昨日のキネ旬シアターは『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』でした。
監督:レジス・ロワンサル
主演:ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ、アレックス・ロウザー
製作:2019年 フランス・ベルギー
『ダヴィンチ・コード』でお馴染みのダン・ブラウンの小説『インフェルノ』出版の際に海賊行為と違法流出を恐れた出版元が著者ブラウンの同意のもと、各国の翻訳家を地下室に隔離して翻訳を行なったとの実話をベースにしたサスペンス映画とのことです。
冒頭の火事のシーン。これが最後に重大な意味を持ってきます。
世界的大ベストセラー『デダリュス』の第3巻にあたる『死にたくなかった男』の出版権を得た出版社の社長エリック・アングストロームは世界同時出版を企画し、情報の流出を防ぐために、9か国から集めた翻訳家たちをフランスのある豪邸の地下室に集めました。
彼らは外部との連絡は遮断され、完全な監禁状態に置かれました。その中で彼らは翻訳作業を行うことになりました。毎日20ページを渡され、2か月で仕上げるというスケジュールでした。
しかし、不思議なことに『死にたくなかった男』の冒頭の10ページがネット上に流出したのです。そして犯人は200万ユーロを要求してきたのです。要求を拒めばまた100ページ流出させると言ってきました。
本の内容を知っているのは作者オスカル・ブラックとエリックと翻訳家の9人だけです。エリックは犯人は翻訳家の中にいると睨み、調査を開始しました。
しかし、犯人は再び原稿の100ページ分を流出させました。エリックは翻訳家たちに食事制限や電気を止めるなど、彼らを追い詰めました。すると耐えられなくなったデンマーク語の翻訳家が自殺を図りました。翻訳家たちには動揺が走ります。
さらに犯人は脅迫メールを送ってきます。激高したエリックは拳銃をもって全員殺すと迫りました。すると若い英語の翻訳家アレックスが自分が犯人だと名乗り出ます。ロンドンから遠隔操作でメールを送っていたというのでした。エリックは彼を怒り狂い彼を殴りました。危機を感じた翻訳家たちはエリックにわからないスペイン語で会話をしエリックに立ち向かおうとしました。
すると彼はついにロシア語の翻訳家カテリーナをめがけて拳銃を撃ったのです。アレックスはパソコンのパスワードを教えますが、アングストロームの助手の裏切りに遭って、8000万ユーロもの大金を払う羽目になりました。
2か月後、エリックは銃撃の罪で刑務所にいました。そこにアレックスが面会にやってきます。そしてそこから驚きの事実が次々と明らかになるのです。
犯人は誰なのか、そしてその真の目的は?
商業主義に走るエリック。文学を愛する翻訳家たちとの対立。果たして作者のオスカル・ブラックとは何者なのか。
あとは見てのお楽しみですね。ミステリーなのでネタバレはやめておきます。
ミステリー部分もさることながら、ハラハラドキドキのサスペンスもあり、悲しい真実もありで十二分に楽しめた映画でした。
翻訳家たちの文学談義も面白いです。
ロシア語の翻訳家カテリーナを演じた女優、どこかで観たような気がしていました。調べたら『スターリンの葬送狂騒曲』でした。すぐ忘れてしまいます。困ったものです。
【公式】『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』2020年1月24日(金)公開/本予告
それでは今日はこの辺で。