Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『笑いのカイブツ』を観る

先日のキネ旬シアターは『笑いのカイブツ』でした。

原作:ツチヤタカユキ「笑いのカイブツ」

監督:滝本憲吾

出演:岡山天音松本穂香菅田将暉、仲野太賀、片岡礼子

製作:2022年  日本

 

「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの同名私小説を原作としたドラマです。

ツチヤタカユキはかつてNHKで放送されていた『着信御礼!ケータイ大喜利』でレジェンドの称号を与えられた人物です。

 

笑いに人生のすべてを捧げているツチヤタカユキは年がら年中お笑いのネタを考えています。1日1000個のボケを考えるるというノルマまで課して、ようやくテレビの『ケータイ大喜利』のレジェンドに登りつめました。お笑いの道で生きていくという夢の念願がかなってお笑い劇場の小屋付き作家見習いになれたのですが、根っからの不器用といわゆる社会的常識の欠如、そして人付き合いの下手な彼は組織には馴染めず辞めさせられてしまいます。

そんな彼を救ったのがある芸人(漫才コンビ・ベーコンズの西寺)のラジオ番組でした。彼は番組にネタや大喜利の回答を送る「ハガキ職人」として人気を得ていました。するとあこがれの西寺から「東京で一緒にお笑いをやろう」と番組を通して声がかかったのです。ツチヤは上京し、漫才コンビ・ベーコンズの構成作家として必死に頑張るのですが・・・。

お笑い作家の自伝的小説が原作と聞いて、さぞお笑い満載かと思いきや笑える場面は一切ありませんでした。「人間関係不得意」というツチヤタカユキの生きづらさばかりが強調され、見ているのが苦しくなるような映画でした。バイトはネタのことばかり考えて何をやっても続かず、お笑い界に入っても人間関係で破綻してしまいます。最後には成功するというサクセスストーリーでもありません。自殺願望を抱える、才能を持ちながらも社会に馴染めない人間の苦悩を描いた映画でしょうか。しかし、それでも自分の夢を諦めきれない姿と、そんな彼の理解者の存在に救われます。

 

映画に出てくるベーコンズは漫才コンビ、オードリーのことで、ツチヤタカユキはオードリーの若林と同居していたこともあるらしいです。

それにしても、今の漫才はチーム編成で演出しているということに驚きました。てっきりコンビの2人がネタからすべて行っているものとばかり思っていたのですが、とんでもありませんでした。あのオードリーも構成作家など5~6人のスタッフがいました。ツチヤタカユキは彼らとの人間関係が上手くいかなかったようです。

 

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それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ『ワシントン広場の夜は更けて』

今日の聴き比べは「ワシントン広場の夜は更けて」です。

 

先日、何気なくテレビを観ていたら、何やら懐かしいメロディが流れていました。何のCMかは忘れましたが、間違いなく『ワシントン広場の夜は更けて』でした。

この曲は私が小学生の頃に流行っていた曲で、誰が歌っていたのかも知りませんでした。

調べてみると1963年にヴィレッジ・ストンパーズというグループのインストナンバーでした。原題は『Washington Square』です。これが世界中で大ヒット、そしてエイムス・ブラザースらが歌詞をつけて歌うようになり、日本でも漣健二の訳詞でダニー・飯田とパラダイスキングによってヒットしました。私が聴いたのもこの頃だったのでしょう。何とも覚えやすいメロディーで心に残ります。その後多くの人がカバーしました。

 

 

 

ワシントン広場の夜は更けて

作詞・作曲:Bob Goldstein & David Shire、

日本語詞:漣 健児

 

静かな街の 片すみに

冷たい風が 吹き抜ける

 *)ワシントン広場の 夜はふけて

   夜霧に浮かぶ 月明かり

 

冷たい風が 吹き抜けて

黒い落ち葉が ただひとつ

  (* 繰り返す)

 

黒い落ち葉が ただひとつ

風の吹くまま 舞っている

  (* 繰り返す)

 

風の吹く間に 待っている

男心を 誰が知る

  (* 繰り返す)

 

男心を 誰が知る

冷たい風が 知っている

  (* 繰り返す)

 

オリジナルのヴィレッジ・ストンパーズ。やっぱりこれです!

