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この人の、この1枚『ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)』

今日の「この人の、この1枚」はポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)のファースト・アルバム『ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)』です。

 

このシリーズでは前回まで「キャンド・ヒート」を取り上げていました。そこで今回はやはりこのブログの『ブルースロックの名手たち』で紹介したポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)を取り上げたいと思います。

キャンド・ヒートを取り上げて、シカゴ・ブルースのメッカ、シカゴで生まれ育ったポール・バターフィールドを取り上げないわけにはいきません。両者ともアメリカの白人ブルース・ロックを代表するバンドです。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

この記事の中でこのバンドについてちょっと触れていますが、今読むとあまりにもあっさりとしすぎています。

 

ということで、すこし彼らについて書いておこうと思います。

 

ポール・バターフィールドは1942年のシカゴ生まれです。子供のころはクラシックを習いフルートを吹いていました。しかし、途中でブルースに嵌り、とくにハーモニカに夢中になりました。学生の頃はすっかりブルースのとりこになり、マディ・ウォーターズハウリン・ウルフ、オーティス・ラッシュなどとも会うことができ、彼らにもその才能を認めてもらいました。その頃、一緒に演奏していたのがニック・グレイヴナイツ(Nick Gravenites)です。

やがてシカゴ大学に入学すると、エルヴィン・ビショップ(Elvin Bishop)と知り合い、バンドを組み演奏するようになります。その様子をプロデューサーのポール・ロスチャイルド(Paul Rothchild)が目を付けます。そしてもう一人マイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield)を紹介しメンバーに入れさせました。そしてエレクトラ・レコードと契約しました。

彼らは1965年のニューポート・フォーク・フェスティバル出演することになり、そこでボブ・ディランのマネージャー、アルバートグロスマンと契約し、ディランのバックバンドとして演奏しました。これは衝撃的で、彼らの名前は一躍有名になりました。

そして、マーク・ナフタリン(Mark Naftalin,key)を加入させ、レコーディングが開始されし、この年ファースト・アルバム『ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)』がリリースされました。

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Side A

1.Born In Chicago

2.Shake Your Money-Maker

3.Blues With A Feeling

4.Thank You Mr. Poobah

5.I Got My Mojo Working

6.Mellow Down Easy

 

Side B

1.Screamin'

2.Our Love Is Drifting

3.Mystery Train

4.Last Night

5.Look Over Yonders Wall

 

メンバーは

ポール・バターフィールド(Paul Butterfield,vo,harmonica)

マイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield,g)

エルビン・ビショップ(Elvin Bishop,g)

ジェローム・アーノルド(Jerome Arnold,b)

サム・レイ(Sam Lay,ds, vo)

マーク・ナフタリン(Mark Naftalin,org)

 

ジェロームとサムは共に黒人でハウリン・ウルフのバンドにいました。

 

プロデュースはポール・ロスチャイルド(Paul Rothchild)マーク・アブラムソン(Mark Abramson)です。

 

いよいよ白人ブルース・ロックバンドの幕開けです。

 

A1はニック・グレイヴナイツの曲。いかにもシカゴブルースという感じです。

A2はエルモア・ジェイムスのブルースナンバー。

A3は最高のブルース・ハーモニカ奏者、リトル・ウォルターの曲。ポール・バターフィールドのハーモニカも負けていません。

A4はポールとマイクとマークの共作。インストです。

A5はマディ・ウォーターズのヒット曲。

A6はウィリー・ディクソンの曲。

B1はマイクの曲で、インスト・ナンバー。ポールのハーモニカが凄い。

B2はポールとエルヴィンの共作。

B3はジュニア・パーカーとサム・フィリップスプレスリーでヒットしました。ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」でポール・バターフィールドが演奏していました。

B4はリトル・ウォルターの作品。

B5はジェイムズ・クラークの曲。マイクのギターに注目。

 

このアルバムはビルボードの123位になりましたが、それ以上にこれ以後のロック界に与えた影響は大きかったのではないでしょうか。

これまでにも白人がブルースを演奏するということが無かったわけではありませんが、本格的にブルース・バンドとして世に認められたのはこれが最初ではないでしょうか。

同じころ、アメリカの西海岸でもキャンド・ヒートが生まれ、そしてまた同じ頃、イギリスでもこのブルース・ブームに火が付き、ブリティッシュ・ブルースが沸き起こるのでした。

キャンド・ヒートが深くデルタ・ブルースを意識していたところがありましたが、ポール・バターフィールド・ブルースバンドのほうはどっぷりとシカゴ・ブルースに重心が置かれていました。

 

ポール・バターフィールド・ブルースバンドはこの後、世紀の名盤を生み出すことになります。

それは次回に回します。

 


The Paul Butterfield Blues Band "Born in Chicago"


Blues with a Feeling- Paul Butterfield Blues Band


I Got My Mojo Working


Our Love Is Drifting

 

 それでは今日はこの辺で。