昨日のキネ旬シアターは『6月0日 アイヒマンが処刑された日』でした。
監督:ジェイク・パルトロウ
脚本:ジェイク・パルトロウ、トム・ショヴァル
出演:ツァヒ・グラッド、ヨアヴ・レヴィ、トム・ハギ
製作:2022年 イスラエル、アメリカ合衆国 2023年 日本公開
ナチスドイツのユダヤ人大量虐殺に関与したアドルフ・アイヒマンの処刑の舞台裏を史実に基づいて描いたドラマです。アイヒマンについてはこれまでにも何度か映画化されています。それだけユダヤ人にとっては憎むべき相手でした。
アドルフ・アイヒマンは終戦後に逃亡していましたが、1960年にブエノスアイレスに潜伏中のところをイスラエルの諜報機関に逮捕されました。翌年には死刑が確定します。1962年5月31日から6月1日へ日付が変わる時刻に処刑されました。
処刑後、遺体を焼却するために焼却炉の建設が秘密裏に行われました。なぜなら、イスラエルでは宗教上火葬は行わないのです。
映画はこの焼却炉建設に携わった工場の人々とそこで働く13歳の少年、ホロコーストの生存者やアイヒマンの捜査官を通して、これまで謎だったアイヒマンの最期の舞台裏が明かされていくのです。
現在、中東パレスチナではイスラエル=ハマス戦争が行われています。元はハマスが仕掛けた戦争ですが、イスラエルの反撃によりガザ地区の多くの市民そして何千人もの子供たちが亡くなっています。
この映画でもナチスに虐殺されたユダヤ人たちの憎悪・怒りが描かれています。600万人とも言われるユダヤ人が殺されたのですからその憎悪・怒りは当然です。しかし、戦後居住地を奪われたパレスチナ人たちの怒りも当然です。戦後、何度もの中東戦争があり、日本赤軍も関与したパレスチナ問題の複雑さは日本人にはなかなか理解しにくいところがあるかもしれません。
欧米諸国はイスラエルの執拗な反撃を是認しています。ハマスとは無関係な市民や子供まで虐殺しても許されるのでしょうか。ウクライナの領土を奪ったロシアを非難しても、パレスチナ人の領土を奪ったイスラエルは非難しません。英米が推し進めた政略なので非難できるはずもないでしょうが、完全なダブルスタンダードです。ミエミエの政治判断は見透かされ、全世界で停戦を訴えるデモが行われています。憎しみの連鎖は先が見えませんが、一刻も早い停戦を祈るばかりです。
処刑後、アイヒマンの遺灰は海に散骨されました。
それでは今日はこの辺で。