今日の「聴き比べ」は『昭和ブルース』です。
この曲は、テレビドラマ『非情のライセンス』で主演の天知茂が歌ったことで有名になりましたが、元を辿ればザ・ブルーベル・シンガーズが歌った曲でした。
元々この曲は確か1969年の映画『若者はゆく‐続・若者たち-』の挿入歌でした。当然主題歌のザ・ブロードサイド・フォーが歌った「若者たち」の方が有名になりましたが。
歌ったのがブルーベル・シンガーズでした。学生運動華やかなりし頃、この歌の絶望的な時代でも何かをしなければいけないんだという歌詞と暗いメロディが若者の心情を捉えたのでした。映画でも学生運動やデモのシーンがたくさん取り上げられました。
『若者たち』はテレビドラマが先で、後に映画化されました。キャストは同じです。佐藤オリエや田中邦衛、山本圭などが出演していました。テレビドラマも時々見ていました。あれは再放送だったのかもしれませんが。
映画 若者はゆく(続若者たち) (オリエ・デモ中の恋人戸坂と遭遇)
ブルーベル・シンガーズは6人組の学生フォークグループでした。カレッジ・フォークという触れ込みでしたが、ムード歌謡のようです。
昭和ブルース
作詞:山上路夫
作曲:佐藤 勝
うまれた時が 悪いのか
それとも俺が 悪いのか
何もしないで 生きてゆくなら
それはたやすい ことだけど
この世に生んだ お母さん
あなたの愛に つつまれて
何も知らずに 生きてゆくなら
それはやさしい ことだけど
なんにもせずに 死んでゆく
おれにはそれが つらいのさ
とめてくれるな 可愛い人よ
涙ながれて 来るけれど
見えない鎖が 重いけど
行かなきゃならぬ おれなのさ
だれも探しに 行かないものを
おれは求めて ひとりゆく
おれは求めて ひとりゆく
この曲がテレビドラマ『非情のライセンス』のエンディング・テーマになりました。歌うはもちろん天知茂です。ニヒルな役で人気俳優になった人です。明智小五郎役でも有名です。どちらかというと時代劇が多かったように記憶しています。
『非情のライセンス』はハードボイルドな刑事ドラマです。放送開始が1973年ですから、すでに学生運動は下火になりつつあり、この『昭和ブルース』も若者向けではなく。中年向けの曲になったような感じがしました。「生まれた時が悪いのか・・・」というのもなにやら戦争体験者の心もようを歌った歌のように響きました。
とにかく渋いの一言です。
根津甚八っちゃんもカバーしました。
そして、これまた最近気になっている浜田真理子さんもカバーしています。
まさに昭和の歌でした。
それでは今日はこの辺で。