先日のキネ旬シアターは『何も知らない夜』でした。
監督:パヤル・カパーリヤー
脚本:パヤル・カパーリヤー、ヒマーンシュ・プラジャパティ
製作:2021年 フランス、インド
2016年にインドで起きた学生運動に対する弾圧を描いたドキュメンタリー映画です。
インド映画テレビ研究所の学生「L」の恋人に宛てた手紙が発見されます。そこにはカーストが違う恋人との結婚を反対され学校を辞めざるを得なくなったことが書かれていました。そのほか学生の政府に対する抗議運動やそれに伴う弾圧事件、ヒンドゥー至上主義に基く極右勢力による弾圧の様子、カースト制度による低カーストへの差別問題なども書かれていたのです。
映画は「L」の手紙の朗読で進みます。女性の恋心、階級差別、ヒンドゥー至上主義、学生運動への弾圧などがモノクロのドキュメンタリーフィルムと共に流れていきます。オープニングは酒場の様な所で若者たちが踊る姿が長々と映し出されます。ほぼ9割以上ぼやけたモノクロ映像です。音楽はヴォーンという低音が鳴りっぱなしです。重苦しい時間が流れてゆきます。ラストも若者たちの踊る姿の長回しで終わります。
ラストに映画学校の先生が「映画は繊細でなければならない」との台詞が入ります。久しぶりに映画とは何を表現するのかを考えさせられました。
恥ずかしながら、インドでこのような反政府の学生運動が盛り上がっていたことを知りませんでした。また、カースト制度がいまだに根強く残っているのも詳しくは知りませんでした。まるで60~70年代前半の日本を見ているようです。日本の場合は革命は起こらず、やがて内ゲバ、リンチ事件で終息を迎えました。インドはどうなっているのでしょう。いまだにモディ政権が続いているところをみると政権打倒はならなかったのでしょうね。
それでは今日はこの辺で。