Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

ロッド・スチュワート(Rod Stewart)『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック』入手

ロッド・スチュワート(Rod Stewart)のスタンダード・カバー集『ザ・グレイト・アメリカン・ソング(Great American Songbook: It Had to Be You)』を入手しました。

これは先日紹介した、ロッドの『グレイト・ロック・クラシック』が気に入ったので、その前にリリースされていたこのカバー集も買うことにしました。

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2002年のリリースで、ロッドは20年近く前からアメリカン・スタンダードのアルバムを出したくてその時期を伺っていたようですが、時機到来と見るやレーベルもアトランティックでは無理と見て、クライヴ・デイヴィスが立ち上げた新興レーベルのJレコードに移籍し、リリースしたのです。それだけこのアルバムに対する思い入れが強かったのでしょう。

 

01.忘れられぬ君 (You Go to My Head)

02.誰も奪えぬこの思い (They Can't Take That Away from Me)

03.今宵の君は (The Way You Look Tonight)

04.もしあなただったら (It Had to Be You)

05.ザット・オールド・フィーリング (That Old Feeling)

06.ジーズ・フーリッシュ・シングス (These Foolish Things (Remind Me of You))

07.ザ・ヴェリー・ソート・オブ・ユー (The Very Thought of You)

08.ムーングロウ (Moonglow)

09.アイル・ビー・シーイング・ユー (I'll Be Seeing You)

10.いつもさよならを (Ev'ry Time We Say Goodbye)

11.ニアネス・オブ・ユー (The Nearness of You)

12.フォー・オール・ウィ・ノウ (For All We Know)

13.また会う日まで (We'll Be Together Again)

14.ザッツ・オール (That's All)

 

レコーディングメンバーも名うての名手が揃っています。

プロデュースはクライヴ・デイヴィス(Clive Davis)リチャード・ペリー(Richard Perry)フィル・ラモーン(Phil Ramone)です。

 

アメリカン・スタンダードといっても私には馴染みのない曲も多く、それはそれで新鮮でした。ロッカー、ロッドではなく、歌手としてのロッドを楽しみました。

 

02はジョージとアイラー・ガーシュインフレッド・アステアが歌った映画『踊らん哉』の主題曲。

03もフレッド・アステアが歌ったミュージカル映画『有頂天時代』の主題歌。

05はチェット・ベイカーで有名な曲。『チェット・ベイカー・シングス』に収録。

10はコール・ポーター作。

 

アメリカのスタンダードは好きな人にはたまらない選曲なのでしょう。夜中にウィスキーでも飲みながら聴きたいですね。300万枚を売り上げるトリプル・プラチナでチャートも全米4位になりました。ロッド人気は衰えません。

 

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Rod Stewart - You Go to My Head


Rod Stewart - They Can't Take That Away From Me


Rod Stewart - I'll Be Seeing You

 

それでは今日はこの辺で。

 

ソフィー・ミルマン(Sophie Milman)『Make Someone Happy』入手

ソフィー・ミルマン(Sophie Milman)の2007年のセカンドアルバム『Make Someone Happy』を入手しました。

ファーストアルバムは何年か前に購入していたので久しぶりのご対面になります。

ソフィーは1983年にロシアのウラル地方で生まれました。幼いころから父親が好きだったジャズや黒人音楽を聴いて育ちました。ユダヤ人だったのか、7歳の時にイスラエルへ移住します。イスラエルではクラシックを学び、ジャズにも傾倒していきました。その後、15歳の時にイスラエルを離れカナダへ移りました。大学に入るとジャズを歌うようになりました。

そして2004年に21歳の若さでインディー・レーベルからデビューアルバム『Sophie Milman』をリリースしました。これがロングセラーとなり、アメリカでもリリースされ、彼女の名前も世に知れるようになりました。

 

そして2007年にセカンドアルバム『Make Someone Happy』がリリースされたのです。

 

