Flying Skynyrdのブログ

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この人の、この1枚 『アシュトン・ガードナー・ダイク・アンド・カンパニー(Ashton, Gardner , Dyke & Co)/ What a Bloody Long Day It's Be』

今ではすっかり忘れ去られたバンド、アシュトン、ガードナー&ダイク(Ashton, Gardner & Dyke)です。

イギリス、リバプールのロックバンド、レモ4(The Lemo Four)に在籍していたトニー・アシュトン(Tony Ashton,vo,key)ロイ・ダイク(Roy Dyke,ds)は1968年にバンドを脱退し、ザ・バーズ(The Birds、アメリカのByrdsとは別)クリエイション(The Creation)にいたキム・ガードナー(Kim Gardner,b)とバンドを組みました。それがアシュトン、ガードナー&ダイクのスタートとなりました。

キム・ガードナーが在籍していたバーズ、クリエイションには後にフェイセズローリング・ストーンズロン・ウッド(Ron Wood)も在籍していました。

 

1969年にポリドールからシングルをリリースしますが鳴かず飛ばずでした。しかし次にキャピトルと契約し、シングルResurrection Shuffle」をリリースすると、これが大ヒットし全英の3位になりました。

またジョージ・ハリソンのアルバム『All Things Must Pass』にも参加したりしました。レモ4時代からジョージとの交流がありました。

シングルヒットに続いてファーストアルバムをリリースしました。『Ashton, Gardner & Dyke』です。

ジャンプ・ブルースあり、スロー・ブルースあり、ビ・バップあり、R&Bありとそれまでに在籍していたバンドとは明らかに違う音楽性を狙ったアルバムでした。

 

さらに1971年にはセカンドアルバム『The Worst of Ashton,Gardner & Dyke』をリリースします。

このアルバムではギターがフィーチャーされます。A面の1曲目ではチッキン・シャック(Chicken Shack)のスタン・ウェブ(Stan Webb)が、2曲目ではエリック・クラプトン(Eric Clapton)ジョージ・ハリソン(George Harrison)がそれぞれ名前を変えて参加しています。またジム・プライス(Jim Price,tp)も参加しています。

 

そして1972年、彼らのラストアルバムとなる『What a Bloody Long Day It's Be』がリリースされます。

 

Side A

1.It’s Agonna Be High Tonight

2.It’s A Drag, I’m A Drag

3.Still Got A Long Way To Go

4.The Falling Song

 

Side B

1.Ballad Of The Remo Four

2.(The Old) Rock And Roll Boogie Woogie

3.Got To Get Back To You

4.What A Bloody Long Day It’s Been

5.Im Going To A Place

 

前作でゲスト参加していたミック・ライバー(Mick Liber,g)が正式メンバーになりました。それにホーンのデイヴ・キャッスル(Dave Caswell,tp,fp)ジョン・マンフォード(John Mumford,tb,perc)ライル・ジェンキンス(Lyle Jenkins,sax,flute)は加入します。

全曲トニー・アシュトンかアシュトンとメンバーの共作になります。

プロデュースもトニー・アシュトンです。

A-4のストリングスのアレンジはディープ・パープル(Deep Purple)ジョン・ロード(John Lord)です。

このアルバムではバンド名をアシュトン・ガードナー・ダイク・アンド・カンパニー(Ashton, Gardner , Dyke & Co)に変えています。これは新しくメンバーが一人加わったからでしょう。

 

ホーンセクションがふんだんに入り、ジャズとブルースとロックがカッコよく融合して何とも言えぬ雰囲気を醸し出しています。ジャズロック、ブラスロックも人気が出ていた時期ですからさもありなんです。アシュトンのハスキーな絶叫型ヴォーカルが何とも言えません。これは隠れた名盤ではないかと密かに思っています。

しかし、世間はResurrection Shuffle」のようなポップな曲を望み、バンドの意向とはかけ離れていきました。結局バンドは解散しました。1972年のことでした。

 

解散後、ガードナーとダイクはバジャー(Badger)に加わります。ダイクはその後パット・トラバース(Pat Travers)のバンドに加わります。

トニー・アシュトンはファミリー(Family)のラストアルバムに参加し、ジョン・ロードやチッキン・シャックのアルバムにも参加したりしていました。1977年にはディープ・パープルのイアン・ペイス(Ian Paice,ds)ジョン・ロードと共にペイス、アシュトン&ロード(Paice, Ashton & Lord)を結成しアルバム『Malice in Wonderland』を発表しました。

 

僅か3年で3枚のアルバムを残し解散した、AG&Dでしたが、ジョージ・ハリソンが絶賛したように70年代初頭の貴重なバンドでした。たまたま大ヒットを飛ばしたせいで、自分たちの音楽が出来なくなってしまったという、なんとも皮肉な結果に終わってしまったのが残念です。

 


Ashton Gardner & Dyke - The Resurrection Shuffle


Ashton, Gardner, Dyke & Co [UK, Blues/Jazz/Psych 1972] It's A Drag, I'm A Drag


Ashton, Gardner, Dyke & Co. - Ballad Of The Remo Four (1972)


Ashton Gardner & Dyke - Resurrection shuffle ( Very Rare Original Footage 1971 )

 

それでは今日はこの辺で 。