先日のキネ旬シアターは『キング・オブ・シーヴス』でした。
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:マイケル・ケイン、ジム・ブロードベンド、トム・コートネイ
製作:2018年 イギリス 2021年 日本公開
2015年、イギリス史上最高額の、そして最高齢者たちによる宝石泥棒事件が発生しました。この映画はその事件をモデルにした映画です。
ネタバレです。
ブライアン・リーダーはかつての「泥棒王」で現在77歳。すっかり足を洗い、妻と平穏な暮らしを送っていました。しかし、その妻が突然亡くなってしまいました。
その葬式の日、かつての泥棒仲間が集まって、昔の窃盗の話を懐かしくしています。その話に興味を持った若い男がいました。バジルです。
後日、そのバジルがブライアンを訪ねてきました。そして宝石店ハットンガーデンの地下の貸金庫に侵入して宝石を盗まないかと持ち掛けます。最愛の妻に先立たれて、生きる望みも失いかけていたブライアンはその話に乗りました。そしてかつての泥棒仲間のテリー、デニー、カール、ケニーに声をかけます。バジルを除けば高齢者ばかりです。
6人は準備を始め、イースターの休日を狙って宝石店に忍び込みます。地下室にある貸金庫室の分厚いコンクリートの壁をドリルで穴をあけ、侵入するという作戦です。しかし、機材の一部が古くなっており、うまく穴をあけられません。やむなく機材を調達して出直すことにしました。
ブライアンがケリーの家に泊まった翌朝、ビリーという男が訪ねてきます。ケリーはビリーも仲間に加えると言います。怒ったブライアンは自分は手を引くと言って帰ってしまいました。
残ったメンバーは翌日再びハットンガーデンの地下室に潜り込み、壁に穴をあけることに成功し、貸金庫にたどり着き、現金や宝石を盗み出すことに成功しました。
そして、山分けの話になりました。バジルはブライアンにも分け前を渡すべきだと主張しますが、受け入れられず、少しの分け前を与えられて追い出されてしまいます。
ここから仲間同士の疑心暗鬼と罪のなすり合いが始まります。バジルはブライアンの元に行き事の成り行きを話します。ブライアンは3人を呼びつけ、真相を糺しますが、彼らは「バジルが嘘をついている」と言います。「バジルにはゴールドを渡した」というのです。ブライアンがバジルに確認すると、「彼らがうそをついているのだ」と言い、そのまま姿を消しました。
一方、警察は防犯カメラの分析から窃盗団を突き止めていました。ブライアンは自分の家が警察に包囲されていることに気がつき、ケリー、テリー、ダニーに知らせますが、時すでに遅し、警察に踏み込まれあっさり御用。そしてビリー、カールも逮捕。ただ一人、バジルだけは未だに捕まっていません。
ラストは裁判に向かう窃盗団が和気あいあいと会話を交わすシーンで終わります。
途中まで手に汗握る展開だったのが、警察にバレてからの展開は尻つぼみ。あっけない幕切れでした。何だったのでしょうかこれは。途中までが面白かっただけに残念です。
結局、バジルがまんまと儲けたということなのでしょうか。窃盗に入る前にブライアンからは、ある貸金庫の中に高級な宝石が保管されていることを教えられていました。それをこっそり盗み出し、それを仲間には内緒にしておき、自分は仲間から外されたという被害者のような顔をして、去っていったのです。そしていまだに逮捕されません。今頃は笑いを浮かべて豪遊しているのでしょうか。
フィクションとしてでもそういう謎解きのようなものがあった方が面白かったような気がします。
それでは今日はこの辺で。