01.People Will Say We're In Love

02.Something In The Air Between Us

03.Rocket Love

04.So Long, You Fool

05.Matchmaker, Matchmaker

06.Like Someone In Love

07.Make Someone Happy

08.(It's Not Easy) Bein' Green

09.Reste (Stay)

10.Fever

11.Undun

12.It Might As Well Be Spring

13.Eli, Eli (A Walk To Caesarea)

14.Stay (English Version)  *

15.Save Your Love For Me  *

*日本盤ボーナストラック

 

パーソナルは

Sophie Milman  (vo)

Paul Shrofel  (p)

kieran Overs  (b)

John Fraboni  (ds)

Rob Rilth  (g)

Cameron Wallis  (ts)

Randy Bachman  (g,on 11)

 

プロデュースはティーヴン・マッキノン(Steven MacKinnon)です。

 

スタンダード中心に参加メンバーのオリジナル作品も含んだ内容になっています。

03はスティーヴィー・ワンダーの曲。

11はゲス・フー(The Guess Who)時代のランディ・バックマン(Randy Bachman)のヒット曲です。本人もエレクトリック・ギターで参加しています。

バラードが多いのがいいです。そして歌がうまい。スイング感もいい。

 

この後、2009年と2011年にそれぞれアルバムをリリースしていますが、どちらかといえば寡作です。歌のうまさから言ったら、もう少し出していてもよさそうなものだと思いますが。

 

それにしてもジャズ・ヴォーカリストはなんでこんなに美人ぞろいなのでしょうか。

 


Sophie Milman - People Will Say We're In Love


rocket love


Sophie Milman - Make Someone Happy


Sophie Milman - Undun

 

 それでは今日はこの辺で。

映画『パラサイト 半地下の家族』を観る

昨日のキネ旬シアターは『パラサイト 半地下の家族』でした。

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監督:ポン・ジュノ

主演:ソン・ガンホ、イ・ソンギョン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク

製作:2019年 韓国

 

韓国初のカンヌ映画祭パルム・ドール賞受賞作品。アカデミー賞作品賞をはじめ4部門受賞。パルム・ドール賞とアカデミー作品賞を同時受賞したのは65年ぶりだそうです。先日紹介した『レ・ミゼラブル』と争った作品です。

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日本でも昨年から上映されて大評判となりました。私も遅ればせながら観させていただきました。ということで、今更くどくどと書くこともありませんが、備忘録のためザックリとしたあらすじだけ書いておこうと思います。

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キム一家の4人、父親ギテク、母親チュンスク、長男ギウ、長女ギジョンは父親が失業中のため、半地下のWIFIも途切れがちな汚いアパートで内職をしながら、貧しい生活を送っていました。

ギウは浪人中。ギジョンは美大を目指しています。チュンスクは元ハンマー投げのメダリストです。

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ある日、ギウの友人が自分がアルバイトをしている大富豪パク宅の家庭教師を代わりにやってくれないかと話を持ち掛けてきました。友人は留学するのでその間だけ頼むということでした。浪人中なので自身はありませんでしたが高報酬なので引き受けることにしました。

 

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ギジョンに学生証を偽造させ、大学生を装って高台の大邸宅に行ってみると家政婦に案内され、高校生の娘ダヘの授業を始めます。ダヘもギウを気に入り、母親のパク夫人も満足げで採用が決まりました。パク夫人との会話の中で、息子ダソンの絵画の家庭教師を探していることがわかります。ギウは心当たりがあると言って、妹のギジョンを紹介することを思いつきます。

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後日、ギジョンはギウの後輩を装いパク家を訪ねると、パク夫人はすっかり騙され、採用が決まりました。その後もパク家の運転手を辞めさせ、父親のギテクが運転手として潜り込み、また家政婦を追い出す策略をめぐらし、まんまと母親のチュンスクがその後釜に就きました。こうして4人はパク家に潜り込むことに成功しました。