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歌詞付き。エイムス・ブラザース

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残念ながらパラダイスキングがありません。

 

ダーク・ダックス

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デューク・エイセス

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憂歌団もやってます。

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夏木マリ、いいですね!

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追伸 CMは湖池屋のポテトチップでした。

 

それでは今日はこの辺で。

 

 

映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ 』を観る

先日のキネ旬シアターはサン・セバスチャンへ、ようこそ 』でした。

 

監督・脚本:ウッディ・アレン

出演:ウォーレス・ショーン、エレナ・アナヤルイ・ガレルジーナ・ガーション

製作:2022年  アメリカ合衆国・スペイン・イタリア 2024年  日本公開

 

御年88歳のウッディ・アレン監督のコメディです。頑張ってますね~

 

80歳で元ニューヨークの大学教授で売れない作家のモート・リフキンは妻のスーに付き添ってスペインのサン・セバスチャンで開催される映画祭にやってきます。妻は有名な映画監督フィリップの広報担当をしています。

モートは妻とフィリップが仲良くしているのが面白くなく、浮気を疑っていたのです。そしてそのストレスでモートは心臓が痛くなってしまい病院を訪れ、そこで美しい女医ジョーと出会い、いい感じになっていくのですが、果たして老いらくの恋の行方は・・・。

ウッディ・アレンの映画を観るのは久しぶりです。例によって彼が敬愛する監督たちの作品がオマージュされて登場します。ジャン・リュック・ゴダールフェデリコ・フェリーニオーソン・ウェルズ、フランソワ・トリフォー、イングマール・ベルイマンルイス・ブニュエルクロード・ルルーシュといった監督たちの代表作品です。それだけでも楽しいい映画でした。おまけにアントニオーニ「赤い砂漠」レネ去年マリエンバートで、さらに黒澤明椿三十郎」「影武者」の名前まで飛び出します。懐かしくて涙が出ます。

ウッディ・アレンは自分は監督、というよりは単にヨーロッパ映画のいちファンであるということを言いたかったのかもしれませんね。

 

ウェルズ『市民ケーン

フェリーニ『81/2』

トリフォー『突然炎のごとく

ゴダール勝手にしやがれ

ベルイマン『ペルソナ』

ブニュエル『皆殺しの天使』

ルルーシュ『男と女』

 

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それでは今日はこの辺で。

 

 

聴き比べ バンドの『オールド・ディキシー・ダウン(The Night They Drove Old Dixie Down)』

今日の「聴き比べ」はザ・バンド(The Band)『オールド・ディキシー・ダウン(The Night They Drove Old Dixie Down)』です。

 

久しぶりにザ・バンドの登場です。

この曲は1969年のセカンド・アルバム『The Band』に収録された曲です。

彼らのライヴの定番曲でもありRock Of Ages『The Last Waltz』でも披露しています。

ボブ・ディランのバックバンドとして有名になりましたが、その後はアメリカの三大バンドと言われるまでになりました。

  

 

The Band

The Band

Amazon

 

The Night They Drove Old Dixie Down

By Robbie Robertson

 

Virgil Caine is the name and I served on the Danville train

'Til Stoneman's cavalry came and tore up the tracks again

In the winter of '65, we were hungry, just barely alive

By May the tenth, Richmond had fell

It's a time I remember, oh so well

 

The night they drove old Dixie down

And the bells were ringing

The night they drove old Dixie down

And the people were singing

They went, "La, la, la"

 

Back with my wife in Tennessee

When one day she called to me

"Virgil, quick, come see, there goes Robert E.Lee"

