先日、書き忘れていたバンドとしてヤードバーズを紹介しましたが、それ以上に忘れてならないアーティストがいました。この人がいなかったらブリティッシュ・ブルースは生まれていなかったし、その後のブリティッシュ・ロックも生まれていなかったかもしれません。それほどロック界にとって重要人物を書き忘れていたなんて、何たる失念でしょう。反省しております。
アレクシス・コーナー(Alexis Korner)、イギリスの多くのミュージシャンが彼のもとで育ちました。ブライアン・ジョーンズ、チャーリー・ワッツ、ジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルース、テリー・コックス、ダニー・トンプソン、グラハム・ボンド、ロング・ジョン・ボルドリー、シリル・デイヴィス、ズート・マネー等々、みんな彼が作ったバンド、ブルース・インコーポレイテッド(Blues Incorporated)から旅立っていきました。
また、彼がシリル・デイヴィスと組んで開設した会場ではエリック・クラプトンやミック・ジャガーなども出演し、ローリング・ストーンズのメンバーもここで出会って、バンド結成に至ったというのも有名な話です。
アレクシス・コーナーは1928年のフランス生まれで、1940年にロンドンに移りました。1950年代にジャズバンドで演奏していた頃にシリル・デイヴィスと出会いアメリカのブルースに興味を持ち、デュオとしてブルースを演奏し始めました。彼らは独自のクラブを開設すると多くの若手ミュージシャンが訪れました。
1961年にブルース・インコーポレイテッドを結成しました。このバンドは先のメンバー達が入れ替わり立ち代わり加わった珍しい、プロジェクトのようなバンドでした。
1966年にはバンドは解散しました。1970年にはビッグ・バンドCCSを結成し、レッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」をインストでカバーしヒットしました。今日紹介するレコードにはロバート・プラントとの競演も入っています。
そのアルバムが1972年にリリースされた編集盤『Bootleg Him! 』です。
この編集盤にはブルース・インコーポレイテッドからCCSまでの曲が2枚組レコードに収められています。
Bootleg Him!
Side A
1.She Fooled Me
2.I'm A Hoochie Coochie Man
3.Yellow Dog Blues
4.I Wonder Who
5.Dee
Side B
1.Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb On Me
2.Rockin
3.Honesty
4.I Got A Woman
5.Mighty-Mighty Spade And Whitey
Side C
1.Corina - Corina
2.Operator
3.The Love You Save
4.Jesus Is Just Alright
5.That's All
Side D
1.Evil Hearted Woman
2.Clay House Inn
3.Love Is Gonna Go
4.Sunrise
5.Hellhound On My Trail
A-1からB-4までがブルース・インコーポレイテッドです。
B-5とC-4はピーター・ソープ(Peter Thorup)と組んだニュー・クランチ(New Crunch)名義です。
D-4はCCSです。
その他はアレクシスのソロ名義やデュオです。その中のC-2はロバート・プラントのヴォーカルです。
アレクシス・コーナーは1984年、55歳で肺がんのため亡くなりました。「白人ブルース、ブリティッシュ・ブルースの父」でした。
それでは今日はこの辺で。