Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ『上海帰りのリル』

今日の「聴き比べ」は『上海帰りのリル』です。

これまた私の生まれる前の曲です。

歌っていたのは津村謙です。といっても知るわけがありません。随分後になって、テレビかどこかの名画座で映画『上海帰りのリル』を観て、その存在を知った程度です。

しかし、何故かこの歌は知っていたのです。どこかで聴いていたのでしょう。「上海から帰って来たリル」、ちょっとかっこいいね、なんて思ったのでしょう。誰が歌っていたかなどは全く記憶がありません。

私の少し上の世代の人たちのカラオケの定番です。

津村謙は紅白歌合戦に8回連続出場したほどの歌手でしたが「上海帰りのリル」ほどのヒット曲には恵まれなかったようです。1961年、排気ガス一酸化炭素中毒により37歳の若さで亡くなりました。車の中で眠ってしまったようです。

 

1951年、作詞が東条寿三郎、作曲は渡久地政信、歌唱が津村謙でレコーディングされました。翌年には映画化されました。

「上海帰りのリル」の画像検索結果

監督:島 耕二

主演:水島道太郎、森繁久彌香川京子

制作:1952年 新東宝

 

映画の内容はほとんど憶えていません。記憶に残っているのは、香川京子が二役だったことと、森繁久彌バンドマスターで指揮を執っていたことぐらいです。悲しいラストだったような記憶もあります。その映画の中でこの曲が流れていました。津村謙が特別出演で歌っていたと思います。

 

この曲、ウィキペディアで調べてみたら、1933年のアメリカ映画『上海リル』の主題歌で、日本で訳詞が付けられディック・ミネや川畑文子、江戸川蘭子(ディック・ミネ以外は知りません)などが競作で歌った「上海リル」アンサーソングになっているそうです。元歌よりも大ヒットしました。そしてさらにこの「上海帰りのリル」に対するアンサーソングも数多く作られたようです。『リルを探してくれないか』『心のリルよなぜ遠い』『私がリルよ』『私は銀座リル』『私がリルの妹よ』『霧の港のリル』などです。

 

「上海リル」といえば、あがた森魚がアルバム『噫無情(レ・ミゼラブル)』でカバーしていたのを思い出しました。なんとか繋がりました。

 

上海帰りのリル

作詞:東条寿三郎

作曲:渡久地政信)

 

船を見つめていた

ハマのキャバレーにいた

風の噂はリル

上海帰りのリル リル

あまい切ない 思い出だけを

胸にたぐって 探して歩く

リル リル 何処に居るのかリル

だれかリルを 知らないか

 

黒いドレスをみた

泣いていたのを見た

戻れこの手にリル

上海帰りのリル リル

夢の四馬路の 霧降る中で

なにもいわずに 別れたひとみ

リル リル 一人さまようリル

だれかリルを 知らないか

 

海を渡ってきた

ひとりぼっちできた

望み捨てるなリル

上海帰りのリル リル

暗き運命(さだめ)は 二人で分けて

共に暮らそう 昔のままで

リル リル 今日も逢えないリル

だれかリルを 知らないか

 


上海帰りのリル

 

1982年には今は亡き根津甚八がカバーしました。

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根津甚八 上海帰りのリル

 

さらに1985年にはちあきなおみさんもカバーしました。残念ながら映像がありませんでした。

 

1990年には倍賞千恵子さんもカバーしました。

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上海帰りのリル Shanhai gaeli no Lilu(倍賞千恵子 Baishou Cheko)ローマ字歌詞付き(With Lyrics in Romaji)

 

ちなみに元歌となった「上海リル」を聴いてみます。歌詞はそれぞれ違います。

 

ディック・ミネ


デイックミネ・上海リル

 

江戸川蘭子


上海リル 江戸川蘭子

 


上海リル 川畑文子

 

ジャズのムードいっぱいでした。まだアメリカ音楽が許されている頃だったのです。

 

それでは今日はこの辺で。