先日のキネ旬シアターは『ボストン1947』でした。
監督・脚本:カン・ジェギュ
出演:イム・シワン、ハ・ジョンウ、ペ・ソンウ 、パク・ウンビン
製作:2023年 大韓民国 2024年 日本公開
1936年、ベルリン・オリンピックのマラソン競技で金メダルと銅メダルを獲得した孫基禎(ソン・ギジョン)と南昇竜(ナム・スンニョン)。しかし、当時の朝鮮は日本の統治下にありました。したがってそのメダルも記録も日本のものでした。
その二人が戦後、韓国人として1947年のボストンマラソンで優勝した徐潤福(ソ・ユンボク)を指導したという実話を元にした映画です。
第二次世界大戦後の1946年、孫基禎(ソン・ギジョン)はベルリンオリンピックのマラソン競技で金メダルを獲ったにも関わらず、日章旗への不快感を表したせいで引退を強要されて飲んだくれの日々を送っていました。一方銅メダルだった南昇竜(ナム・スンニョン)はまだ現役生活を送っており、さらにロンドン・オリンピックを目指して若手を育てようと張り切っていました。
ナムはマラソンの指導にギジョンを誘います。しかし、ギジョンは乗り気ではありません。世界を相手に走れる素質がある選手がいないということが理由です。そこでスンニョンは一人の青年を見つけ出し、ギジョンに紹介します。それが徐潤福(ソ・ユンボク)でした。ユンボクは極貧の家庭に育ち、走るのは金のためだと競技には興味がありませんでした。
そんなユンボクにギジョンは興味を持ち始め、厳しく指導します。ユンボクも次第に協議に対する興味を持ち始めます。そしてスンニョンとギジョン、ユンボクはロンドンオリンピックを目指してトレーニングに励みます。しかし、オリンピックに出場するには国際大会の実績が無いとだめだということを知らされます。
そこでスンニョンはボストン・マラソンに目をつけます。かねてから親交のあったアメリカのマラソン選手に招待状を書いて欲しいと頼みます。それが受け入れられ、招待状が届きますが、今度はアメリカでの保証人と莫大な保証金が必要だということがわかります。保証人はなんとか見つかったものの、保証金が集まりません。
切羽詰まったスンニョンとギジョンは壮行会を開催することを企画し、実施しました。しかしその場でアメリカの長官は本国に打診したところ、方針は変更できず、韓国人は大会に参加できないというのです。それに憤った聴衆は義援金を寄付し始めました。そして無事その保証金を集めることに成功しました。
そしていよいよボストンへ。しかし、ここで再び問題が起こります。大会側は韓国は現在「難民国」扱いだからユニフォームには星条旗をつけることが義務だ言うのです。それに憤慨した3人は出場を辞退すると言い出し、記者会見を開きます。そこでギジョンは自分が味わったベルリン・オリンピックでの屈辱、そしてボストン・マラソンは独立の証としての大会ではないのか、韓国が独立を示す国旗をつけて走ってはいけないのか、と一同に問います。記者たちは賛同し、大会委員長も規則には例外があると、それを認めたのです。そしていよいよ大会が開催されます。果たしてユンボクとスンニョンは・・・。
かつてのオリンピックの記録などを読むと、必ずベルリン・オリンピックのマラソンで孫選手が金メダルを獲ったという記事に出会います。私もその名前は知っていました。しかし、それまでにどのような経緯があったのか、そしてその後彼がどのようになったのかは全く知りませんでした。ここにも戦争の暗い影が見えました。
この映画、見え見えのお涙ちょうだいの感動映画でした。涙が止まりませんでした。マラソンのシーンも迫力あります。
それでは今日はこの辺で。