先日のキネ旬シアターは『アウシュヴィッツ・レポート』でした。
監督:ペテル・べブヤク
出演:ノエル・ツツォル、ペテル・オンドレイチカ
アウシュヴィッツ強制収容所を脱走し、アウシュヴィッツの実態を告白したレポートを提出した二人のユダヤ人の物語。実話です。
1944年、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所。遺体の記録係をしているスロバキア系のユダヤ人、アルフレートとヴァルターは強制収容所の実態を世界に知らしめようと強制収容所からの脱走を計画します。
二人は何日も木材の下に掘った穴の中に隠れ、チャンスを伺います。二人が行方不明になったことで残された囚人たちは執拗な拷問を受けます。そんな囚人たちの思いを背負って二人は三日目になんとか脱走します。その間残された囚人たちは厳寒の中、三日三晩立たされ続けました。
彼らはひたすら山林を超え、スロバキアに向かって歩き続けます。途中で負傷し、そして飢餓に苦しみながらも、運よく赤十字に救出されました。
二人は赤十字の職員にアウシュヴィッツの実態を報告し、その内容を32ページのレポートにまとめ上げました。これが世に言う「アウシュヴィッツ・レポート」です。
このレポートを連合軍に提出され、12万人以上のユダヤ人が強制収容所に送られるのを免れたのでした。
冒頭から残虐・残酷なシーンの連続で、顔を背けたくなります。ホロコースト映画にはつきものですが、歳と共にこれらのシーンには耐えがたいものを感じるようになりました。
ここ数年で、ナチス関連の映画を何本公開されたでしょう。 私自身、結構な数を見たと思います。それもドイツ本国ではなく周辺国の製作作品が多かったと記憶しています。これはドイツ・ナショナリズムの台頭への警告でしょうか。さらに、このナショナリズムは某前大統領の言動などによって全世界的に広がりつつあります。そして人種や性、宗教、障碍者などに対する差別・分断も激しさを増しています。そのような現実に警鐘を鳴らした映画だと、私自身は受け止めました。
映画冒頭の言葉 「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す」が胸に沁みます。
それでは今日はこの辺で。