Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『ミナリ』を観る

先日のキネ旬シアターは『ミナリ』でした。

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監督:リー・アイザック・チョン

出演:ティーヴン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン

製作:2020年 アメリカ合衆国 2021年 日本公開

 

この映画は今年のゴールデン・グローブ賞外国語映画賞を獲得しました。またアカデミー賞の作品賞にもノミネートされましたが、残念ながら受賞はなりませんでしたが、出演女優のユン・ヨジョンがアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

ちなみに作品賞は『ノマドランド』でした。中国人監督の作品です。製作はアメリカです。昨年の作品賞は『パラサイト』で、このところアジア系の映画が注目されています。

 

映画は韓国系移民のジェイコブ・イが一獲千金を夢見て妻のモニカ、そして娘のアンと息子のデビッドを連れて、アメリカ南部のアーカンソー州の田舎にやってきます。ジェイコブはここで農地を開拓し大農場主になる夢を見ていました。

長旅の末にたどり着いた土地には古びたトレーラーハウスが待ち受けていました。ご機嫌なジェイコブとは打って変わって「約束が違う」と憮然とするモニカ。

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いきなり農場主になれるわけもなくジェイコブ夫婦は近所の孵卵場へ働きに出掛けます。長男のデビッドは心臓に病を抱え、病院までは1時間以上もかかることにも不満が溜まるモニカとの夫婦間の諍いが絶えず、子供たちも不安になります。

 

そこでモニカの母親スンジャを韓国から呼び寄せ子供たちの面倒を見てもらうことにしたのです。ところがこの母親スンジャは子供たちが想像した優しいおばあちゃんではなく、やかましく、口が悪く、学もなく、料理もできない。得意なのは花札という変なおばあちゃんでした。

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デビッドはこのおばあちゃんを毛嫌いしていましたが、あることがきっかけとなり仲良くなっていくのです。

一方、ジェイコブは孵卵場での勤務の傍ら、農場で食物の栽培を始めますが、なかなかうまくいきません。モニカの我慢は限界に近づいていました。

そんな中、或る事件が起きるのです・・・。

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今回はネタバレはやめます。と言っても、たいしてドラマティックな出来事が起きるような話ではありません。 あくまでも自分の夢を追いかける仕事中心の夫とそれよりも家庭を大事にしたい妻。そしてその夫婦仲の悪さに戸惑う子供たち。しかし、或ることをきっかけに家族を取り戻していくという、よくある話です。その触媒がおばあちゃんです。

 

ミナリとは韓国語のセリのことで「たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」ということらしいです。

エンドロールの最後に「すべてのおばあちゃんに捧ぐ」とありました。なるほど、です。

 

このところ、アジア系の映画がアメリカでもてはやされています。反対にそのアメリカでアジア系の人間に対するヘイトクライムのニュースが頻繁に流されています。しかも黒人によるアジア系人種に対する暴力が横行しています。以前からもこのような差別はあったのでしょうが、ここのところのヘイトクライムはトランプ前大統領の出現が拍車をかけたものだと推測されています。まさにアメリカの分断を生んだこの4年間でした。このような現象は世界各地で見られるようになっています。

せめて映画の世界だけはこのようなことが起こらないように願うばかりです。

 

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それでは今日はこの辺で。