Flying Skynyrdのブログ

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映画『ガザ 素顔の日常』を観る

先日のキネ旬シアターは『ガザ 素顔の日常』でした。

 

監督:ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル

製作:2019年  アイルランド・ドイツ・カナダ

 

この映画は今現在イスラエルとの戦争で問題となっているパレスチナ自治政府ガザ地区の日常生活を描いたドキュメンタリーです。現在の戦争が起こる5年ほど以前の撮影でしょうか。

 

ガザ地区は日本の種子島ほどの面積で、そこには200万人ほどの人が暮らしており、世界で最も人口密度が高い場所の一つと言われています。人口の45%は14歳以下の子供で、7割は難民です。国境は高い壁で仕切られ、まさに「天井のない監獄」そのものです。

 

この映画にはナレーションがありません。市井の人々の声だけです。食糧不足、電力不足、医薬品不足で貧困にあえぐ住民たちの日常が描き出されます。

 

複雑な歴史を背負ったパレスチナイスラエル地区。

ハマスが政権を獲った2007年以降、何度も繰り返される戦争によって、街には戦火の後がいたるところに、まるで廃墟のようです。そんな中でも、海外に留学を熱望するチェロを弾く女子学生や大家族の中で明るく振舞う少年、生活は苦しくても何とか明るい未来を描くタクシーの運転手などの姿を通して、ガザの現状を伝えます。

 

ラストの15分は目を覆いたくなるような惨状です。イスラエルによる爆撃で逃げ回る住民。黒焦げの死体。怪我をして運ばれる人、人、人。傷だらけの少女。但し、これは現在の映像ではありません。映画撮影時の映像です。

そしてラストシーンはたった一人で漁のためか、海に漕ぎ出す少年が映し出されます。何とも象徴的なシーンです。

 

そして今年またハマスイスラエルの戦争は再開されました。これまでにない数の犠牲者が出ています。ロシアを批難しダブル・スタンダードを指摘される欧米は直ちにイスラエルに対して停戦勧告をすべきでしょう。

映画の中で、ある女性は「若い時は戦闘員になることが夢だった。憎いイスラエル兵を殺したかった。でも今は暴力に訴えても解決にはならない。もっとほかの方法があるはずだと考えるようになった」と語っていました。

今現在でも世界各地で紛争が絶えません。日本でも戦争準備がすでに始まっています。地球上から愚かな戦争がなくなる日は来るのだろうか?

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言葉が出ません。

 

それでは今日はこの辺で。