多くのミュージシャンのアルバムに顔を出している、おなじみのデヴィッド・リンドレー(David Lindley)が在籍したバンド、カレイドスコープ(Kaleidoscope)です。クリス・ダーロウも在籍していました。
またしてもサイケデリック・ロックにカテゴライズされているバンドですが、それだけでは収まり切れない、多様な音楽性を持ったバンドでした。無国籍バンドなどとも呼ばれていました。その名のとおり万華鏡のようなロックです。
カレイドスコープは1966年にロサンゼルスで結成され、その時のメンバーは
デヴィッド・リンドレー(David Lindley,g,banjo,fiddle,mandolin)
クリス・ダーロウ(Chris Darrow,b,g,vo,mandolin)
ソロモン・フェルドハウス(Solomon Feldhouse,vo,fidle,g)
チェスター・クリル(Max Budda,organ,fiddle,b,p,violin,harmonica)
ジョン・ヴィディカン(John Vidican,ds)
でした。
デヴィッド・リンドレーはご存じの通り様々な楽器を演奏します。そして様々な国の音楽に興味を持っていました。そして集まった仲間も同じような趣向の連中でした。チェスター・クリルという男はトルコの楽器などを操り、名前もいくつも持っていました。マックス・ブッダもその一つです。アルバム毎に名前を変えたりして紛らわしいです。
彼らはエピックレコードと契約を結ぶと、早速ファーストアルバムをレコーディングしました。『Slide Trios』というタイトルでリリースされました。
このアルバムもいきなりアラビア音楽にロックを混ぜた様なへんてこりんな曲で始まります。
彼らは様々なフェスティバルで演奏し、ロック、ジャズ、ブルース、フォーク、中東音楽、民族音楽など、そのジャンルレスな演奏が評判を呼びました。
そして1968年にセカンドアルバム『A Beacon from Mars』をリリースします。
Side A
1.I Found Out
2.Greenwood Sidee
3.Life Will Pass You By
4.Taxim
Side B
1.Baldheaded End Of A Broom
2.Louisiana Man
3.You Don't Love Me
4.Beacon From Mars
プロデュースはマイク・ゴールドバーグ( Mike Goldberg)とStu Eisenです。
このアルバムも中東の音楽とフォーク、カントリー、ブルースなどが混ざり合いサイケデリックな雰囲気を醸し出しています。特にA-4とB-4は11分以上に及ぶ大作で、これまでにないロックアルバムになっています。
但しこのアルバムは一部の人たちの高い評価は受けたものの、商業的には失敗に終わりました。この手の音楽が一般受けするとは到底思えませんでいたからそれは納得です。
1969年、1970年にそれぞれ『Incredible! 』、『Bernice』をリリースします。
前作の後、クリス・ダーロウはバンドを去ります。代わりにキャンド・ヒートにいたこともあるスチュワート・ブロトマン(Stuart Brotman,b)が加入します。またジョン・ヴィディカンも去り、ポール・ラゴス(Paul Lagos,ds)に変わります。
アルバム『Incredible!』は全米で139位となり、初めてチャートインを果たします。
またミケランジェロ・アントニオーニの監督作品『砂丘』でも楽曲が採用されたりしました。
しかし、フェルドハウスもバンドを去り、カレイドスコープは1970年に解散しました。
その後のデヴィッド・リドレーの活躍はご承知の通り、多くのミュージシャンのレコーディングに参加し、またソロアルバムも数多く残しています。
クリス・ダーロウはカレイドスコープ脱退後、ニッティ・グリッティ・ダート・バンド(The Nitty Gritty Dirt Band)へ参加しました。その後もジェイムス・テイラーなどセッションマンとして、またソロアルバムも数多くリリースしました。
カレイドスコープは1976年にチェスター・クリル、クリス・ダーロウ、スチュワート・ボートマン、ソロモン・フェルドハウス、ポール・ラゴスが集まって再結成します。アルバム『When Scopes Collide』も発表します。デヴィッド・リンドレーは名前を変えて参加しました。
1990年にまたしても同じメンバーで再結成しました。しかしデヴィッド・リンドレーの参加はありませんでした。
カレイドスコープの音楽性はロック、フォーク、カントリー、ブルース、ジャズ、アラビアン・ミュージック、フラメンコまで多種多様で掴みどころがありません。それだけ珍しい存在でした。活動期間は短かったですが、中身の濃い4年間だったと思います。ただ残念ながら一般受けは難しかったでしょう。私は好きでした。
The Kaleidoscope "I Found Out"
The Kaleidoscope "Life Will Pass You By"
The Kaleidoscope "Greenwood Sidee"
それでは今日はこの辺で。