先週、前から行ってみたかった『クリムト展』に行ってきました。
場所は上野の東京都美術館です。
開催期間も終わりに近づいたせいなのか、それともいつでもこうなのか、入場までに30分程度並びました。
ちょうど没後100年を記念して開催されました。日本では過去最多の25点以上の油彩画が展示されました。
会場は全部で8ブロックに分かれています。
Chapter 1. クリムトとその家族
Chapter 2. 修業時代と劇場装飾
Chapter 3. 私生活
Chapter 4. ウィーンと日本
Chapter 5. ウィーン分離派
Chapter 6. 風景画
Chapter 7. 肖像画
Chapter 8. 生命の円環
Chapter 1.ではクリムトをはじめ彼の兄弟や友人たちの絵画を紹介しています。
《ヘレーネ・クリムトの肖像》
クリムトの弟エルンストの娘ヘレーネの6歳の時の肖像画。グスタフ・クリムト作
Chapter 4.ではクリムトが日本の浮世絵などに深い関心を示した様子が伺われます。装飾品や浮世絵のコレクションも展示されていました。
《女友だち1(姉妹たち)》
Chapter 5.ではいよいよ分離派時代の作品群です。それまでの保守的な美術家組合を嫌って、伝統的な美術からの分離を狙って若手芸術家たちによって設立されたウィーン分離派と呼ばれるグループです。クリムトはその初代会長になりました。
《ユディット Ⅰ》
《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》
《べートーヴェン・フリーズ》
作風がガラッと変わったような印象を受けます。女性の裸体、妊婦などを多く描き、金箔を多用されています。
壁面いっぱいに飾られた〈べートーヴェン・フリーズ〉には圧倒されます。これは複製のようです。
Chapter 6.は風景画です。時折風景画を描かないと精神のバランスが崩れるそうです。
《アッター湖畔のカンマー城III》
《雨後(鶏のいるザンクトアガータの庭)》
《丘の見える庭の風景》
筆の細やかさと色使いは驚嘆ものです。
Chapter 7.は肖像画です。分離派から脱退した後はオーストリア芸術連盟を結成しました。これ以降は上流階級の女性の肖像画を多く手掛けました。クリムトは生涯独身でしたが、子供は十何人かいました。家には常に女性がいました。多い時には15人ほどが住んでいました。いずれもモデルです。その中でもエミーリエ・フレーゲという女性を愛しいたようです。
《オイゲニア・プリマフェージの肖像》
《白い服の女》
Chapter 8.は生命の円環をテーマにした作品が並びます。
《女の三世代》
《家族》
以上、約1時間半にわたって見学しました。絵画には全くの素人ですが、エロティシズムというのか女体の神秘というのかわかりませんが、その色使いの美しさには感動しました。これは多分に日本の浮世絵に影響されたのがよくわかりました。風景画も普通の風景画とは一風変わって暗めなのが印象的でした。ここには父親と弟を同時に亡くし、さらに息子を亡くすという出来事からの彼の死生観が影を落としているような気がしました。
グスタフ・クリムト、1918年、55歳で永眠しました。
たまには美術鑑賞もいいものですね。
例によって出口付近ではクリムト・グッズが多数売られていました。商魂たくましいです。
それでは今日はこの辺で。