Now I don't mind choppin' wood

And I don't care if the money's no good

Ya take what ya need and ya leave the rest

But they should never have taken the very best

 

The night they drove old Dixie down

And the bells were ringing

The night they drove old Dixie down

And the people were singing

They went, "La, la, la"

 

Like my father before me, I will work the land

And like my brother above me, who took a rebel stand

He was just eighteen, proud and brave

But a Yankee laid him in his grave

I swear by the mud below my feet

You can't raise a Caine back up when he's in defeat

 

The night they drove old Dixie down

And the bells were ringing

The night they drove old Dixie down

And the people were singing

They went, "La, la, la"

The night they drove old Dixie down

And the bells were ringing

The night they drove old Dixie down

And the people were singing

They went, "La, la, la"

 

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ラストワルツでのライヴ

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ジョーン・バエズ(Joan Baez)が1971年のアルバム『Blessed Are...』でカバーしました。カントリータッチで。

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ジョニー・キャッシュ(Johny Cash)は1975年に『John R. Cash』でカバーしました。

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オールマン・ブラザーズ(The Allman Brothers Band)です。

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今までに登場したバンドのブログ。この他にもたくさんあったと思いますが忘れてしまいました。そして昨年はロビー・ロバートソンが逝きました。

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それでは今日はこの辺で。

 

映画『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』を観る

先日のキネ旬シアターは『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』でした。

 

監督:リサ・コルテス

出演:リトル・リチャード、ミック・ジャガートム・ジョーンズ 、ナイル・ロジャーズ 、ノーナ・ヘンドリックス、 ビリー・ポーター 、ジョン・ウォーターズ ほか

製作:2023年 アメリカ合衆国

 

2020年に87歳で亡くなったロックンロールの創始者リトル・リチャード(Little Richard)ドキュメンタリー映画です。

 

リトル・リチャードはチャック・ベリーファッツ・ドミノ達とならんでロックンロールの創始者のひとりであることは間違いありません。中でもリトル・リチャードがその後のロックに与えた影響は群を抜いています。彼はロックンロールの創造者であり音楽界の解放者だったのです。ビートルズストーンズキンクスもディランもジミヘンもボウイも彼がいなければ存在しなかったでしょう。そしてロック・ミュージックも出現しなかったかもしれません。

映画では彼の生い立ちから亡くなるまでの波乱万丈な人生を振り返ります。

私などがロックを聴き始めた頃は既にリトル・リチャードは伝説化されたロックンローラーでした。もちろん彼の楽曲は知っていましたし、多くのミュージシャンが彼の影響を受けていたことは様々な文献から知っていました。今回の映画ではそれらの知識を超えた、知られざる素顔や懊悩などが見られて実に興味深かいものでした。

当時の白人主体の音楽状況の中で黒人で、しかもゲイというマイノリティーの彼が音楽を通して狭い世界を解放したのです。

彼がピアノを弾きながら歌う姿は今見ても、彼を超えるロックンローラーはいないであろうと改めて確信させられました。

 

我がブログでも何度も登場しています。

 

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それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚 ジョアン・ショウ・テイラー(Joanne Shaw Taylor)の『Almost Always Never』

またしてもジョアン・ショウ・テイラー(Joanne Shaw Taylor)のアルバムを買ってしまいました。

2012年の4枚目のアルバム『Almost Always Never』です。

 

 

 

 

Almost Always Never

 

01.Soul Station

02.Beautifully Broken

03.You Should Stay, I Should Go

04.Piece Of The Sky

05.Army Of One

06.Jealousy

07.Almost Always Never

08.Tied & Bound

09.A Hand In Love

10.Standing To Fall

11.Maybe Tomorrow

12.Lose Myself To Loving You

 

 

レコーディング・メンバーは

Joanne Shaw Taylor - Guitar (Electric), Vocals

Billy White - Acoustic Slide Guitar, Bass

Davíd Garza - Piano,Mandlin

J.J. Johnson - Drums

 

