Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

ゴダール 逝く!!

昨夜、ニュースでジャン=リュック・ゴダールの死が報じられました。91歳でした。どうやら安楽死だったようです。

 

ゴダールといえばご承知の通りフランス・ヌーベルバーグ(新しい波)の旗手と言われた映画監督です。1959年に上映された勝手にしやがれで一躍映画界の革命児と言われた監督です。世界三大映画祭の最高賞をすべて受賞しました。

 

私が彼の名を知ったのは高校生の頃でした。当時、洋画に興味を持ち始め、映画雑誌(映画評論、キネマ旬報)なども購読するようになりました。その中で必ず名前が出てくる人物としてゴダールの存在を知りました。ところが、私が住む田舎町では当然ゴダールの映画などは上映されません。そんな時、雑誌にゴダールの映画を2本立てで上映するという広告が目に入りました。東京・新宿の映画館です。それまで東京など行ったことがありませんでした。なんとしても一度観てみたいと、一大決心をして単身東京へ行くことを決めました。電車賃を含め当時の私にとっては大金です。貯めた貯金をはたきました。その頃はインターネットなどありませんので、本屋で東京の地図を調べて映画館までの道順を覚え、どの電車に乗ったらいいかも調べ、朝早く東京へと向かいました。到着するまではハラハラドキドキとワクワク感でいっぱいでした。

無事、映画館に着いて2本立ての映画を観ました。記憶があいまいですがおそらく『アルファビル』『ウイークエンド』だったのではないかと思います。内容はさっぱりわからなかったような気がします。

 

その後、東京の大学へ進学してからは、1960年代のゴダール映画はすべて後追いですが観ることができました。上映館は様々な名画座でした。1970年代にはゴダールは商業映画から撤退してしまったので(80年代に復帰)、その間のゴダール映画は日本でも上映されなかったような気がします。今ではビデオやDVDですべて観られます。よい時代になりました。

 

『勝手のしやがれ』は製作が1959年という時代を考え合わせるとかなりショッキングな映画でした。カメラワークはドキュメンタリー・タッチで古い映画という感覚は全くありませんでした。まさに即興映画の如くでした。主役のジャン=ポール・ベルモンドジーン・セバーグがこれまた素晴らしかった。

 

また、1965年の代表作気狂いピエロも衝撃的でした。カラー映像が美しく、主演のベルモンドとアンナ・カリーナが素晴らしい。

 

ゴダール映画の特徴はセリフが長いこと。フランス語が分からず字幕を追いかけているだけで、観終わった後ぐったりします。極端に言うと画面の半分くらいが字幕でした。それがまた当時の学生にとっては良かったのです。世の中の風潮は学生運動も下火になったとはいえまだまだ盛んでした。そんな学生たちにとって映画は自分たちの考え・思想を具現化する場所だったのです。

 

最近になって、私が通っている『キネマ旬報シアター』でもゴダールの作品を上映しました。ゴダール映画は私のそれまでの映画観を根底から覆してくれたのです。リアルタイムで観ることはできませんでしたが、私にとってのゴダールは我が青春を彩った映画監督でした。

 

アラン・レネミケランジェロアントニーニ、フェデリコ・フェリーニルイス・ブニュエルヴィットリオ・デ・シーカアンジェイ・ワイダ、フランソワ・トリフォー、ピエル・パオロ・パゾリーニルキノ・ヴィスコンティ等々、私に映画の魅力を教えてくれた監督は皆いなくなりました。最近ではかつて映画界を賑わしてくれた監督・俳優などの映画人が続々と鬼籍入りしています。寂しい限りです。

 

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ゴダールに関する思い出話になってしまいました。失礼しました。

 

改めてジャン=リュック・ゴダール氏に謹んで哀悼の意を表します。合掌。

 

それでは今日はこの辺で。