Flying Skynyrdのブログ

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映画『男と女、モントーク岬で』を観る

今日のキネ旬シアターは男と女、モントーク岬ででした。

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監督:フォルカー・シュレンドルフ

主演:ステラン・スカルスガルド,ニーナ・ホス、スザンネ・ウォルフ

制作:ドイツ、フランス、アイルランド合作 2018年公開(日本)

 

フォルカー・シュレンドルフは『ブリキの太鼓』でパルム・ドール賞、アカデミー外国語映画賞を獲った監督です。

 

この映画は男の身勝手さと過去を引きずる女々しさが女とのすれ違いを生むという、中年初老男の恋愛映画です。

 

ドイツ在住の作家マックス・ゾーンは新刊本のプロモーションでニューヨークを訪れます。ニューヨークには事実婚妻のクララが住んでいます。

 

映画はマックスの新刊本の朗読会のシーンから始まります。朗読会が終わった後、マックスは古い知り合いのウォルターに出会います。ウォルターからかつての恋人レベッカがニューヨークに住んでいると聞かされます。

居ても立っても居られなくなったマックスはニューヨークでの秘書役リンジーに早速レベッカに電話をさせます。レベッカは忙しくて会えないと断ってきます。それでも会いたいマックスはレベッカの事務所に押しかけます。

レベッカは著名な弁護士になっていました。高層ビルのエレベーターから降りてきたレベッカと久しぶりの対面をしますが、レベッカの態度はよそよそしいのです。そして冷たくあしらわれて返されます。連絡先だけを教えて引き返します。

それでも諦めきれず、今度は夜中に自宅のマンションに押しかけます。ちょうど友人が来客中でその友人が面白がって家に入れてしまいますが、レベッカは再び体よく追い返してしまいます。

翌日、レベッカから秘書のリンジーに連絡が入り、明日ロングアイランド島のモントーク岬に行くが一緒にどうかと連絡が入ります。マックスは有頂天になりクララとの約束があるにもかかわらずモントーク行きを了承してしまいます。

 

レベッカはモントーク岬にある別荘を母親のために購入するため,下見に来たのでした。ところが管理人不在で一泊せざるを得なくなりました。近くのモーテルに別々に部屋を取りましたが、その部屋は中でつながっていました。当然の如く夜は一つのベッドで、ということになります。

 

翌朝、海岸を散歩するレベッカにマックスは「クララとは別れるから、もう一度やり直そう」と言います。驚いたレベッカは「そんなことはできない」と拒否します。逆に「17年前、どうしてニューヨークを去ったの?」と訊かれます。マックスは「小説を書くことに夢中だった。ネタを探すために色々なところに行った」と答えます。さらに別な女性との間に16歳になる娘がいることも告白します。レベッカは何も知らなかったと憤慨します。

 

レベッカはマックスと別れてからのことを話し始めます。「あれから運命の人と出会った、そしてその彼は亡くなってしまった、自分は精神を病んだ、自分の精神は彼に持っていかれた、今の自分は抜け殻よ」と告げます。

 

マックスは傷心の思いでニューヨークに戻ってみると、クララは怒って自分のアパートに帰ってしまっていました。アパートを訪ねるとクララの怒りは収まりませんでした。クララはマックスがリンジーとモントークへ行っていたと勘違いしていたのです。「お前が全てだ」みたいなことを言って何とかクララをなだめます。

 

マックスが帰国する日の朗読会で、マックスは過去の恋愛についての話をします。それを聞いていたクララはマックスの心は自分の方には向いていないことを悟ります。

そしてマックスを空港に送り届け、僅かに手を振って帰ります。そしてマックスは飛行機に乗って帰国するのでした。

 

マックスの冒頭での朗読会での言葉に「後悔には2つある。やってしまった後悔とやらなかった後悔」というのがあります。やってしまったことは取り返しがつきませんが、やらなかった後悔は未然に防ぐこともできます。この”後悔”という言葉がこの映画の全編を貫いているテーマなのでしょうか。

 

男は過去の女を忘れられなくて、女々しく、うじうじとするところがあり、もう一度あの頃に戻りたいなどと考えたりすることがあります。それに引き換え、女は過去の男などきれいさっぱり忘れ去ることが出来るという違いがあるようです。

これは多分に男女の脳の仕組みの違いからきていると、何かの本で読んだ記憶があります。男の脳は「時間は繋がっている、つまり過去と現在は繋がっている」。女の脳は「時間は途切れる、つまり過去は過去、現在は現在」。男は歴史好きが多い(最近では歴女も多いですが)というのもこの辺からきている、というようなことが書いてあったような気がします。定かではありません。でもなんとなくわかるような気もします。

 

マックスのように昔の女によりを戻そうと言っておきながら、断られると今度は今の女の機嫌を取る、なんて身勝手な男だ、と思われますが、これが男の真相かもしれません。

 

マックスがインタビューに答えて「私は地中に根を張る”木”ではありません。動き回る”動物”です」と答えるシーンがあります。一つ所に留まれないのが、これまた男かもしれません。

 


【映画 予告編】 男と女、モントーク岬で

 

 

それでは今日はこの辺で。