皆さま、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
飲んだくれの三が日でした。
新春一発目の記事を何にしようか迷いましたが、例によって古い話から始めようかと思います。
ということで、今日の「この人の、この1枚」はスティーヴ・ミラー・バンド(The Steve MIller Band)の『未来の子供達(Children of the Future)』です。
また『ブルースロックの名手たち』で書ききれなかったバンドです。
スティーヴ・ミラーは1943年、ウィスコンシン州ミルウォーキーの出身です。父親が医師で、ギタリストの巨星レス・ポールとそのパートナーであるメアリー・フォードと知り合いでした。彼らはちょくちょく父親の自宅を訪ねていました。まだ少年だったスティーヴはレス・ポールからギターを習いました。またTボーン・ウォーカーからもギターを習いました。そして12歳の時には級友のボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)にもギターを教えバンドも組みました。
その後、ウィスコンシンの大学に入学しアーデルズというバンドを結成します。そしてスティーヴはシカゴに移り住みます。そこでどっぷりとシカゴ・ブルースにのめりこみます。バンドにはボズ・スキャッグスとベン・シドラン(Ben Sidran,key)が加わりました。
アーデルズは解散し、スティーヴは新たにバリー・ゴールドバーグ(Barry Goldberg,key)とミラー・ゴールドバーグ・ブルース・バンドを結成します。シカゴで活動し、シングルもリリースしました。しかし、結果は芳しくありませんでした。
シカゴに失望しテキサス大学に入学し政治学を学びました。たまたま訪れたサンフランシスコでフィルモア・オーディトリアムに出演していたポール・バターフィールド・ブルース・バンドやジェファーソン・エアプレインのステージを観て興奮しました。
そして早速音楽活動を開始し、メンバーを集めました。集まったのが
ロニー・ターナー(Lonnie Turner,b,vo)
ティム・デイヴィス(Tim Davis ,ds,vo)
ジェイムズ・カーリー・クック(James "Curley" Cooke,g)
で、このメンバーでスティーヴ・ミラー・ブルース・バンド(Steve Miller Blues Band)と名乗って活動を始めました。
1967年の「モンタレー・ポップ・フェスティバ」ルにも参加して注目を浴び、キャピトル・レコードと契約を結びました。キャピトルとの契約は当時のサンフランシスコの2組の人気バンドとの契約ということで大盛り上がりでした。もう一つのバンドというのがクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスでした。
レコードデビューの前にイギリスから戻ったボズ・スキャッグスがバンドに合流しました。ボズはイギリスでソロアルバムをリリースしましたが失敗していました。
こうして1968年にバンドのファーストアルバム『未来の子供達(Children of the Future)』がリリースされました。デビューにあたってバンド名をスティーヴ・ミラー・バンド(The Steve Miller Band)に改めました。
Side A
1.Children of the Future
2.Pushed Me to It
3.You've Got the Power
4.In My First Mind
5.The Beauty of Time Is That It's Snowing (Psychedelic B.B.)
Side B
1.Baby's Callin' Me Home
2.Steppin' Stone
3.Roll With It
4.Junior Saw It Happen
5.Fanny Mae
6.Key to the Highway
メンバーも変わりました。
スティーヴ・ミラー(Steve Miller ,g, voc, harmonica)
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs ,guitar, vo)
ロニー・ターナー(Lonnie Turner,b,vo)
ジム・ピーターソン(Jim Peterman , organ, ,vo)
ティム・デイヴィス(Tim Davis ,ds,,vo)
アディショナル・ミュージシャンで
ベン・シドラン(Ben Sidran ,harpsichord on B1)
プロデュースはグリン・ジョンズ(Glyn Johns)です。
B1とB2はボズ・スキャッグスです。B1はボズの十八番です。
B4はジム・プルート。
B5はバスター・ブラウン。
B6はビッグ・ビル・ブルーンジー。
A面はほぼサイケデリック。当時のイギリスR&Bの匂いがプンプンします。「サージェント・ペパーズ」のような雰囲気です。
B面でようやくブルース・ナンバーが出てきます。
B4、B5はティム・デイヴィスのヴォーカルです。
キャンド・ヒートやポール・バターフィールド・ブルース・バンドのようにブルースどっぷりという訳ではなく、当時のサンフランシスコを象徴するようなサイケデリックなサウンドです。それでもB6はスティーヴ・ミラーらしいブルースを聴かせてくれます。
アルバムの評価は高かったものの商業的には成功しませんでした。
同じ年、第2弾をリリースします。それは次回にします。
Steve Miller Band - Steppin' Stone
Steve Miller Band - Junior Saw It Happen
Steve Miller Band - Key to the Highway
それでは今日はこの辺で。