先日のキネ旬シアターは『12日の殺人』でした。
監督:ドミニク・モル
出演:バスティアン・ブイヨン 、ブーリ・ランネール、テオ・チョルビ 、ヨハン・ディオネ
製作:2022年 フランス 2024年 日本公開
2013年にフランスで起きた未解決の殺人事件を元にしたフィクション映画です。
10月12日の夜、フランス・グルノーブルで女子大学生クララが何者かによって火をつけられ、翌朝焼死体となって発見されます。捜査を担当するのは昇進したばかりのヨアン班長とその捜査班です。
捜査を進めると、クララの男関係が次々と明らかになり、容疑者も現れますが、決め手がありません。計画的な犯行であることは判明するのですが、容疑者を特定することはできないのです。そして事件はとうとう迷宮入りになります。しかし、ヨアン達は事件に取りつかれたようにのめり込んでいくのですが・・・。
この映画はいわゆる犯罪物ですが、未解決事件ということで犯人はわかりません。容疑者は被害者と男女の関係にあった連中で何人も現れます。その一人ひとりを尋問して行くのですがどれも決め手がありません。ミステリーでもサスペンスでもありません。事件を追う刑事たちの人間物語とでもいえばよいでしょうか。
今から10年程前の事件で、その当時のフランス社会がそうだったのか、それとも警察社会がそうだったのか、とにかく描かれるのは男社会です。終盤にようやく女性判事と女性刑事が登場しますが、彼女たちも男社会に辟易しています。日本もそうですが、フランスもそうだったのでしょうか。描きたかったのはそういうことなのか。クララの友人のセリフ「クララが殺されたのは尻軽だったからではなく、女の子だったからよ」。この言葉がヨアンの言う「男と女の溝」を象徴しています。
野坂昭如の『黒の舟歌』を思い出します。「男と女の間には深くて暗い河がある、誰も渡れぬ河なれど、エンヤコラ今夜も船を出す。」
結局、事件は未解決。ラストではヨアンが自転車で峠越え、なんだかよくわかりません。途中、猛烈な眠気に襲われました。齢でしょうか?
それでは今日はこの辺で。