先日のキネ旬シアターは『ニューヨークの王様』でした。
「フォーエバー・チャップリン~チャールズ・チャップリン映画祭」の続きです。
この映画で「チャップリン映画祭」もお終いのようです。
監督・脚本・製作・音楽:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン 、ドーン・アダムズ 、マクシーン・オードリー 、ジェリー・デズモンド
製作:1957年 イギリス、1959年 日本公開
イギリスで製作された、チャップリン主演の最後の作品です。
1952年にアメリカ合衆国を追放になったチャップリンがアメリカを痛烈に皮肉った映画です。
映画は革命のために国を追われたヨーロッパの小国エストロヴィアの国王シャドフがアメリカ合衆国に亡命します。そのアメリカで繰り広げられる出来事を通してアメリカの社会や政治を皮肉っています。ドタバタ風刺劇です。
チャップリンが追放されたアメリカに亡命という形で戻ってくるという設定からして皮肉です。そしてアメリカのテレビ業界の現状や共産主義者追放運動(赤狩り)にあきれ返ってアメリカを去り再びヨーロッパへ向かうという内容で、チャップリンのアメリカへの決別として描かれています。
映画の中盤、シャドフ王は共産党員を親に持つ少年と出会います。少年は共産党員の息子ということで肩身の狭い思いをしているのですが、学力・知識は天才的です。チャップリンはこの少年にアメリカでの赤狩りの馬鹿らしさやアメリカ社会の矛盾を語らせます。しかし、逮捕されている両親を助けるために少年は父親の仲間の名前を警察に密告してしまい、深く傷つきます。シャドフ王は少年にいずれヨーロッパへ来るようにと言って自分はアメリカを離れるのです。
この映画はアメリカでの上映は1973年までありませんでした。1974年にアカデミー賞の名誉賞を受賞することが決まり、その前にアメリカでの上映に踏み切ったのです。チャップリンは20年ぶりのアメリカに戻りました。名誉回復までに長い長い時間がかかりました。
少年を演じたのはマイケル・チャップリンでチャップリンの四男です。チャップリンは4回結婚し6男5女をもうけ、そのほとんどが俳優になっています。
チャップリンは日本びいきで生涯で4度来日しています。最初の来日は1932年5月で5.15事件があった年です。この時、日本の海軍青年将校らにとって危険人物とみなされたチャップリンの暗殺も計画されていたそうです。
それでは今日はこの辺で。