今日の「聴き比べ」は『ローン・ミー・ア・ダイム(Loan Me A Dime)』です。
この曲は1969年のボズ・スキャッグスの2枚目のソロアルバム『Boz Scaggs』に収録された、ロング・スロー・マイナー・ブルースです。
このレコードが日本で発売されたのはだいぶ後になってからだと思います。彼のアルバムは最初に発売されたのが確か1974年の『Slow Dancer』ではなかったかと記憶していますが、記憶違いかもしれません。この頃から日本でも人気が出て、1976年の『Silk Degrees』で決定的になりました。
このレコードの日本盤の解説を読むと、このアルバムはボズのデビューアルバムということになっていますが、実は2枚目なのです。1965年にファーストソロアルバムを出していたのです。その後、スティーヴ・ミラー・バンドへ参加して、その後、脱退してこのアルバムをリリースしたということです。
この頃のボズはまだブルース、R&Bに傾倒していました。その後アダルト・コンテンポラリーなどと言うジャンルに振り分けられてしまいますが、この頃はバリバリのブルースを演奏していました。映画『フィルモア最后の日』でも汚いカッコでブルースを演奏していました。この時の曲が「ローン・ミー・ア・ダイム」だったと思いますが、サントラ盤には別な曲「Baby's Callin' Me Home」が収録されました。
私がボズの雄姿を生で観たのが1978年の初来日、日本武道館でした。この時はすっかり垢抜けていました。ちょっとがっかりしました。
このアルバムにはデュアン・オールマンがゲスト参加してスライドギターを弾いています。
前置きが長くなりました。「ローン・ミー・ア・ダイム」です。当時のレコードを見ても、作者はボズ・スキャッグスになっていますが、実は作者は別にいたのです。それがブルースマンのフェントン・ロビンソン(Fenton Robinson)です。フェントン・ロビンソンは1967年に既にシングルでリリースしていたのです。
後にボズはフェントン・ロビンソン側から訴訟を起こされ敗訴しました。その後はクレジットを訂正していると思いますは、確認していないのでわかりません。
フェントン・バージョンはタイトルも「Somebody (Loan Me A Dime) 」です。その後フェントンも1974年にアルバム『Somebody Loan Me A Dime』の中に収録しました。
いずれにしても名曲であることに変わりはありません。フェントン・バージョンは2分ちょっと短いですが、ボズ・バージョンは12分という長尺です。デュアンのギターも入って聴きごたえ十分です。初期の大傑作です。当時のボズのレコードでのタイトルが「10セントを俺に」でした。
Somebody loan me a dime
by Fenton Robinson
Somebody loan me a dime
I need to call my old time, used to be
Somebody loan me a dime
Mmm, I need to call my old time, used to be
Ooh, little girl's been gone so long
You know it's worrying me
Hey, it's worrying, worrying me
I know she's a good girl
But at that time I just didn't understand
I know she's a good girl
But at that time I just didn't understand
Oh, you know I didn't
Somebody loan me a dime
You know I need, I need a helping hand
Somebody
Yeah, she's a good girl
But at that time I just didn't understand
Ooh, I know she's a good girl
But at that time I just could not understand
Whoa, no
Somebody better loan me that dime
To ease my worried mind
Whoa
Now, I cried, just cried
Just like a baby all night long
Ooh, you know I cried, just cried
Just like a baby, all night long
Whoa, somebody better loan me that dime
I need my baby, I need my baby here at home
Ooh, yeah
Fenton Robinson - "Somebody Loan Me A Dime" (1974)
Boz Scaggs & Duane Allman ~ Loan Me A Dime
もう一人忘れてならないのはリック・デリンジャー(Rick Derringer)です。アルバム『Jackhammer Blues』でカバーしました。これも素晴らしい。
Somebody Loan Me a Dime - Rick Derringer
やっぱりブルースはいい。
それでは今日はこの辺で。