昨日のキネ旬シアターは『私の知らないわたしの素顔』でした。
監督:サフィ・ネブー
主演:ジュリエット・ビノシュ、フランソワ・シビル
製作:2019年 フランス
SNSの世界でのバーチャル恋愛に嵌って行く大学教授の顛末を描いたサスペンス映画です。
サスペンス映画なので簡単なあらすじだけにします。あとは観てのお楽しみです。
50代の美人大学教授のクレールはある日、年下の恋人リュドに捨てられてしまいます。クレールは離婚歴があり、息子二人と暮らしています。
クレールはリュドと同居している友人アレックスをFacebookで見つけ、「クララ」という24歳の女性になりすましFacebookに投稿し、アレックスと知り合います。写真も若い娘の写真をネットで拾って掲載しました。アレックスはすっかり騙されます。ネットでのやり取りをしているうちにお互いに恋愛感情が生まれてきます。
しかし、クレールは自分の身元を明かせないことにジレンマに陥ります。一方アレックスもクララに夢中になります。そして携帯での会話も始まります。幸いにもクララの声は若いので不審には思われませんでした。それでも物足りなくなり、会いたいということになります。実際に待ち合わせ現場に行ってもアレックスは気付きませんでした。それはそうです。いくら美人とはいえ50代の女性を24歳の女性に見間違うはずもありません。
がっかりするアレックス。クレールはもうこの辺が限界と別れを切り出します。その後、アレックスのアカウントは削除されました。気になったクレールはかつての愛人リュドを呼び出し、それとなくアレックスの消息を探りますが、その事実は衝撃的なものでした。
そしてクレールのとった行動とは・・・
この映画はバーチャルとリアルな世界の狭間でもだえ苦しむ中年女性の心理サスペンスです。
若い女性に最愛の夫を寝取られ、二人の子供を引き取って育てている大学教授。美人インテリ女性です。夫を寝取ったのがよりによって自分の姪だったのです。このショックからか、若い男を愛人にするようになったのでしょう。子供そっちのけで男に夢中になって行きます。言い方を変えれば色情狂です。本人も自分の精神のアンバランスさを自覚しているようで心理カウンセラーの治療を受けています。
クレールがそのカウンセラーに「存在しない人間が恋のライバルではどうしようもない」と言いますが、クレールはバーチャルの世界で「クララ」という別の人格をもってしまったのです。その「クララ」が恋のライバルになってしまい嫉妬するのです。
一見ばかげた話だと思いますが、最近のSNSの世界では十分起こりうる話だなと、ちょっぴり恐怖を覚えました。
ラストシーンはどう解釈すればいいのでしょう。ゾッとします。
主演のジュリエット・ビノシュはどこかで観た女優だと思いましたが、かつて『存在の耐えられない軽さ』や『イングリッシュ・ペイシェント』、『GODZILLA ゴジラ』で観ていました。最近では昨年の是枝監督の『真実』にも出演していました。数か月前のことも忘れてしまっています。重症です。
映画「私の知らないわたしの素顔」予告編(出演:ジュリエット・ビノシュ )
それでは今日はこの辺で。