Flying Skynyrdのブログ

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ブリティッシュ・ハード復活はなったのか 『ライオンズハート(Lionsheart)』

1980年代の後半から90年代前半かけてのイギリスのHM/HR界は低迷を極めます。NWOBHMは衰退し、代わってグランジオルタナティブロックが席巻します。

そんな中、期待されて登場したのが『ライオンズハート』でした。

結成メンバーは次の通りです。

 

スティーヴ・グリメット(Steve Grimmett,vo)

マーク・オワーズ(Mark Owers,g)

スティーヴ・オワーズ(Steve Owers,b)

グラハム・コレット(Graham Collet,key,harmo)

アンソニー・クリスマス(Anthony Chrismas,ds)

 

スティーヴ・グリメットはイギリスのNWOBHMのバンド『Grem Reaper』のヴォーカリストでした。しかし、『Grem Reaper』が活動休止状態になり、やむを得ず『Onslaught』に加入します。その間、双子のオワーズ兄弟に出会い、目指す音楽性がブルースを基調としたハードロックということで、オワーズ兄弟の所属するバンド『Touche』と合体し、『ライオンズハート』が誕生します。

1992年、アルバム『Lionshert』でデビューします。

まさに正統派ブリティッシュハード・ロックです。5曲目の「Can't Believe」などはドラマティックな構成でメロハーにも通ずる名曲です。ドハードもあり、バラードもあり、ドン・ニックスのジェフ・ベックもカバーしていた「Going Down」をカバーしています。

いい出来だと思いますが、本国ではさっぱりのようでした。それでも日本では売れました。しかし、アルバムレコーディング後に早くもオワーズ兄弟が脱退していまします。替わりにギターでニック・バー(Nick Burr)、ベースにザック・バッジョン(Zak Bajjon)を加入させます。その為か、日本公演は酷評だったようです。何しろ大きな会場で演奏した経験がなかったことと、新メンバーにとっては準備不足ということもあったようです。その後は修正したらしいですが。

 

1994年にセカンドアルバム『Pride In Tact』をリリースします。

前作ではオワーズ兄弟 の作品がほとんどでしたので、今作はスティーヴ・グリメットとニック・バーにかかる負担が大きいものになりました。しかし、これまで以上に70年代の正統派ブリティッシュロックに近づいたようです。ヴォーカルは安心して聴けますし、ギターは地味ですが手堅いです。ジャニス・ジョップリンもやっていた「Peace Of My Heart」をカバーしています。

 

このあとアンソニー・クリスマスに代わりドラムスのマイク・オブライエン (Mike O Brien)が加入してサードアルバム『Under Fire』を録音しますが、レコード会社の関係で発売が遅れ1998年にようやく発売されましたが、さっぱりでした。

こうして『ライオンズハート』はその活動を休止します。

2004年にオリジナルメンバーのスティーヴ・グリメットが新たに3人のメンバーを加入させ4枚目のアルバム『Abyss』を発表しますが、結局大した評判もなく、この1枚で再び活動休止状態になります。

 

ファーストもセカンドも出来のいいアルバムだと思いますが、それと商業的成功は別物です。スティーヴ・グリメットは現在もソロ活動続行中です。

『ライオンズハート』の名は既に忘れ去られつつあります。ブリティッシュ・ハードの復活は幻に終わりました。イギリスロック界はブリットポップの時代へと入っていきます。

 


Lionsheart - Can't Believe


Going Down - Lionsheart


LIONSHEART - Piece Of My Heart

それでは今日はこの辺で。