 

ある日、パク一家はダソンの誕生会をするためキャンプに出掛けました。その間、キム一家は4人で羽を伸ばし、大盤振る舞いをしていました。ギウはダヘと恋仲になっていて、将来はこの家に住むなどと夢のような話をしています。

 

外は激しい雷雨になりました。その時、以前の家政婦が訪ねてきました。地下室に忘れ物をしたというのです。この大豪邸には地下室のまた地下室があったのです。この屋敷には前住者によって北朝鮮からのミサイル攻撃に備えるために地下シェルターが作られていたのです。パク一家も知りませんでした。

 

地下室にはなんと家政婦の夫グンセが借金取りから逃れるために隠れていたのです。家政婦はこのことをパク家には黙っていて欲しいと頼みます。それを隠れて聞いていた3人が足を滑らせて出てきて見つかってしまいます。家政婦は彼ら4人が家族であることに気が付き、逆に4人の動画をパク夫人に送ると脅してきました。

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キム一家と家政婦夫妻が揉み合っているところに電話が鳴ります。パク夫人からで、雨のためキャンプが中止になったので今から帰るとのこと。ジャージャー麺を作っておくようにと命令されます。慌てたキム一家は家政婦夫妻を縛り上げ、地下室に再び閉じ込めます。家政婦が上がってこようとしたところ、チュンスクに蹴り落されて、気を失ってしまいます。

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キム一家は慌てて部屋の片づけをして、3人はテーブルの下に隠れます。しばらくするとパク一家が戻ってきました。3人は隙を見て逃げ出します。半地下のアパートに戻ると、大雨で浸水していました。しかたなく避難所で一晩を明かしました。寝床の中でギウは無謀な計画を立てたことを詫びますが、ギテクは「計画があるから予定外のことが起きる。計画しなければ予定外のことなどない。無計画がいいのだ」と言いギウをなだめます。

 

翌日、パク一家はダソンの誕生会を開くことを決め、キム一家の3人も招待されました。パーティーは庭で盛大に行われました。ギウは地下の家政婦夫妻が気がかりで、地下室に向かいます。しかし、逆にグンセに殺されそうになります。何とか逃げようとしましたが、石で殴られ気を失ってしまいます。

 

その後グンセは包丁を手に取って、パーティーになだれ込みます。そしてギジョンを刺します。その後はキム家、パク家、グンセ入り乱れての乱闘騒ぎになり、グンセはチュンスクに、パクはギテクに殺されてしまいます。

 

1か月後、意識を取り戻したギウはチュンスクと共に裁判にかけられましたが、いずれも執行猶予の判決でした。妹のギジョンは死んでいました。ただ、ギテクは未だに行方不明となっていました。

 

ある日、ギウは裏山に登りあの豪邸を見下ろすと、ガラス窓から電球が点滅しているのが見えました。モールス信号です。かつてはグンセも同じようにモールス信号を送っていましたが、誰も気づきませんでした。地下室にはギテクが隠れていたのです。ギテクはいつかギウに通じると思って信号を送り続けていたのです。モールス信号によると、邸宅はあのあと空き家になっていたが、今は外国人が住んでいる。食べ物を盗みながら生き続けている、自分にふさわしい場所だ、ということでした。ギウはいつの日か、豪邸を買い取り、父親を助けるための資金稼ぎの計画を立てることにしたのです。

 

この映画は韓国社会のリアルを描いた作品だと思います。テーマは『匂い』です。キム一家4人がパク家に潜り込んだ際に、パク家の息子のダソンは4人が同じ「匂い」がすると気づきます。また、家政婦夫妻と争った後に、テーブルの下にキム一家の3人が隠れているときにパク氏は運転手のギテクの「匂い」が気になる、と妻に愚痴をこぼします。夫人もギテクの車に乗ったときにやはり「匂い」が気になり窓を開けます。さらに、終盤パク氏がグンセに近寄ったときに、そのグンセの「匂い」に辟易して遠ざかりますが、それを見たギテクは思わずパク氏を刺し殺してしまいます。

