1960年代前半から中期にかけてのイギリスはビートルズやサーチャーズに代表される、いわゆるマージー・ビートがミュージックシーンを席巻し、それに続きヤードバーズやストーンズ、アニマルズといったR&Bやブルースに根差したバンドが次々に現れました。そんな中で、黒人ブルースを模倣する若者たちも多く存在しました。いわゆるホワイト・ブルースマンと呼ばれた連中です。そして彼らはやがてアートロックとかニューロックなどと呼ばれるようになり、そしてハードロックへと向かうことになります。
そんな彼らの貴重なレコーディングを集めたレコードが1966年から1969年にかけて4枚のアルバムとして発売されました。発売したのはイミディエイト・レコードです。
このアルバムを企画したのがイミディエイト・レコードの創設者アンドリュー・オールダムとバーダ・レコード(後のブルー・ホライゾン)のマイク・ヴァーノンです。
私が学生時代の頃、何度か中古屋で見つけたのですが、その時は手が出ずそのまま買いそびれていました。それがCD時代になった1992年に2枚組CDで発売されました。そしてようやく手に入れることが出来ました。非常に懐かしい音源です。古臭いのは止むを得ませんが、ブリティッシュ・ロックの黎明期を知るための貴重なアルバムだと思います。難を言えばもう少し多くのミュージシャンを登場させて欲しかったです。フリートウッド・マックやチッキン・シャックなど。
残念ながら、その後イミディエイトもブルーホライゾンも消滅しました。
ブルー・ホライゾンとブラインド・ピッグレコードのコンピレーションは別途出ていますので機会があったら紹介したいと思います。
『Blues Anytime Ⅰ&Ⅱ』
Disc 1
01. I'm Your Witchdoctor - John Mayall and The Blues Breakers
02. Snake Drive - Eric Clapton, Jimmy Page, Bill Wyman, Chris Winters
03. Ain't Gonna Cry No More - T.S. McPhee
04. I Tried - Savoy Brown Blues Band
05. Tribute To Elmore - Eric Clapton and Jimmy Page
06. I Feel So Good - Jo Ann Kelly
07. Telephone Blues - John Mayall and The Blues Breakers
08. You Dont Love Me - T.S. McPhee
09. West Coast Idea - Eric Clapton, Jimmy Page, Mick Jagger, Bill Wyman, Ian Stewart
10. Ain't Seen No Whiskey - Jo Ann Kelly
11. Flapjacks - Stone's Masonry
12. Cold Blooded Woman - Savoy Brown Blues Band
13. On Top of the World - John Mayall and the Bluesbreakers
14. Someone to Love Me - T.S. McPhee
15. Can't Quit You Baby - Savoy Brown Blues Band
16. Draggin' My Tail - Eric Clapton and Jimmy Page
17. Dealing with the Devil - Dharma Blues Band
18. Who's Knocking - Jeremy Spencer
19. Freight Loader - Eric Clapton and Jimmy Page
20. Look Down at My Woman - Jeremy Spencer
21. Roll 'Em Pete - Dharma Blues Band
22. Choker - Eric Clapton and Jimmy Page
23. True Blue - Savoy Brown Blues Band
24. When You Got a Good Friend - T.S. McPhee
Disc 2
01. Someday Baby - Cyril Davies All-Stars
02. Steelin' - The All Stars and Jeff Beck
03. L.A. Breakdown - The All Stars and Jimmy Page
04. Chuckles - The All Stars and Jeff Beck
05. Down in the Boots - The All Stars and Jimmy Page
06. Piano Shuffle - The All Stars and Nicky Hopkins
07. Miles Road - Eric Clapton and Jimmy Page
08. Porcupine Juice - Santa Barbara Machine Head
09. Albert - Santa Barbara Machine Head
10. Rubber Monkey - Santa Barbara Machine Head
11. Howlin' for My Darling - Stuff Smith
12. Next Milestone - Albert Lee
13. Somebody's Gonna Get Their Head Kicked in Tonight - Earl Vince & The Valiants
14. New Death Matter - Dave Kelly
15. Back Water Blues - Jo Ann Kelly
16. So Much to Say - Rod Stewart
17. Married Woman Blues - Dave Kelly
18. Water on My Fire - Albert Lee
19. Keep Your Hands out of My Pockets - Jo Ann Kelly
20. Alabama Woman - Dave Kelly
21. Crosstown Link - Albert Lee
22. All Night Long - Dave Kelly
23. Down and Dirty-Simon & Steve
Disc 1の01と07はイミディエイトでのブルースブレイカーズのシングル。ジミー・ペイジがプロデュース。13も同時期の録音。
02,05,09はエリック・クラプトンがミック・ジャガーやビル・ワイマン、ジミー・ペイジなどと録音したもの。
16,19,22とDisk 2の07はジミー・ペイジの自宅で録音したものをイミディエイトが探し出したもの。
04,12,15,23はサヴォイ・ブラウンがまだサヴォイ・ブラウン・ブルース・バンドと名乗っていた時期のバーダ・レコードでの録音。キム・シモンズとブライス・ボーシャス、レイ・チャペル、レオ・マニングのラインナップ。
03,08,14,24はT.S.マクフィーです。グランド・ホッグス解散後の録音。
6,10は当時としては珍しい女性ブルースシンガー、ジョアン・ケリーです。
17,21はダーマ・ブルース・バンド。昔LPを一生懸命探しましたが見つかりませんでした。
18,20はフリートウッド・マック加入前のジェレミー・スペンサー。
Disc 2の01はアレクシス・コーナーと並んでブリティッシュ・ブルースの草分け的存在、シリル・デイヴィスです。ハーピストでアレクシス・コーナーと活動していましたが、途中で袂を分かち、ザ・オール・スターズを結成。ロング・ジョン・ボルドリーやニッキー・ホプキンスも在籍していました。しかし僅か32歳で白血病で亡くなりました。
02,04はシリル・デイヴィス亡き後のオール・スターズがゲストを迎えてレコーディングしたもののうち、ジェフ・ベックです。
03,05はゲストがジミー・ペイジ
06はニッキー・ホプキンスをメインにフューチャーしたもの。
08,09,10はサンタ・バーバラ・マシン・ヘッドです。このバンドには後のディープ・パープルのジョン・ロード、フェイセス、ストーンズのロン・ウッド、アシュトン・ガードナー&ダイクのアシュトン・ガードナー、トゥモロー、プリティ・シングス、ピンク・フェアリーズのトゥインクが在籍していました。
12,18,21はアルバート・リーです。クリス・ファーロウのサンダーバーズにいた頃の録音。
13はアール・ヴィンスですがジェレミー・スペンサーの変名です。
14,17,20,22はデイヴ・ケリー。先ほどのジョアン・ケリーの兄弟です。この4曲はアコースティックによるブルースです。
15はロッド・スチュワートがジェフ・ベックグループに参加する前にイミディエイトに録音したシングルのB面です。ショットガン・エクスプレス解散後です。
23はサイモン&スティーヴ。サイモン・ブレーガーとスティーヴ・ライのデュオ。
非常に珍しい録音がまとめて聴けます。1960年代前半のイギリスの若者たちが、新しい音楽を求めてあがいていた姿が想像されます。
このあと、ロックはあっという間に進化してゆきます。60年代後半から70年代のロックはやっぱり輝いていました。
John Mayall: I'm Your Witchdoctor
Savoy Brown Blues Band - I Tried (1965)
Dharma Blues Band Dealing with the devil.wmv
cyril davies & his r&b all stars .. someday baby
それでは今日はこの辺で。