「逢いたさ見たさに怖さを忘れ・・」、この歌詞とメロディーが何故か耳から離れなかった時期がありました。高校生の頃だったか、映画だかテレビドラマだかでこの曲が流れていたのだと思います。憶えやすいメロディーになにやらロマンティックで哀しげなな歌詞が印象に残りました。歌のタイトルが『籠の鳥』だということは後々知りました。当時はインターネットもなく調べようもありませんでした。
それが何かの拍子にまた耳の中で甦りました。歌詞をネットで調べると『籠の鳥』というタイトルだということがわかりました。作詞者と作曲者もわかりました。
作曲者は鳥取春陽(とっとり しゅんよう)という人で歌手兼作曲家で街頭演歌師だったそうです。この曲は1922年(大正11年)に作られた曲で、本人の歌唱かどうかはわかりませんが、同名タイトルで映画化され曲も大ヒットしたそうです。鳥取春陽は1932年に肺結核で亡くなります。31歳の若さでした。
作詞の千野かおるという人のことはわかりませんでした。
歌詞の内容は「籠の鳥」というのが遊女を指すのか妾を指すのか、それとも不倫の主婦なのかわかりませんが、悲恋であることは間違いなさそうです。男女の想いが交互に歌われます。
多分、大正時代か昭和初期を舞台にした映画かテレビドラマで流れていたのでしょう。憶えやすいメロディーが記憶の中に埋め込まれたのだと思います。
籠の鳥
作詞:千野かおる、作曲:鳥取春陽
1 逢いたさ見たさに怖さを忘れ
暗い夜道をただ一人
2 逢いに来たのになぜ出て逢わぬ
僕の呼ぶ声忘れたか
3 あなたの呼ぶ声忘れはせぬが
出るに出られぬ籠の鳥
4 籠の鳥でも知恵ある鳥は
人目忍んで逢いに来る
5 人目忍べば世間の人が
怪しい女と指ささん
6 怪しい女と指さされても
誠心こめた仲じゃもの
7 指をさされちゃ困るよ私
だから私は籠の鳥
8 世間の人よ笑わば笑え
共に恋した仲じゃもの
9 共に恋した二人が仲も
今は逢うさえままならぬ
10 ままにならぬは浮世の定め
無理に逢うのが恋じゃもの
11 逢うて話して別れるときは
いつか涙がおちてくる
12 おちる涙は誠が嘘か
女ごころはわからない
13 嘘に涙は出されぬものを
ほんに悲しい籠の鳥
多くの人が歌っています。オリジナルは歌川八重子という人が映画で歌ったらしいのですが映像はありません。
これは古そうです。
ちあきなおみさんが歌っています。
同じく31歳の若さで亡くなった演歌歌手・村上幸子さん。
今は亡き藤圭子さん。
森繫久彌さんも歌っていました。
加藤登紀子さん。
東海林太郎さん。
それでは今日はこの辺で。