 

その「匂い」とは何か。地下の「匂い」です。半地下生活、地下生活を長く続けたせいで染みついた「匂い」です。当人たちは気づきませんが、普通の生活をしている人間にはすぐわかるのでしょう。上流社会と下層民との対比を「匂い」で表していたのです。ギテクは自分自身を全否定されたと思ったのでしょう。そしてパク氏を刺し殺した後、自分が生きる場所は地下しかないと思い、地下室に隠れたのです。

 

もっとも、この映画は社会派ドラマなどとあまり深読みせずに、ただただブラック・コメディとしてエンタテイメント性を楽しめばそれでいいと思います。それだけでも一級品です。

 

ギテクの言う「計画など立てるから、予想外のことが起きて困惑する。初めから計画など立てない、無計画がいいのだ。それなら失敗もなにもない」という言葉には、普段から「計画を立てる」ことに拘っていたギテクの絶望ともとれる呟きに聞こえます。でも、もっともな意見です。下手な希望など持たないほうが楽に生きられますから。

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第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

 

 

 それでは今日はこの辺で。

聴き比べ『バス・ストップ(Bus Stop)』

今日の聴き比べは『バス・ストップ(Bus Stop)』です。

この曲はご存じの通り1966年のホリーズ(The Hollies)の大ヒット曲です。曲を作ったのは後に10ccを結成するグレアム・グールドマン(Graham Gouldman)です。

ホリーズアラン・クラーク(Allan Clarke,vo,g)グラハム・ナッシュ(Graham Nash,vo,g)によって結成されたブリティッシュ・インヴェンションを代表するバンドでした。途中、グラハム・ナッシュがアランとの意見の違いから脱退、アメリカでクロスビー・スティルス&ナッシュを結成、後にニール・ヤングも加わってCSN&Yとなりました。

この曲はイギリスのみならずアメリカでも大ヒットしました。全米でも5位になりました。

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Bus Stop

by Graham Gouldman

 

Bus stop, wet day

She's there, I say

Please share my umbrella

 

Bus stops, bus goes

She stays, love grows

Under my umbrella

 

All that summer we enjoyed it

Wind and rain and shine

That umbrella, we employed it

By August she was mine

 

Every morning I would see her

Waiting at the stop

Sometimes she'd shop

And she would show me what she'd bought

 

Other people stared

As if we were both quite insane

Someday my name and hers

Are going to be the same

 

That's the way the whole thing started

Silly but it's true

Thinking of our sweet romance

Beginning in a queue

 

Came the sun

The ice was melting

No more sheltering now

Nice to think that that umbrella

Led me to a vow

 

Every morning I would see her

Waiting at the stop

Sometimes she'd shop

And she would show me what she'd bought

 

Other people stared

As if we were both quite insane

Someday my name and hers

Are going to be the same

 

Came the sun

The ice was melting

No more sheltering now

Nice to think that that umbrella

Led me to a vow


ホリーズ The Hollies/バス・ストップ Bus Stop (1966年)

 

この曲を同じくブリティッシュ・インヴェンションの立役者、ハーマンズ・ハーミッツ(Herman's Hermits)がカバーしました。いかにもソフトロックらしい演奏です。


ハーマンズ・ハーミッツ Herman's Hermits/バス・ストップ Bus Stop (1966年)

 

この曲は日本でもよくカバーされました。まずはキャンディーズです。1974年のアルバム『危い土曜日〜キャンディーズの世界〜』に収録。このアルバムでは他にもビートルズカーペンターズ、ママス&パパスなどもカバーしています。今は亡きスーちゃんのリードヴォーカルです。このころはまだスーちゃんがセンターだったように記憶しています。

 


バス・ストップ キャンディーズ Treasure

 

