今日の「この人の、この1枚」はボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)のソロ・アルバム『ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)』です。
ボズ・スキャッグスも『ブルースロックの名手たち』で書ききれなかったミュージシャンです。
ボズ・スキャッグスは1944年オハイオ州カントンで生まれました。12歳ごろからギターを始め、その頃スティーヴ・ミラー(Steve Miller)に出会い、スティーヴからもギターを習いました。この辺りの経緯はスティーヴ・ミラーの記事でも書きました。
ウィスコンシン大学ではスティーヴのバンド、アーデルスにも参加しました。その後、ボズは当時R&Bが盛んだったイギリスはロンドンに渡ります。そこでいくつかのバンドに参加し、ソロになってヨーロッパ中を旅しながら演奏していると、スウェーデンでレコード会社の目に留まり、1965年にソロアルバムをリリースすることになりました。タイトルは『Boz』でした。
このアルバムは全くのソロアルバムです。一人でヴォーカル、ギター、ハーモニカをこなしました。リリースもスウェーデンでだけでした。ほとんど売れませんでした。
帰国後、ボズは旧友のスティーヴ・ミラーのバンドに加入します。そしてそのスティーヴ・ミラー・バンド(The Steve Miller Band)の初期の2枚『Children Of The Future』『Sailor』でヴォーカルとギターを担当します。
そしてバンドを離れソロとして独立します。バンドでの実績を買われアトランティックと契約を交わします。1969年、実質上のファースト・ソロアルバム『ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)』をリリースする運びとなりました。
Side A
1.I'm Easy
2.I'll Be Long Gone
3.Another Day (Another Letter)
4.Now You're Gone
5.Finding Her
6.Look What I Got
Side B
1.Waiting For A Train
2.Loan Me A Dime
3.Sweet Release
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs ,g, vo)
デュアン・オールマン(Duane Allman ,g, dobro, slide guitar)
エディ・ヒントン(Eddie Hinton ,g)
ジミー・ジョンソン(Jimmy Johnson ,g)
デヴィッド・フッド(David Hood ,b)
ロジャー・ホーキンス(Roger Hawkins ,ds)
バリー・ベケット(Barry Beckett ,key)
その他ホーン・セクションとバッキング・ヴォーカル
プロデュースはボズ・スキャッグス、マーリン・グリーン (Marlin Greene)、ヤン・ウェナー(Jann Wenner)です。
バックはマッスル・ショールズの面々が務めます。そして目玉はオールマン・ブラザーズ結成直前のデュアン・オールマンの参加でしょう。
このアルバムの日本盤の発売はこの後ずっと先もことになりますが、その時のアルバム・タイトルは『ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン』となっています。オールマン・ブラザーズの人気が出た後なので、このようなタイトルにしたのでしょうが、ちょっとやりすぎでしょう。それにしてもデュアンの写真も凄いです。
A1はボズとバリー・ベケットの共作。
A6はチャールズ・チャルマーズとドナ・ローズの曲。
B1はジミー・ロジャース。
B2はフェントン・ロビンソン。
A2の「I'll Be Long Gone」は映画『フィルモア最后の日』でボズが情感たっぷりに歌っていた曲です。ギターも素晴らしかった。
B2はこのアルバムの目玉です。フェントン・ロビンソンのマイナー・ブルース。12分ほどになっていますが、オリジナルは40分ほどのセッションでした。
このアルバムはブルース、ブルー・アイド・ソウル、R&B、カントリーと多岐にわたっています。ただ商業的にはビルボードの171位と今一つの成績でした。個人的には大好きなアルバムです。
翌年にはセカンド・アルバムをリリースします。それは次回にしましょう。
映画から。後のダンディな姿からは想像できない野暮なかっこをしています。それがいいのですが。
Boz Scaggs - I'll Be Long Gone.wmv
それでは今日はこの辺で。