの日本文化です。「どうしてポスターに西洋人を使うの?」などという質問もありました。

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ムヒカは一番の目的だった広島を訪れました。来日前のインタビューでは「日本に来て、もし広島に来なかったら、それは日本の歴史に対する侮辱だと思う。同時に人類に対しても。」と話していました。

広島の原爆記念館では記帳ノートに「記憶しよう。未来へ向けて記憶しよう。人間は同じ石でつまずく唯一の動物だと歴史が示しているのだから、記憶することは不可欠だ」と記しました。

 

そしてムヒカは若者たちとの交流を望み、東京外国語大学で講演しました。

「人間には二つの選択肢がある。一つは生まれたから生きる。これはすべての生き物と同じ道です。そしてもう一つは人生を操縦することだ」と。

「人生で一番大事なことは成功することじゃない。歩むことだ。転んでも再び立ち上がること」と。

 

そして講演後語ったことは「80歳を超えた老人の話を一番理解してくれたのは若者だった」と。日本の未来にも一筋の光が射したような気がしました。

 

珠玉の名言が数多く飛び出しましたが、残念ながら記憶力の衰えから思い出すことができません。ボケ老人は役に立ちませんね。

監督の田部井一真は初めて生まれた子供に「歩世(ホセ)」と名付けました。ホセ・ムヒカのホセから「世界を歩み続けて欲しい」という願いからでした。恐れ入りました。

 

 

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『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』予告編

 


映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』本編映像①


映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』本編映像②

 

 

それでは今日はこの辺で。