もう一人、荻野目洋子ちゃんがカバーしています。1988年のシングルストレンジャーtonight』のBメンでカバーしました。彼女は「ヴィーナス」のカバーなども有名です。


荻野目洋子 BUS STOP 1988 / Bus Stop

 

そして極めつけはドッケン(Dokken)でしょう。2010年のベストアルバムに収録されました。これが意外なほど素直にカバーしています。


Bus Stop (Bonus Track)

 

懐かしいことこの上なしでした。

 

 それでは今日はこの辺で。

聴き比べ『マイティ・クイン(The Mighty Quinn)』

今日の聴き比べはボブ・ディラン(Bob Dylan)『マイティ・クイン(Mighty Quinn(Quinn the Eskimo))』です。

この曲はボブ・ディランが人気絶好調だった1966年に彼が起こしたモーター・バイク事故によってしばらくの間隠遁生活を余儀なくされた時期に書かれた曲です。このころのディランには様々な憶測が飛び交いました。もう亡くなったのではないかなど。

ディランは1965年頃には以前ロニー・ホーキンスのバックを務めていたホークス(The Hawks、のちのザ・バンド(The Band))を従えてツアーを行っていました。そして事故後はウッドストック近辺の自宅にホークスのメンバーを呼んでセッションを行っていました。この時に作られた曲が『マイティ・クイン』です。この時のセッションの模様はずっと後になって、1975年に『地下室(The Basemennt Tapes)』という2枚組のアルバムとして発表されましたが、この中にはこの『マイティ・クイン』は収録されませんでした。

ディラン自身のアルバムに初めて登場したのが1970年にリリースされた2枚組アルバム『セルフポートレート(Self Portrait)』でした。このアルバムは何かと物議を醸したアルバムでした。ここでの「マイティ・クイン」はザ・バンドを従えてのワイト島でのライブ音源でした。

 

The Mighty Quinn (Quinn The Eskimo)

by  Bob Dylan

 

Everybody's building the big ships and boats
Some are building monuments, others jotting down notes
Everybody's in despair, every girl and boy
But when Quinn the Eskimo gets here everybody's gonna jump for joy

Oh come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn
Come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn

Oh you know I like to do just like the rest, you know I like my sugar sweet
But guarding fumes and making haste, you know it ain't my cup of meat
Everybody's out the trees, feeding pigeons all under the limb
But when Quinn the Eskimo gets here the pigeons gonna run to him

Oh come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn
Come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn

A cat's meow and a cow's moo to you know I, I could recite them all
Just tell me where it hurts you, honey, and I'll tell you who to call
Nobody can get asleep, you know there's someone on everybody's toes
When Quinn the Eskimo gets here everybody's gonna wanna doze

Oh come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn
Come all without, come all within
You'll not see nothing like the mighty Quinn


Bob Dylan - Quinn The Eskimo (The Mighty Quinn) [RARE LIVE FOOTAGE - Isle Of Wight

1969]

 

ボブ・ディランのアルバムではその後3枚組CD『バイオグラフ(Biograph)』に1967年の録音が収録されました。タイトルは「Quinn The Eskimo」になっています。

 

実はこの曲が知られるようになったのは、1968年にマンフレッド・マン(The Manfred Mann)がヒットさせたことによってなのでした。このバージョンはイギリスのシングルチャートで1位になりました。アルバム『Mighty Garvey!』に収録されました。

マンフレッド・マンはその後もアース・バンド(Manfred Mann's Earth Band)時代にもこの曲を録音しています。


Mighty Quinn

 

そして同じくイギリスのバンド、ホリーズ(The Hollies)も1969年にカバーしました。その名もHollies Sing Dylan』でした。


The Hollies - Quinn the Eskimo (Mighty Quinn)

 

レイトフル・デッド(Grateful Dead)もライブでカバーしています。アルバムではディランの曲を集めた『Postcards of the Hanging』のボーナストラックに収められています。


