アシュトン、ガードナー&ダイクの記事の中でキム・ガードナー(Kim Gardner,b)が在籍していたことで名前が出てきたクリエイション(The Creation)です。クリエイションと言ってもあの日本のロックバンドではありません。
1966年に結成されたイギリスのバンドです。このバンドのことを知ったのは、ロン・ウッド(Ronnie Wood)が在籍していたということを知ってからでした。従って当時のレコードは入手できませんでした。おそらくオリジナルアルバムは1枚しか出ていないと思います。この頃はシングルやEPが中心の時代でしたからそれもありだと思います。中古レコード屋でもほとんど見かけませんでした。そんなこんなですっかり忘れてい頃、1990年代になってコンピレーションアルバムが何種類か発売されました。これは懐かしいとばかり思わず買ったのが、Demonレコードから出た『Our Music Is Red With Purple Flashes』でした。
01 Making Time
02 Try And Stop Me
03 Painter Man
04 Biff Bang Pow
05 If I Stay Too Long
06 Nightmares
07 Cool Jerk
08 Like A Rolling Stone
09 I Am The Walker
10 Can I Join Your Band
11 Hey Joe
12 Life Is Just Beginning
13 Through My Eyes
14 How Does It Feel To Feel (US Version)
15 How Does It Feel To Feel (UK Version)
16 Tom Tom
17 Midway Down
18 The Girls Are Naked
19 Bony Moronie
20 Mercy, Mercy, Mercy
21 For All That I Am
22 Uncle Bert
23 Ostrich Man *
24 Sweet Helen *
* ボーナストラック
クリエイションの前身は1963年に結成されたマーク・フォー(Mark Four)というバンド名で、1964年にシングルを2曲リリースしました。その時のメンバーは
ケニー・ピケット(Kenny Pickett,vo)
エディー・フィリップス(Eddie Phillips,g)
ミック・トンプソン(Mick Thompson,g)
ジョン・ダルトン(John Dalton,b)
ジャック・ジョーンズ(Jack Jones,ds)
ここからミック・トンプソンがバンドを離れ、ジョン・ダルトンが一時的にピート・クワイフの代わりにキンクスに参加するためにバンドを辞めました。ジョンの代わりにボブ・ガーナー(Bob Garner,b)を加え、バンド名もザ・クリエイション(The Creation)に変更しました。こうしてクリエイションはスタートしました。
1966年の最初のシングル「Making Time」は全英49位になりました。続くシングル「Painter Man」はトップ10に入るヒットを記録しました。プロデュースはザ・フー(The Who)やキンクス(Kinks)を手掛けた敏腕シェル・タルミー(Shel Talmy)です。
エディー・フィリップスはエレキギターをバイオリンの弓で弾くという奏法で、これはおそらく最初の試みでじゃなかったかと思います。
1967年になると、ケニー・ピケットがバンドを去り、ボブ・ガーナーがリードヴォーカルを執ることになり、代わりのベーシストとしてキム・ガードナー(Kim Gardner,b)が加わりました。
クリエイションはイギリスではもちろんですがドイツで高い人気を誇りました。
しかし、1967年末にエディ・フィリップスが脱退、続いて1968年になるとボブ・ガーナーも脱退し、結局解散となりました。
ところがクリエイションの人気は高く、ジャック・ジョーンズがバンドを再結成します。ヴォーカルにケニー・ピケットを戻し、キム・ガードナーも復帰し、キムがザ・バーズ(The Birds,アメリカのThe Byrdsとは違います)で一緒だったロン・ウッド(Ronnie Wood,g)を連れてきました。
しかしこの新生クリエイションはシングル1曲をリリースして解散してしまいました。解散後に2枚のシングルがリリースされました。
解散後、キム・ガードナーはアシュトン、ガードナー&ダイク、ロン・ウッドはジェフ・ベック・グループからフェイセズ、エディ・フィリップスはPPアーノルドのバック、ケニー・ピケットはソロにとそれぞれ別れました。
クリエイションの音楽は、初期のザ・フーにそっくりです。さらにキンクス、ローリング・ストーンズ、プリティ・シングスも入っています。いわゆるブリティッシュ・インベンションにカテゴライズされるバンドの一つです。
このコンピレーションにはファーストアルバムの曲は全て収録されています。 01~04は1966年、05~14は1967年、15~22は1968年、23は1982年、24は1993年の録音です。08はボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」、11はジミヘンやバーズでもおなじみ「ヘイ・ジョー」です。
1982年にエディ・フィリップス、ケニー・ピケット、ジョン・ダルトンにキンクスにいたミック・アイヴォリー(Mick Ivory,ds)を加えて再結成し、シングルを1枚リリースしました。しかしすぐに解散。
1994年にはフィリップス、ピケット、ボブ・ガーナー、ジャック・ジョーンズが揃いアルバム『 Power Surge』をリリースしました。
現在もエディ・フィリップスがメンバーを入れ替え活動中らしいです。頑張りますね。
1960年代半ば頃はこのようなバンドが数え切れないくらいあったのでしょう。その中で今でもこうしてアルバムが発売されるというのはほんのわずかなバンドです。貴重なアルバムです。
なお、彼らのファーストアルバムは『We Are Paintermen』です。
The Creation - Like A Rolling Stone
それでは今日はこの辺で。