久しぶりに『この人の、この1枚』シリーズです。
新型コロナウィルスのせいで家にいる時間が多くなり、先日書いたように生前整理の一環でレコード・CD整理を始めました。すると今まで記事に書いてこなかったアーティストがまだまだいることが判明しました。ということで、そのアーティストたちを少しづつ紹介していこうかと思います。
今日はその中から10ccの『How dare you ?』です。
10ccはイギリスで1972年に結成されたバンドです。
結成時のメンバーは
グレアム・グールドマン(Graham Gouldman,b,g,vo)
エリック・スチュワート(Eric Stewartvo,g,key,)
ロル・クリーム(Lol Creme,vo,g,key)
ケヴィン・ゴドリー(Kevin Godleyvo,ds,)
でした。
この4人の下積み生活は長く、1962年頃から音楽活動を始めました。4人はそれぞれのバンドで活動していました。エリックはウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズ、グレアムはThe Whirlwinds、ロルとケヴィンはThe Sabresというバンドでした。
グレアムのバンドが解散するとグレアムはロルとケヴィンを誘いThe Mockingbirdsというバンドを結成します。しかしこれも不発に終わります。一方エリックのバンドはヒットを出し続けますが次第に低迷、ヴォーカルが脱退し、残ったメンバーはエリックを中心にマインドベンダーズとして再出発します。そんな中マインドベンダーズの曲をグレアムがプロデュースしたことによって二人は意気投合します。
マインドペンダーズは1968年には解散し、その後エリックはグレアムとバンドの結成を決めます。グレアムはロルとケヴィンを誘いホットレッグスというバンドを結成します。
そして1972年、エリックの友人のジョナサン・キングがUKレコードを立ち上げたことをきっかけに彼らはUKレコードと契約を果たしました。そしてジョナサン・キングの勧めでバンド名を10ccに改めました。デビューシングル「ドナ」が大ヒットし、セカンドシングルの「いけないジョニー」、3枚目の「ラバー・ブリッツ」も立て続けに大ヒットを果たしました。
1973年にはファーストアルバム『10cc』を発表します。
このアルバムはシングルヒットを含み、50~60年代のロックンロールのパロディのような雰囲気になっています。これは全英の36位になりました。
翌年の1974年にはセカンドアルバム『Sheet Music』がリリースされました。
このアルバムでもコミカルさは満載です。全英で9位、全米でも81位になりました。
1975年にはレーベルをマーキュリー・レコードに移し、3枚目のアルバム『The Original Soundtrack』をリリースします。
このアルバムは『サウンドトラック』となっていますが、架空の映画を題材にしています。この中の「アイム・ノット・イン・ラヴ」は全英で1位、全米でも2位を記録しました。アルバムも全英4位、全米で15位になりました。
そして1976年に4枚目のアルバムとして『びっくり電話(How dare you ?』がリリースされます。
Side A
1.How Dare You
2.Lazy Ways
3.I Wanna Rule The World
4.I'ⅿ Mandy Fly Me
5.Iceberg
Side B
1.Art For Arts Sake
2.Rock'N'Roll Lullaby
3.Head Room
4.Don’t Hang Up
プロデュースは10ccです。
このアルバムもヒットしました。先行シングルの「芸術こそ我が命(Art For Arts Sake)」「アイム・マンディ」がいずれも大ヒットします。パロディ風なサウンドやユーモアにあふれた歌詞などはとどまるところを知りませんでした。
この調子はどこまで続くのかと思った矢先に、ロルとケヴィンが脱退を表明します。残ったエリックとグレアムはオーディションによってメンバーを募集するという発表をします。そしてメンバーの補充がならないままに、5枚目のアルバム『Deceptive Bends(愛ゆえに)』を発表します。ドラムにはツアーにも参加していたポール・バージェス(Paul Burgess,ds,perc)を参加させて完成させ、1977年にリリースしました。
このアルバムは全英で3位、全米では31位を記録しました。シングルの「愛ゆえに」も全米で5位になる大ヒットになりました。
その後新メンバーにリック・フェン(Rick Fenn,g,vo,org)、スチュアート・トッシュ(Stuart Tosh,ds,vo)、トニー・オマーリー(キーボード)をサポートメンバーとして加入させ、ライブアルバムを挟んで、1978年には7枚目のアルバム『Bloody Tourists』をリリースします。この時にはトニーの代わりにダンカン・マッケイ(Duncan Mackay,key,vo)が加入しました。
このアルバムも全英で3位になるヒットになり、シングルも「ドレッドロック・ホリデイ」も大ヒットしましたが、これが彼らの最後のヒットとなりました。
エリックが交通事故に遭い、バンドは低迷期に入り、3枚のアルバムをリリースしますが不調に終わり、1983年に解散します。その後は再結成を繰り返し現在に至っています。
10cc-Art For Art's Sake (1976) HD
1970年代を彩った稀有なバンドでした。
それでは今日はこの辺で。