Grateful Dead - Quinn the Eskimo

 

そしてなんといっても私が気に入っているのは、大のお気に入りなスイスのメタルバンド、ゴットハード(Gotthhard)です。1996年のアルバム『G』に収められました。これが実にカッコいいのです。


Gotthard - Mighty quinn HQ (Original)

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スイスの大先輩、クロークス(Krouks)もカバーしています。


Krokus - Quinn the Eskimo HQ

 

ディランの曲はなぜかよくカバーされます。本人も不思議がっているようです。

 

それでは今日はこの辺で。

 

映画『レ・ミゼラブル』を観る

昨日のキネ旬シアターはレ・ミゼラブルでした。『レ・ミゼラブル』といっても、あのビクトル・ユゴーの小説を映画化したミュージカル映画ではなく、今年公開された、小説とは無関係な映画です。

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監督:ラジ・リ

主演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マナンティ、ジェブリル・ゾンガ

製作:2019年 フランス 2020年 日本公開

 

第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞、台5回セザール賞では4部門受賞、第92回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、韓国映画『パラサイト』と競い合ったという映画です。

この映画は実話を元に製作されています。

ビクトル・ユゴーの小説『レ・ミゼラブル』の舞台となったパリ郊外のモンフェルメイユ。このは今や移民や低所得者が多く住んでいる犯罪多発地域となっています。

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2018年、ワールドカップ優勝に沸き立つフランス・パリ。その近郊の街で犯罪防止班に新しく加わることになったステファンは仲間と共にパトロールするうちに、移民問題や宗教対立など街の複雑な力関係やきれいごとでは犯罪防止などできない現実に行き当たります。仲間の警官は白人のクリスと黒人のグワダです。二人とも暴力には徹底的に暴力で抑え込むという姿勢です。そして絶対に謝るな、という信念で働いています。

レ・ミゼラブル : 作品情報 - 映画.com

 

そんな中、サーカスのライオンの子供が盗まれるという事件を起きます。この事件をきっかけに街を仕切る複数のグループが緊張関係に陥ります。ステファン達はライオンの子供を探し始めますが、そこで犯人がイッサという黒人少年だということが判明します。イッサは盗みを繰り返し、親には虐待を受けていました。ステファン達はイッサを追いかけますが、悪いことにクリスが逃げるその少年をゴム弾で撃ってしまいます。それがあろうことかドローンで撮影されていたのです。幸い命に別状はありませんでしたが、これが引き金となって事態はさらに悪化してゆきます。

 

ドローンで撮影していたのはやはり黒人の少年でした。警官たちはそのSDカードを取り戻すことに必死になります。これが公になったら大暴動が起きてしまいます。それでなくても街は警察と市民とが一触触発の無法地帯と化しているのです。何とかステファンがSDカードを平和的に取り戻します。しかし、これで問題が解決したわけではありませんでした。

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そしてとうとう市民による暴動がおこります。しかし、この暴動の主役は黒人の子供たちでした。激しい暴力が警官や大人たちに対して向けられます。子供たちは大人たちの解決の仕方に反抗したのです。貧困層が住む団地に誘い込む少年たちを追いかけてステファン達3人も団地へと突入します。そこには迫撃砲や火炎瓶による攻撃が待ち構えていました。怪我を負うクリス。応援を呼ぶステファン。階段の上にはイッサが火炎瓶を持ち、今にも投擲しようと構えます。階段の下ではステファンがたまらず銃を構えて狙いを定めます。そして睨みあいが続きます。果たしてその結果はどうなるのでしょう。

 

物凄い映画でした。現在、アメリカを始め世界中で黒人差別に対するデモが行われています。元を糺せば、白人警官による黒人殺害でした。取り締まりの行き過ぎによる殺害ですが、その奥底には黒人に対する憎悪感があったのでしょう。

