Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『型破りな教室』を観る ネタバレあり

今年最初ののキネ旬シアターは『型破りな教室』でした。

 

監督・脚本:クリストファー・ザラ

出演:エウヘニオ・デルベス 、ダニエル・ハダッド、ジェニファー・トレホ、ミア・フェルナンダ・ソリス、ダニーログアルディオラ

製作:2023年  メキシコ合衆国

 

アメリカ合衆国との国境近くにあるメキシコのマタモロスの小学校で実際に起きた実話を元にした映画です。

 

麻薬などの犯罪が常態化した環境で設備も教員も不足し、小学校の学力は国内最低でした。そこに赴任してきた新任教師ファレスはユニークな教育を施します。その結果、クラスの学力は飛躍的に伸び、国内上位に食い込むようになります。

ドラマなどではよくある話ですが、実話となると驚きです。この教師の指導方法は徹底して生徒に考えさせることです。そして褒めること。

この町は貧しく、治安も悪い。子供たちはその日の生活だけで学校どころではないのです。しかし、教師は生徒たちに考えることの楽しさを教えるのです。

クラスの中には理系に天才的な少女・パロマがいます。宇宙飛行士になりたいとの夢を持っていますが、父親と二人暮らし、父親はゴミ拾いの仕事、パロマも仕事を手伝いながらこっそりと宇宙の勉強をしています。そんな現実から夢の実現は諦めていました。ところがファレスに出会って、改めて夢を追いかけるようになるのです。

また、別な少年・ニコは悪事を働くグループに属している兄からそのグループに入るように言われています。家はその悪事・麻薬の密売で生計を立てているのです。そのため学校などには行きたくないのですが、このファレスの授業を受けて勉強が好きになってきたのです。そして兄に仲間には加わらないと宣言するのですが、その仲間たちは放っておくはずがありません。ここで取り返しのつかない大事件が起きます。ファレスはその前にニコの様子から悪いことに手を染めているのではないかと察していました。しかし、それを辞めるかどうかの判断を本人に委ねたのです。その結果が災いしたのです。

この事件をきっかけにファレスは責任を取って学校を辞めると言い、引きこもってしまいます。そこで校長先生がファレスを説得に行きますが、なかなか応じません。校長はファレスを不登校になったパロマの家へ連れていきます。そこでゴミの山で働くパロマにかける言葉もなく帰ろうとするファレスにパロマは「先生のお陰で希望が持てた」との言葉をかけます。それを聴いたファレスはもう一度やろうと決心するのでした。

学校では共通試験がとり行われます。クラスの生徒たちも戻ってきました。パロマも出席です。結果、以前は最低だったこのクラスは全国で上位になり、パロマは数学で全国1位になったのです。

 

映画の中でもう一人、ファレスの授業を聴いて哲学に興味を持って、図書館の哲学書を読み漁るルぺという少女がいます。彼女は3人の弟妹の面倒をルぺが見ることになるので、来年から学校に行かせられないと母親に言い渡されます。共通試験の日も生まれたばかりの子供の面倒見で行けませんでした。

このような場面を見ると貧しくて教育もまともに受けられないという現実の厳しさを思い知らされます。現在の日本ではおよそ考えられない実情です。

どこにでもあるような学園ドラマの筋書きですが、実際は中身が濃く涙をそそる感動ものでした。

 

www.youtube.com

 

それでは今日はこの辺で。