今日の「この人の、この1枚」はフォリナー(Foreigner)の『ダブル・ヴィジョン(Double Vision)』です。
フォリナーと言えばアリーナ・ロック、いわゆる産業ロックの代名詞のように言われていますが、私にとっては意外なバンドでした。
というのは、バンドのギタリスト、ミック・ジョーンズ(Mick Jones)は元々はスプーキー・トゥース(Spooky Tooth)のギタリストでした。
スプーキー・トゥースが解散した後はミック・ジョーンズの消息は分かりませんでした。それが、1977年のフォリナーのファーストアルバムにその名前を見つけた時には、スプーキーとフォリナーの音楽性からまさか同一人物とは思わなかったのです。
しかし、事実は同一人物でした。スプーキーはブリティッシュ・ロックの中でも好きなバンドでしたので、ミック・ジョーンズが作ったバンドならということで、しばらく追いかけました。
フォリナーは1977年にミック・ジョーンズ(Mick Jones,g,vo)、元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルド(Ian McDnald,g,key,vo)、元イフのデニス・エリオット(Dennis Elliott,ds)、それにルー・グラム(Lou Gram,vo)、アル・グリーンウッド(Al Greenwood,key)、エド・ガリアルディ(Ed Gagliardi,b,vo)の英米混成6人組でスタートしました。
ファースト・アルバム『栄光の旅立ち(Foreigner)』はこの年にリリースされました。
いきなり全米4位になるという快挙でした。売り上げも500万枚という驚異的な数字でした。シングルも2曲がベスト10に入り、もう1曲もベスト20に入りました。メロディアスな曲が多く、ハードロックとしても十分通用する内容で、これは売れるだろうなというのが直感でした。
そして翌年にセカンド・アルバム『ダブル・ヴィジョン(Double Vision)』がリリースされました。
Side A
1.Hot Blooded
2.Blue Morning, Blue Day
3.You're All I Am
4.Back Where You Belong
5.Love Has Taken Its Toll
Side B
1.Double Vision
2.Tramontane
3.I Have Waited So Long
4.Lonely Children
5.Spellbinder
プロデュースはキース・オルセン(Keith Olsen)とミック・ジョーンズ、イアン・マクドナルドです。
このアルバムも全米3位で、売り上げはなんと700万枚です。シングルも「ダブル・ヴィジョン」が2位、「ホット・ブラッディッド」が3位、「蒼い朝」が15位と凄まじい勢いです。
ハードロックとメロディアスナンバーの組み合わせが実に見事です。この大ヒットで来武道館での公演も決まりました。
翌年、エド・ガリアルディが脱退、代わりにスモール・フェイセスにいたリック・ウィルス(Rick Wills,b)が加入しました。
そしてサード・アルバム『ヘッド・ゲームス (Head Games)』をリリースします。
ジャケットが物議を醸しましたが、これも500万枚を売り上げるヒット作となりました。
しかし、この後イアン・マクドナルドとアル・グリーンウッドが独裁的になってきたミック・ジョーンズと対立し、脱退してしまいます。
4人になったフォリナーは1981年に、約2年のブランクを置いて『4』を発表しました。
バンドメンバーが変わったにもかかわらず、このアルバムも 700万枚を売り上げるお化けアルバムになりました。シングルも2年間で6曲がチャートインするといロング・ヒットになりました。
しかし、この辺りが絶頂期で次第に曲作りもマンネリ化が目立ち、1990年代になると、ルー・グラムも脱退し、さらにデニス・エリオットやリック・ウィルスも脱退し、オリジナルメンバーはミック・ジョーンズ一人になってしまいました。止む無く、ルー・グラムを呼び戻してアルバムを発表しますが、もはやかつての勢いは取り戻せませんでした。
再びルー・グラムが去った2000年以降は新たなメンバーで活動しています。
結局、終始バンドをリードしてきたのはミック・ジョーンズでした。スプーキー・トゥース時代の、あのミック・ジョーンズが世界でも名だたるバンドのリーダーになるとは夢にも思いませんでした。
Foreigner - Hot Blooded (Video)
Foreigner - Blue Morning, Blue Day (Official Music Video)
Foreigner - Double Vision (Official Music Video)
それでは今日はこの辺で。