この映画でも、グワダが黒人少年を撃ってしまったことについて、ステファンがその真意を糺すと、グワダは「抵抗を止めさせるためもあるが、それ以上に少年に対してむかついた」と白状します。感情が理性を超えて思わぬ行動を誘発します。アメリカで起きた警官による立て続けの黒人殺害事件もこれと同じ構図でしょう。権力が感情で動いてはいけません。

 

そしてこの映画が凄いのは子供たちによる発起です。大人たちの勝手極まりない解決の仕方に対する激しい抵抗です。子供たちの暴力に大人たちはなす術を持ちません。平和的な解決を信条とするステファンの叫びも届きません。ラストの20分は息をつかせぬ迫力がありました。

 

香港の国家安全維持法に反対する大規模デモも中国の国家権力の前に虚しく敗れ去りました。アメリカの差別反対デモの先行きは果たしてどうなるでしょう。アメリカの権力者は典型的な差別主義者です。世界中で民主主義などと言う言葉は死語になりつつあります。勿論我が国もしかりです。

 

レ・ミゼラブル」とは「哀れな人々」「悲惨な人々」という意味です。この映画で「哀れな人々」とは誰のことでしょう。

そして最後のエンドロールで「 世の中には悪い草も悪い人間もいない。ただ育てるものが悪いだけなんだ」というヴィクトル・ユゴーの言葉が流れます。

子供は親の背中を見て育ちます。

 

監督はマリ共和国出身で、小さい頃からこの街の住民です。華やかなイメージのパリに隠れて移民国家フランスにはこんな無法地帯があることにも驚きました。

 


映画『レ・ミゼラブル』予告編

 

それでは今日はこの辺で。

 

『イノセント・デイズ』を読む

早見和真という作家の小説『イノセント・デイズ』を読了しました。忘れないうちに書いておこうと思います。

この作家は初めてです。ミステリー本を検索していたら引っかかった本です。

 

いわゆる犯罪小説です。女性死刑囚のお話です。

かつての恋人の妻と双子の子供、計3人を放火により殺害した、女性は控訴せず放火殺人により死刑が確定しています。

 

この事件は犯人が整形した過去があるということで『整形シンデレラ放火殺人事件』などという固有名詞まで付けられました。24歳の女性ということでマスコミも大騒ぎでした。

 

この事件の背景を彼女と関わった人たちの回想で物語は進行します。義姉妹や幼馴染み、同級生、恋人の友人、拘置所の看守などの証言から彼女の実像と事件の謎が暴かれてゆきます。

 

我が国においても過去に目立った犯罪にはだいたい「~事件」などと固有名詞が付けられました。戦後は「下山事件」「名張毒ブドウ酒事件」「袴田事件」「連続射殺魔事件」などなど、数え上げたらきりがありません。中には冤罪事件もありました。

 

これらの名付けられた事件にはそのタイトルの奥に隠された様々な事情が隠されている場合が多くあります。それらの事件の真相を追求し、世に送り出されたものがいわゆる「ノンフィクション」と呼ばれる、報道や映画、小説です。これらによって、私たちは表向きの事情とは別の事情を知ることができるわけです。

 

『永山事件』や『吉展ちゃん事件』の根底に流れる「貧困問題」や『狭山事件』のような「部落差別」による冤罪事件など、単純には理解できない問題が隠されていることが多いのです。だからといって犯罪が許されるわけではありませんが。

 

この小説も、彼女の不遇な少女時代やその性格が明らかになることにより、果たして彼女はそんな犯罪を犯すことができたのか、という疑問にぶつかります。そして幼馴染はこの事件は冤罪だとの確信を得ます。しかし、彼女はかたくなに死刑を望みます。それはなぜなのか・・・

 

まさに慟哭のミステリーでした。ネタバレはしません。

 

でも、待てよ。これだと備忘録にならないな。まあいいか。

 

ちなみにこの小説はドラマ化されたようです。全く知りませんでした。

 

それでは今日はこの辺で。