先日のキネ旬シアターは『メンゲレと私』でした。
監督・脚本:クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマー
製作:2021年 オーストリア 2023年 日本公開
「ゲッベルスと私」「ユダヤ人の私」に続く“ホロコースト証言シリーズ”3部作。
リトアニア出身のユダヤ人、ダニエル・ハノッホ(91歳)がアウシュヴィッツ強制収容所での体験を証言。
彼は9歳でリトアニアのゲットーに送られ、その後12歳でアウシュヴィッツ強制収容所に連行されました。彼は金髪の美少年でした。そして収容所の医師、ヨーゼフ・メンゲレの寵愛を受け、生きのびるのです。しかし、この医師メンゲレは”死の天使”の異名を持ち、非人道的な人体実験を繰り返していたのです。
映画は9割がたダニエルの独白です。あとはナチスのプロパガンダ・ニュースとアメリカの報道です。メンゲレの話はほとんど出てきません。日本語タイトルが紛らわしいのです。原題の「A BOY’S LIFE」がしっくり来ます。
ダニエルの少年期の凄まじい経験談、とくにカニバリズムの話はこれまでもあまり表沙汰にはなっていなかったのではないでしょうか。強制収容所での体験から、解放されイスラエルに逃れ、その後の人生までを振り返っています。「食料よりも紙と鉛筆を望んだ」「懸命に頭を使った」、そして最後に「自分は幸せな人生だった」と語ります。深い意味がありますね。
ナチスによって迫害・虐殺されたユダヤ人。今はそのユダヤ人がたどり着いた安息の地で一般のパレスチナ人を虐殺しているのです。一刻も早い停戦を望みます。
それでは今日はこの辺で。