エリック・クラプトンが自身のファーストソロアルバムで「アフター・ミッドナイト」を取り上げたことで、一躍有名になったのがJ.J.ケール(J.J.Cale)です。
J.J.ケイルはオクラホマ州のオクラホマシティで生まれ、タルサで育ちました。1938年生まれで、早くから音楽活動をしていて、1958年から1961年にかけて3枚のシングルを出していますが、さっぱりでした。
一時はミュージシャンをあきらめかけていましたが、クラプトンの「アフター・ミッドナイト」で運が向いてきました。彼の柔らかなギターと静かな歌声が、ブルースともフォークともカントリーとも違った音楽性を表し、当時流行り始めていた「レイドバック」感覚にピッタリで評判を呼ぶようになり、タルササウンドなどと呼ばれるようになりました。
J.J.ケイルのファーストソロアルバムは前にも「ジョー・コッカー」の記事の中で書いた、デニス・コーデルとレオン・ラッセルが設立したレーベル、シェルターレコードの第1弾として発売されました。それが『Naturally』です。J.J.ケールとレオン・ラッセルは親交があり、おそらくクラプトンにJ.J.ケールの楽曲を紹介したのもレオン・ラッセルだと推測できます。
Side A
1.Call Me The Breeze
2.Call the Doctor
3.Don't Go to Strangers
4.Woman I Love
6.Clyde
Side B
1.Crazy Mama
3.After Midnight
4.River Runs Deep
5.Bringing It Bac
6.Crying Eyes
レコーディングにはカール・レイドルやノバート・プットナムといったレオン・ラッセルのシェルター・ピープルやデヴィッド・ブリックスが参加しています。
「Call Me The Breeze」はレーナード・スキナードの『セカンド・ヘルピング』で取り上げられ、彼等のライヴでの定番になっています。ケイルの歌声は素朴で弱々しく、逆にそれが魅力となっています。彼の人となりが現れているようです。この後もレーナード・スキナードは彼の曲のカバーをしています。
「Crazy Mama」は彼の代表曲で最大のヒット曲です。再結成後のザ・バンドもカヴァーしています。
「After Midnight」はクラプトンのファーストソロでカヴァーされ、『レインボーコンサート』でも披露されました。
J.Jケイルの優しいギターと歌声には本当に癒されます。このレイドバック感がたまらないのです。
その後、彼はコンスタントにアルバムを出し続けます。そして2008年にはグラミー賞(最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム)を獲得しました。こんな地味なアーティストに最大の賞を与えるところがアメリカの懐の深さなのでしょう。
しかし、2013年に心臓発作で亡くなりました。74歳でした。
私がこのアルバムと共に気にっているアルバムは『Troubadour』です。
このアルバムの中には、再びクラプトンがアルバム『Slowhand』の中でカバーした「Cocaine(コカイン)」も入っています。
アメリカ南西部のスワンプミュージックとはまた違った味わいのJ.J.ケイル・ミュージックです。クラプトンがレイドバックしていった原点がここにありました。
J.J. Cale - Crazy Mama (Studio)
それでは今日はこの辺で。