昨日のキネ旬シアターは『お名前はアドルフ?』でした。
監督:ゼーンケ・ボルトマン
主演:クリストフ・マリア・ヘルプスト、カロリーネ・ペータース、フロリアン・ダービト・フィッツ
製作:2018年 ドイツ 2020年 日本公開
生まれてくる子供の名前をめぐっての5人による会話劇です。
登場人物は
シュテファン 家の主でボン大学の教授。専門はドイツ現代文学。高名な学者でインテリ。
エリザベト シュテファンの妻。学校の国語教師。夫とは幼馴染。料理得意。家事をすべてこなす。
トーマス エリザベトの弟。勉強嫌いで学歴はないが商才があり金持ち。
レネ エリザベトの親友。ボン楽団のクラリネット奏者。シュテファン、トーマスとも幼馴染。温和な性格。繊細で優しい。幼い頃両親を亡くしエリザベトの家に引き取られ兄弟同様に育つ。
アンナ トーマスの恋人。妊娠中。女優志望。
ドロテア エリザベトとトーマスの母親。実は・・・
シュテファンの家ではディナーが始まろうとしています。招待客はレネとトーマス、そしてその恋人のアンナです。
アンナを除く4人が先に集まり、トーマスが「今度生まれてくる子供の名前を決めた。男の子だ。名前を当てて欲しい。」と切り出します。するとみんなそれぞれに名前を挙げますが当たりません。歴史にも関係のある名前だとヒントも出しますが当たりません。インテリのシュテファンは悔しがります。とうとう降参します。トーマスは「名前はアドルフだ」と答えます。さあ、大変です。みんながそれはダメだと言いますが、トーマスは聞き入れません。次第に歴史・政治・宗教論争にまで発展します。
しかし、この話題にはトーマスの仕掛けがあったのです。その仕掛けに気づいたレネの計らいでこの件は落ち着くのですが、そこに何も知らないアンナが遅れてやってきます。そして話はかえってややこしくなり、遂には個人個人の過去の暴露や罵り合いに発展してしまい、収拾がつかなくなってしまいます。
果たしてその結末は・・・。今回はネタバレはやめておきましょう。
フランスで上演された舞台「名前」が元々で、それをヨーロッパ各地で映画化。そして今回「アドルフ・ヒトラー」の本場、ドイツで映画化され大反響だったそうです。
トーマスの何気なく思いついた嘘がとんでもない事態を招いてしまいます。シュテファンのインテリぶりが気に入らなかったトーマス。トーマスの無学、目立ちたがり屋ぶりが気に入らないステファン。無知な女だとステファンに罵られるアンナ。家事を一切押し付けるステファンに不満をぶちまけるエリザベト。あることでエリザベトとトーマスに詰られるレネ。トーマスの思いやりのない態度に怒るアンナ。そして重大なカギを握ったいるレネ。そしてドロテア。
各人入り混じっての罵り合いです。思わず笑ってしまいます。ひょんなことから封印された過去の秘密が暴かれてゆきます。まさに喜劇と呼ぶにふさわしい会話のドタバタ劇でした。しかしそこにちょっとしたペーソスもあったりしてと、退屈しない90分でした。
それでは今日はこの辺で。