イアン・アンダーソン率いるジェスロ・タル(Jethro Tull)の創設メンバーのミック・アブラハム(Mick Abrahams,g,vo)が結成したバンド、それがブロドウィン・ピッグ(Blodwyn Pig)です。
ミック・アブラハムはジェスロ・タルのファーストアルバム『This Was』が発表されると、自分の音楽を追求したいとの理由でバンドを去ります。
そしてその年、1969年に後にサヴォイ・ブラウン(Savoy Brown)、ウィッシュボーン・アッシュ(Wishbone Ash)、さらにキンクス(Kinks)に参加するアンディ・パイル(Andy Pyle,b)、それにロン・ベルグ(Ron Berg)、後にソウル・サーチャーズ(Soul Serchears)、アヴィエイター(Aviator)に参加するジャック・ランカスター(Jack Lancaster,sax,flute)と共にブロドウィン・ピッグを結成します。
そして1969年にファーストアルバム『Ahead Rings Out』をリリースします。
Side A
1.It's Only Love
2.Dear Jill
3.Sing Me A Song That I Know
4.The Modern Alchemist
Side B
1.Up And Coming
2.Leave It With Me
3.Change Song
4.Backwash
5.Ain't Ya Coming Home, Babe?
プロデュースはアンディ・ジョンズ(Andy Jons)です。
ジャック・ランカスターのサックス、フルートとミック・アブラハムのギターのもたらす音楽はジャズとブルースを持ち込んだロックでした。ジェスロ・タルとの違いは何だったんだろうと思ってしまいます。結局音楽性の違いというよりも、ミックは自分のバンドが持ちたかったのではないかと想像してしまいます。
このアルバムもいきなりジャズフィーリングで始まり、2曲目は軽いブルースタッチの曲と続き、3曲目はファンキーな曲、4曲目はサイケっぽく、さらにはプログレ風とバラエティに富んだアルバムになっていて聴きごたえは十分です。それでもイアン・アンダーソンのカリスマ性にはやはり及びません。ヴォーカルのアクの強さではイアン・アンダーソンでしょう。
このアルバムはイギリスチャートのベスト10入りしました。
続いて1970年にセカンドアルバム『Getting to This』をリリースします。
前作に引き続きジャズ、ブルース、プログレなどバラエティに富んだアルバムでこのアルバムもイギリスチャートのベスト10入りしました。
しかし、ミック・アブラハムはもう飽きたのかさっさとバンドを去ってしまいます。残ったメンバーは元イエス(Yes)のピーター・バンクス(Peter Banks,g)を加えて再始動しますが、ピーターが脱退し結局解散に終わりました。
一方ミック・アブラハムはソロ活動に入り、1971年にはソロ第1弾を発表します。
その後も第2弾のソロアルバムを発表しますがそこにはかつてのメンバー、ジャック・ランカスターも参加していました。
そして1974年にはロン・ベルグを除くかつてのメンバーにジェスロ・タルのクライヴ・バンカー(Clive Bunker,ds)を加えブロドウィン・ピッグを再結成します。しかしすぐに解散。
1988年にまたもや再結成します。ミック、アンディ、クライヴにディック・ヘクストール=スミス(Dick Heckstall-Smith,sax)のラインナップです。しかしこのメンバーも長続きしません。
1993年には久しぶりのアルバム『Lies』を発表します。
この時のメンバーは
ミック・アブラハムの他に
グラハム・ウォーカー(Graham Walker,ds)
デイヴ・レノックス(Dave Lennox,key)
マイク・サマーランド(Mike Summerland,b,vo)
さらにライブアルバム『Live at the Lafayette』『Live: All Tore Down』が発売されています。
前者のライブはミック、ジャック・ランカスター、アンディ・パイル、クライヴ・バンカーのメンバー構成、後者はミック、デイヴ・レノックス、マイク・サマーランドのメンバー構成になっています。
ブロドウィン・ピッグはミック・アブラハムの気まぐれで解散したり再結成したりするバンドのようです。パーマネントメンバーはいませんが、懐かしい名前を見ると嬉しくなります。まだ何となく続いているのでしょうか。
Blodwyn Pig - Dear Jill (Ahead Rings Out, August, 1969)
Blodwyn Pig "The Modern Alchemist"
それでは今日はこの辺で。