先日のキネ旬シアターは『HOW TO BLOW UP』でした。
監督:ダニエル・ゴールドハーバー
出演:アリエラ・ベアラー、サッシャ・レイン、ルーカス・ゲイジ
製作:2022年 アメリカ合衆国 2024年 日本公開
環境破壊に人生を狂わされた若き環境活動家たちが、行動を起こすエコ・サスペンス・アクション映画です。
若者世代の環境活動家たちが、テキサス州の石油精製工場のパイプラインを爆破するという大胆な計画を実行します。彼らの過激な思想は友人や恋人たちを巻き込みながら、予期せぬ混乱を招きながら、フィナーレへと・・・。
女子大学生のソチは平和的な環境活動家です。しかし、その平和的な活動では現状の地球温暖化を止めることはできないと悟ると、大学を辞めテキサスの石油パイプラインの破壊活動を計画します。その思想に共鳴した男女合計8人は爆弾の製造を開始し、爆破計画を具体化させていきます。
映画はソチ以外の若者のそれぞれの事情をフラッシュバックさせながら進行します。それぞれの事情とは環境汚染によって肉親が亡くなった、工場建設のために家を立ち退かされた、有害物質によるがんを患ったなどなど。
思わぬハプニングもありますが、パイプライン爆破は予定通り成功しました。しかし、その裏には彼らの真の目的がしくまれていたのです。
サスペンス映画としてはドキドキ感も充分でした。テロリズム映画としては、テロに至る動機が私憤で、やや希薄。爆弾製造もちょっと物足りないです。
映画を観ていて、半世紀前の「東アジア反日武装戦線」による連続企業爆破事件を思い出しました。この組織の目的は三菱重工業などのアジア侵略を図る企業に対するテロリズムでした。爆弾製造方法は地下出版の「腹腹時計」に掲載しました。メンバーの中には日本赤軍が起こしたクラアルンプール事件、ダッカ事件により超法規的措置によって釈放され、未だに国際指名手配中の者がいます。
映画では主人公がこのテロによって、あとに続く人たちが必ず出て来て、世の中は変わるのだと訴えますが、世の中それほど単純ではないでしょう。半世紀前の、世の中を変えようとした熱気は、今や見る影もありません。
それでは今日はこの辺で。