今日の「聴き比べ」は『月よりの使者』です。
この歌は１９４９年の大映映画『月よりの使者』の主題歌だそうです。
だそうです、とはなんとも頼りない言い方ですが、そもそもこの年には生まれていないので知る由もありません。
なぜ『月よりの使者』などという曲名を思いついたかというと、『月光仮面』の挿入歌に「月よりの使者」という曲があったような気がして探したところ、この曲が見つかってしまった、という訳です。『月光仮面』にそのような曲はありませんでした。「どくろ仮面の巻」のサブタイトルでした。記憶違いでした。
それはさておき、調べていくと面白いことがわかってきました。この映画は元々は久米正雄の小説『学生心中』を基にした映画で、最初は戦前の１９３４年に公開されています。この時の主演は入江たか子です。化け猫で有名な女優です。黒澤明の『椿三十郎』にも出演していました。入江若葉の母親です。
そして１９４９年に上原謙と花柳小菊主演で再び映画化されました。この時に主題歌として「月よりの使者」が使われました。竹山逸郎と藤原亮子の歌唱でした。
さらに１９５４年には山本富士子と菅原謙二主演で三たび映画化されました。再び大映で田中重雄監督でした。若尾文子も出演しています。
その後、今度はテレビでドラマ化されました。
まず、１９６１年の日本テレビ『武田ロマン劇場』で放送されました。喜多道枝という女優が主演でした。
続いて、１９６６年のフジテレビ『ライオン奥様劇場』で放送されました。長内美那子と園井啓介主演でした。いわゆる『昼メロ』です。
さらに１９７２年のＴＢＳテレビ『花王 愛の劇場』で放送されました。主演は北川めぐみと大出俊でした。
これほど映画化されテレビ・ドラマ化されたのに全く知りませんでした。
ちなみに、内容は暖かい献身的な看護で患者からは「月よりの使者」と呼ばれていた富士見高原療養所で働く絶世の美人看護婦、野々口道子のお話です。
一度観てみたいものです。
さて、主題歌の方です。
月よりの使者
作詞：佐伯孝夫
作曲：佐々木俊一
白樺ゆれる 高原に
りんどう咲いて 恋を知る
男の胸の 切なさを
啼け啼け山鳩 幾声も
夜霧の駅に 待つ君の
おもかげ強く ふり捨てて
はかなや月に 泣き濡れし
白衣の袖よ いつ乾く
人目も草も 枯れ柳
恨みも恋も 散る宵に
ふとまた逢えば 増す想い
未練か夜も 眠られず
幾春秋を さまよえど
まことのえにし 結ぶ日は
月よりの使者 想い出の
りんどう抱いて 来るという
始めに歌ったのが竹山逸郎と藤原亮子でした。この人たち、まったく知りませんでした。
次にテレビ・ドラマの主題歌として歌ったのが三浦洸一と香山美子です。香山美子さんが歌を歌っていたなんて全く知りませんでした。それにしてもうまい。映像は１９５４年の山本富士子主演のものです。
そして何といっても倍賞千恵子さんのカバーがいいですね。元々は彼女の歌唱でこの曲を知りました。この映像は何の映画でしょう？
それでは今日はこの辺で。
