『シンデレラ(Cinderella)』はややもするとヘヴィメタルで一括りにされている記述をよく見かけますが、どっこい彼らはれっきとしたブルースロック、ロックンロールバンドです。
彼らのセカンドアルバムで驚かされて、サードアルバムでさらにぶっ飛んでしまった思い出です。容姿から見ればどうしてもヘヴィメタです。ところが中身はブルースに根差したハードロックバンドです。
シンデレラは19864にトム・キーファー(Tom Keifer,vo,g)がエリック・ブリッティンガム(Eric Brittingham,b)と共に立ち上げ、それにジェフ・ラバー(Jeff LaBor,g)とフレッド・コウリー(Fred Coury,ds)を加えてファーストアルバムのレコーディングをし1986年にアルバム『Night Songs』をリリースします。これが全英3位のヒット作となります。
そして1988年にセカンドアルバム『Long Cold Winter』をリリースします。ファーストアルバムのジャケットを見ていましたので、てっきりヘヴィメタバンドだと思ていて、セカンドを何気なく買って聴いてみたところこれが、実に自分好みでびっくりしました。特にタイトル曲の「Long Cold Winter」はマイナーブルースの極め付け、実にカッコいい。トム・キーファーのヴォーカルは声を押しつぶしたような歌い方で苦しそうですが、忌野清志郎みたいでそこがまたいいのです。案の定、その後トム・キーファーは喉を傷め手術をすることになります。
そして、1990年にサードアルバム『Heartbreak Station』をリリースします。
ここでは、前作をさらに進化させ、ブルース、カントリー、ロックンロールとアメリカの伝統音楽を深く掘り下げて、現代風にアレンジし会心の出来に仕上がりました。おまけにストリングスまでフィーチャーした曲もあり、それも決して安っぽくなく、曲によく馴染んでいます。10曲目の「Love Gone Bad」は名曲です。
このアルバム後、フレッド・コウリーが脱退し、「ラット」のスティーヴン・パーシーと共に「アーケード」を結成します。(アーケードについては記事にしています)
そして長いブランクの後、1994年に4枚目のアルバム『Still Climbing』がリリースされます。この間、トムの喉の手術があったのではないかと勝手に想像していますが、レコード会社とのトラブルが原因のようです。ドラマーはケニー・アロノフが務めています。
スタートからノリノリのロックンロールです。トムの声も無事なようで一安心しました。4曲目の「Hard To Find The Words」などは南部のレナードスキナードを思わせるようなイントロで始まります。ハードロックにサザンロックをミックスさせたようなサウンドです。ブルース色は後退しています。よりハードロック色が強くなっています。相変わらずバラードは素晴らしい。
しかしこの当時、世の中はオルタナ・グランジブームで、このブログでも様々な場面で書いてきましたがシンデレラも御多分に漏れず退場せざるを得ませんでした。1995年でした。
その後1997年に再結成。ライブアルバムを3枚リリースしています。
いいバンドでしたが時代に翻弄されました。
久しぶりにシンデレラを聴きましたがやっぱりいいですね。
Cinderella - Love Gone Bad (1990)
トム・キーファーはジャニス・ジョップリンが好きだったらしく、歌い方も真似しているようです。そんな彼女のカバー。「ムーヴ・オーバー」
それでは今日はこの辺で。