Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『ジュディ 虹の彼方に』を観る

昨日のキネ旬シアターは『ジュディ 虹の彼方に』でした。

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原作:ピーター・キルター『エンド・オブ・ザ・レインボー』

監督:ルパート・ゴールド

主演:レネー・ゼルウィガー

製作:2019年 イギリス・アメリカ 2020年 日本公開

 

ミュージカル映画オズの魔法使』や『スタア誕生』で大人気だった女優兼歌手のジュディ・ガーランドの晩年を描いた伝記映画です。

主演のレネー・ゼルウィガーはこの映画でアカデミー賞並びにゴールデングローブ賞のいずれも主演女優賞を受賞しました。

 

10代前半、後に『オズの魔法使』の主演女優に抜擢されることになるジュディは自分に自信が持てないでいました。MGMの社長メイヤーは「君よりかわいい子はたくさんいる。しかし君の声は誰よりも素晴らしい。普通の女の子で終わっていいのか?」と尋ねます。ジュディはスターの道を選びます。

 

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それから約30年。ジュディは47歳になっていました。幼い次女と長男を連れて地方巡業に明け暮れていました。全盛期とは比べ物にならないほどの安いギャラで出演していました。ホテル代も払えず、とうとう追い出されてしまい、やむを得ず前夫のシドの家に向かいました。そこでは二人の子供の親権の話になり、ジュディは今の生活を非難され、子供を置いて出て行けと言われてしまいます。

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仕方なくジュディはその前の夫、ヴィンセント・ミネリとの間にできた長女のライザ・ミネリを訪ねます。そこではライザのショーの前夜パーティーが開かれていました。そのパーティーでミッキー・ディーンズというナイトクラブのオーナーでもある実業家と知り合い楽しい夜を過ごします。


ある日、ロンドンの興行主から公演の依頼が入ります。ロンドンでの人気は未だに高いのです。ジュディは借金返済と子供たちの親権のためにもロンドンへ行かざるを得ません。子供たちに別れを告げロンドンへと向かいました。

 

ジュディの若い頃の思い出が甦ります。肥満気味だったため、ダイエットのため満足に食事も与えられず、食欲を抑える薬を飲まされます。そのうち眠れなくなり、睡眠薬を飲んだりと精神状態は不安定になっていきました。

 

ロンドンでは高級ホテルをあてがわれます。リハーサルに連れていかれますが、1曲も歌わずに帰ってしまいます。ジュディは緊張のあまり眠れなくなってしまったのです。公演当日になってもジュディは現れません。現地のマネージャー・ロザリンが迎えに行くと、ジュディはバスルームにこもっていました。何とか引っ張り出して会場へ連れて行きました。

 

舞台の袖まで来ても極度の緊張で渋っているジュディの背中をロザリンが押すと、ようやくステージに向かいます。すると、素晴らしい歌唱力で圧巻のショーを魅せ観客を唸らせます。それ以降、ステージは連日大盛況です。それでもジュディの不眠症は治りません。

 

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そんな時、ジュディはショーを観に来ていた男性カップルと知り合います。その同性愛カップルの家で食事をしながら、イギリスでの同性愛者に対する差別と偏見を聞かされます。この時代はまだ同性愛は違法で逮捕されることもあったのです。彼らも収監されていたのでした。ジュディはそんな彼らを励ますのでした。

 

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ある日、ミッキーがホテルを訪ねてきます。大喜びのジュディでした。テレビ出演の際にインタビューで子供たちのことを聞かれると胸が痛みます。そしてそれをこらえるために酒を浴びます。酩酊状態でステージに上がり、客を罵倒してしまいます。翌日、ジュディは興行主に謝罪します。興行主はジュディに医師の診察を勧めます。医師からは休養が必要だと言われます。

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そんなとき、ミッキーが500館を持つチェーン映画館にジュディの名前を付ける契約を結べば何もしなくても金が入るという話を持ってきました。ジュディは大喜びでミッキーに求婚し、二人は結婚します。これで一安心と思ったところに前夫のシドがやってきます。子供たちが今のままがいいと言っているというのです。ジュディは激高します。

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そこにミッキーが帰ってきます。契約の話が無くなったというのです。理由はジュディのショーでの態度が悪いというのです。またしても激高するジュディはミッキーに毒ついて大喧嘩になり別れを告げます。

 

子供たちの言っていることが信じられないジュディは娘に電話します。すると娘は「この家にいたい」と言います。再び荒れたジュディは公演でも醜態を晒してしまいます。契約は打ち切りになりました。ロザリンとバンドリーダーが送別会を開いてくれました。そこでジュディは今日から自分の代わりにステージに立つロニー・ドネガンのショーを観たいと言います。

 

舞台袖にいたジュディはたまらず、1曲だけでいいから歌わせてほしいとロニーに頼みます。ジュディは「一歩一歩進めば道は開ける。そう信じることで人は生きられるのだと思う」と言い「Come Rain or Come Shine」を熱唱します。この歌声を聴いて、帰ろうとしていた例の男性同性愛カップルも戻ってきました。最後にジュディが「虹の彼方に」を歌い始めましたが、途中で歌えなくなってしまいます。すると同性愛カップルが立ち上がって歌いだしました。そして会場の全員による合唱となったのです。

 

ジュディは観客に感謝を述べ、「私を忘れないで」と言うのでした。

この公演の6か月後ジュディは47歳で逝去したことが告げられます。

 

ジュディ・ガーランド、もちろん名前は知っていたし、ジャズのレコードも確か1枚か2枚くらい買った記憶もあります。しかし、彼女が歩んだ人生についてはほとんど知りませんでした。『オーバー・ザ・レインボー(虹の彼方に)』で一躍有名になって、その後も大スターとして人生を終えたのだとばっかり思っていました。

しかし実際は薬物中毒、数度の自殺未遂、5度の結婚と波乱万丈の人生でした。そんな彼女の最晩年を描いた映画でした。エンターテインメント・ビジネスに翻弄された人生だったのではないでしょうか。最後のステージの場面では涙が止まりませんでした。


そういえば娘のライザ・ミネリアルコール中毒症で苦しんでいました。映画『キャバレー』でアカデミー賞主演女優賞を受賞しましたが、その後は 母親と同じように依存症で苦しんでいるようです。歌唱力や演技力も遺伝しましたが、精神の不安定さは遺伝でしょうか。ショウ・ビジネスの犠牲でしょうか。

 

それにしてもジュディ役を演じたレネー・ゼルウィガーの歌唱力には参りました。素晴らしいの一言です。ジュディ本人にも全く負けていません。

 

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【公式】『ジュディ 虹の彼方に』3.6公開/本予告

 

本物です。


JUDY GARLAND at 21 singing OVER THE RAINBOW remastered audio

 

 それでは今日はこの辺で。