1960年代、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ(John Mayall & The Bluesbreakers)でエリック・クラプトン脱退後のギタリストとしてクラプトンと並ぶほどの評価を得、さらにブルースロックバンド、フリートウッド・マック(Freetwood Mac)の創始者として知られるピーター・グリーン(Peter Green)へのトリビュート・アルバムが1995年に企画されました。
このアルバムのコーディネーターがイギリスロック界の重鎮で詩人のピート・ブラウン(Pete Brown)です。クリーム(Crem)の「サンシャイン・ラブ」や「ホワイトルーム」「アイ・フィール・フリー」などは彼の作詞です。
1946年生まれのピーター・グリーンはロックミュージシャンたち、とりわけイギリスのロッカー達の憧れです。しかし、1970年に入るとドラッグの使用により、半ば廃人同様になってしまいました。ドラッグによる幻覚や統合失調症で精神病院への入院や、また病気によって犯罪(拳銃発砲事件)を犯し刑務所で過ごしたり、音楽とは無関係な仕事もしたりと、悲惨な70年代を過ごしました。
そのピーター・グリーンが80年代に入り、シン・リジィのスノーウィ・ホワイト(Snowy White)の援助もあってソロ活動を再開しました。6枚ほどのアルバムを発表します。
そして1990年代になるとピーター・グリーン・スプリンター・グループを結成します。
フリートウッド・マック時代については以前の記事をご覧ください。
そしてそんな矢先に、彼へのトリビュートアルバム『Rattlesnake Guitar: The Music of Peter Green』が発売されました。日本での発売は1997年でした。
これは2枚組アルバムですが、今日は字数の関係でDisk 1のみ紹介します。
Disk 1
01.Black Magic Woman - Larry McCray
02.Love That Burns - Dave Peverett / Rod Price
03.Stop Messin' 'Round - Savoy Brown feat. Kim Simmonds
04.Looking for Somebody - Snowy White
05.Crying Won't Bring You Back - Luther Grosvenor / Mike Kellie / Jess Roden
06.Leaving Town Blues - Rory Gallagher
07.If You Be My Baby - Dave Peverett / Rod Price
08.Ramblin' Pony - Harvey Mandel / Wilbur Bascomb / Jon Paris
09.The Green Manalishi - Arthur Brown
10.Hellhound on My Trail - Ken Hensley
11.I Loved Another Woman - Larry Mitchell / Jay Aston
12.The Same Way - Mick Abrahams
13.Drifting - Top Topham / Jim McCarty
14.The Supernatural - Clas Yngstrom
15.Man Of The World - Ian Anderson
01はラリー・マックレイによるフリートウッド・マックの代表曲。後にサンタナで一躍有名になった曲です。ラリー・マックレイは黒人ブルースマンです。ソウルフルな迫力ある「ブラック・マジック・ウーマン」になっています。
02はフリートウッド・マックのセカンドアルバム『Mr.Wonderful』から。フォガットのデイヴ・ぺヴェレットがリードヴォーカル、ロッド・プライスがリード・ギターを務めます。最高のマイナーブルースに仕上がっています。
03はフリートウッド・マック、チッキンシャックと並んでイギリスの3代ブルースロック・バンドのサヴォイ・ブラウンです。リーダーのキム・シモンズが頑張っています。アルバム『Mr.Wonderful』から。
04はフリートウッド・マックのファーストアルバム『Peter Green's Fleetwood Mac』からです。ピーター・グリーンを師と仰ぐスノーウィ・ホワイトの演奏。実に渋いブルースナンバーです。
05はピーター・グリーンの3枚目のソロアルバム『Little Dreamer』から。スプーキー・トゥースからモット・ザ・フープルのルーサー・グロヴナーと ソウルフルなシンガー、ジェス・ローデンです。ドラムのマイク・ケリーもスプーキー・トゥースに在籍していました。ジェス・ローデンのヴォーカルが泣かせます。グロヴナーのギターも泣いています。
06はフリートウッドマックの未発表曲集『The Original Fleetwood Mac』から。ロリー・ギャラガーです。亡くなる直前の録音。このアルバムに収められているロリーの2曲はおそらく彼のラストレコーディングと思われます。とても貴重です。ロリー得意のマンドリンで始まり、ギターが被さってきます。枯れたヴォーカルも愛おしい。
07は『Mr.Wonderful』に収録された曲。再びフォガットのデイヴ・ぺヴェレットがリードヴォーカル、ロッド・プライスがリード・ギターを務めます。サウスサイド・ジョニーがハーモニカを吹いています。
08はフリートウッド・マックのアルバム『The Pious Bird of Good Omen』から。ハーヴィー・マンデルはキャンド・ヒートやブルース・ブレイカーズの元メンバー、その後ローリング・ストーンズのレコーディングにもミック・テイラーの後釜として参加しています。ベースのウィルバー・バスコムはミック・テイラーのレコーディングなどにも参加したセッションマン。ヴォーカルはジョン・パリス。激しいブギナンバーです。
09はピーターのマック在籍時の最後のシングル。歌うはアーサー・ブラウン。彼は『The Crazy World Of Arthur Brown』のリーダー。鬼気迫るヴォーカルは迫力あります。
10は『The Original Fleetwood Mac』から。作曲はロバート・ジョンソンです。ケン・ヘンズレーはユーライア・ヒープのキーボード奏者。ここではギターも聴かせます。
11は『Peter Green's Fleetwood Mac』から。ラリー・ミッチェルはニューヨーク出身のソロギタリスト。ヴォーカルのジェイ・アストンは『Gene Loves Jezebel』のメンバー。いい感じのブルースロックに仕上がって、ギターもヴォーカルも言うこと無しです。
12はブルースブレイカーズ時代のアルバム『Hardroad』から。ミック・アブラハムはジェスロ・タル、ブラッドウィン・ピッグのギタリスト。ドラマーのグレアム・ウォーカーはゲイリー・ムーアのバンドにいました。ゲイリー・ムーアもこの曲をカバーしていました。
13は『The Original Fleetwood Mac』から。ジム・マッカーティはヤードバーズのドラマー。トップ・トーパムはそのヤードバーズの初代ギタリストでしたが年齢制限で引っ掛かって退団。後任がエリック・クラプトンでした。
14もブルースブレイカーズ時代のアルバム『Hardroad』から。クラス・イングストロウムはスウェーデンのギタリスト。すでに解散したスカイ・ハイというバンドのメンバー。ここでの録音はスカイ・ハイ最後のラインアップによるもの。クラスはその後ソロに転向します。
15はフリートウッド・マックのシングル。イアン・アンダーソンはジェスロ・タルを率いる鬼才。ここではいつものヴォーカルとフルートを聴かせてくれます。
この1995年には、同じくピーター・グリーンを師と仰ぐゲイリー・ムーア(Gary Moore,g)が同様にトリビュート・アルバム『Blues for Greeny』をリリースしています。
偶然なのか意図したことなのかは分かりませんが、これでピーター・グリーンの名は再度注目されるに至ったわけです。
2003年のローリングストーン誌の選ぶ「歴史上で最も偉大な100人のギタリスト」で38位でした。
明日はDisk 2を書きます。
Rattlesnake Guitar: The Music Of Peter Green - Crying Won't Bring You Back
LARRY McCRAY Black magic woman
Rory Gallagher - Leaving Town Blues (Music)
Snowy White - Looking For Somebody
Rattlesnake Guitar: Music of Peter Green
- アーティスト: Various Artists
- 出版社/メーカー: Viceroy Music
- 発売日: 1995/08/22
- メディア: CD
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それでは今日はこの辺で。