Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『メグレと若い女の死』を観る ーキネマ旬報シアター

 先日のキネ旬シアターは『メグレと若い女の死』でした。

 

原作:ジョルジュ・シムノン

監督:パトリス・ルコント

出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ

製作:2022年  フランス

 

ジョルジュ・シムノン推理小説メグレ警視・シリーズの中の1冊です。監督は同じくジョルジュ・シムノンの原作『仕立て屋の恋』でメガホンを撮ったパトリス・ルコントです。

まだ学生の頃、シムノン推理小説は何冊か読んだことがありました。この『メグレと若い女の死』はたぶん読んでなかったと思います。

メグレ警視はフランスの名優ジャン・ギャバンが何度か演じていました。今回のジェラール・ドパルデューもどことなく晩年のジャン・ギャバンに風貌が似ているような気がします。彼の出演記録を観てみると、1973年の『暗黒街の二人』に出演していました。ジャン・ギャバンアラン・ドロンの主演でしたが、その時はドパルデューには気がつきませんでした。もっともその頃はまだそれほど有名でもなかったのでしょう。

その後、アラン・レネの『薔薇のスタビスキー』やフランソワ・トリュフォーの『終電車』『隣の女』、アンジェイ・ワイダの『ダントン』、ゴダールの『ゴダールの決別』など往年の名匠の作品やその他多くの作品に出演して、今やフランスを代表する俳優になりました。

 

映画の方は、1953年、パリ。モンマルトルのヴァンティミーユ広場で若い女性の死体が発見されます。場違いなシルクのイブニング・ドレスをまとった被害者をみたメグレ警視は事件が複雑なものと直感します。死体のそばには持ち物もなく、目撃者もいません。彼女を知る人間もいません。そんな中で唯一の手掛かりは若い女性には不釣り合いな高級ドレスでした。

メグレ警視は犯人を捜すよりも彼女の人生を理解することが事件を解決するカギとなると捜査を開始します。そして彼は異常なほどこの事件にのめり込んでゆくのですが、その理由とはメグレ警視の過去にあったのですが・・・。

 

 

この当時、フランスでも若者たちが都会に対するあこがれを持ってパリに向かったのでしょう。そして多くの若者たちは挫折し、ある者は犯罪に巻き込まれたりしたのでしょう。日本の高度成長期も同じようにみんな夢と希望を持ってと都会へと旅立ったのです。そして或る者は成功し、或る者は挫折し都会を去っていったのです。

 

推理小説を映画化すると、すでに原作を読んだ方たちにとってはネタバレしているので推理するという楽しみはなくなります。この映画も推理ドラマという面からこの映画を観ると拍子抜けするかもしれません。むしろメグレ警視という人間に焦点を当てた映画として観るのが正解かもしれません。毎度書いていることですが、やはり小説と映画は全く別物と捉えるのが正解です。

メグレ警視といえばパイプを咥えるのがトレードマークでしたが、今回は医者にタバコを止められパイプを咥えるシーンがほとんどありませんでした。

 

映画を観終わった後、我が家の本棚を家捜ししましたが、シムノンの小説が何冊か出てきましたが、この原作本はありませんでした。やはり読んでいなかったのです。記憶は正しかった。

 

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それでは今日はこの辺で。