1曲目からド迫力のギターとハスキーボイスにやられます。

06はフランキー・ミラー(Frankie Miller)のカバーで、それ以外はオリジナルです。

ドラムのJ.J.Johnsonはテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)のメンバーです。

前回のアルバム『White Sugar』に比べると幾分ブルース色が薄まっていますが、それでも十分聞きごたえがあります。とにかく全曲ギターがうねります。

 

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それでは今日はこの辺で。

聴き比べ 岡林信康の『チューリップのアップリケ』

今日の聴き比べ 岡林信康大先生の『チューリップのアップリケ』です。

 

1969年、先生の初期の代表作です。この曲と『手紙』被差別部落問題を取り上げた曲で一部では放送禁止になりました。私もこれらの曲によって被差別部落の存在を改めて認識させられました。アルバムではベスト盤岡林信康の世界 第1集』に収録されました。

この頃の関西フォークはこれらの曲に代表されるように差別問題や反戦など、先生の曲では『くそくらえ節』『友よ』『ガイコツの唄』『山谷ブルース』『流れ者』『それで自由になったのかい』『私たちの望むものは』『おまわりさんに捧げる唄』『性と文化の革命』『自由への長い旅』などいわゆるプロテスト•ソング、メッセージ•ソングが学生運動とともに若者の間で流行っていたのです。

 

この『チューリップのアップリケ』は部落の女の子の作文を元に岡林先生が作詞•作曲した曲です。当時、TBSの『ヤング720』に高石友也先生と出演して歌ったのを記憶しています。もう1曲の『手紙』は実話をもとにした歌で、友人に聴かされて衝撃を受けました。

私も高校生の頃、彼らの歌を聴いて社会に対する考え方が大きく変わりました。そして、歌は世の中を変えられる、などと真剣に考えたものでした。懐かしい時代でした。

その後は学生運動の終焉とともにフォークソングも消えていきました。岡林先生も「フォークの神様」のレッテルを嫌って蒸発そして農業へ。その後のライブではフォーク時代の曲はあまり歌いませんでしたが、それでも『流れ者』とこの曲はよく歌っていました。

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チューリップのアップリケ

作詞:岡林信康・大谷あや子

作曲:岡林信康

 

うちがなんぼ早よ 起きても

お父ちゃんはもう 靴トントンたたいてはる

あんまりうちのこと かもてくれはらへん

うちのお母ちゃん 何処に行ってしもたのん

うちの服を 早よう持ってきてか

前は学校へ そっと逢いにきてくれたのに

もうおじいちゃんが 死んださかいに

誰もお母ちゃん 怒らはらへんで

早よう帰って来てか

スカートがほしいさかいに

チューリップのアップリケ

ついたスカート持って来て

お父ちゃんも時々 買うてくれはるけど

うちやっぱり お母ちゃんに買うてほし

うちやっぱり お母ちゃんに買うてほし

 

うちのお父ちゃん 暗いうちから遅うまで

毎日靴を トントンたたいてはる

あんな一生懸命 働いてはるのに

なんでうちの家 いつも金がないんやろ

みんな貧乏が みんな貧乏が悪いんや

そやで お母ちゃん 家を出て行かはった

おじいちゃんに お金の事で

いつも大きな声で 怒られてはったもん

みんな貧乏のせいや

お母ちゃん ちっとも悪うない

チューリップのアップリケ

ついたスカート持って来て

お父ちゃんも時々 買うてくれはるけど

うちやっぱり お母ちゃんに買うてほし

うちやっぱり お母ちゃんに買うてほし

 

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初期のライブ。

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カルメン・マキ姉御がカバーしました。

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チェリッシュもこんな歌を歌っていました。

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坂崎幸之助もカバーしています。

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もう1曲の部落解放歌。

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それでは今日はこの辺で。